健康と食品の解説
「大風呂文化」は外国人観光客誘致政策の目玉となるか
レジオネラ属菌だけではない温浴施設由来の感染症
2023/03/19


1. 福岡県筑紫野市二日市温泉のレジオネラ属菌
汚染
2. 温暖化により生態バランスが崩れ 凶器と化した微生物
3. 2016年の観光大国を志向する政策実施で急増した感染症
4. ワンヘルス(One Health)の概念 WCS(野生生物保全協会)
5. 観光の目玉として「大風呂の伝統文化」を守れるか
6. 困難なのは民族間で異なる入浴スタイル
7. 慣習の違いを解決するには時間がかかります 
8. 急がれる温泉施設の改善
9. 「ビジット・ジャパン」観光政策

(参考)

*ワンヘルス(One Health)WCS(野生生物保全協会)

(参照)
「水遊び感染症(Water Recreational Ilness:SWI)米国CDC」
https://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=808
*レジオネラ症(legionellosis)
*クリプトスポリジウム症(Cryptosporidium parvum) 
*ジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)
(Giardia intestinalisまたはGiardia lamblia) 
*腸管出血性大腸菌:0-157(オーイチゴーナナ:*EHEC)


  露天、室内を問わず大風呂が水着着用ならば、防げる感染症も多々あります

1. 福岡県筑紫野市二日市温泉のレジオネラ属菌汚染
福岡県筑紫野市の二日市温泉で1865年に創業、160年近く営業を続けてきた「大丸別荘」。
2022年11月に県条例基準値の3,700倍のレジオネラ属菌が検出されていました。
年に2回くらいしか換水せず、条例や法令で定められている基準に違反しているにかかわらず
偽装報告を繰り返していたようです。
どこの旅館、ホテルも似たような違反をしていると高を括っていたのでしょうが
公衆浴場法違反、旅館業法違反の疑いで福岡県警が刑事告訴を検討とささやかれ、
風評被害に巻き込まれた同業者からも糾弾されて、観光協会会長の
5代目社長山田真社長(70)が2023年3月に自殺。
 
この事件はコンプライアンスに疎い一業者の小さな事件ではありません。
この騒ぎを機にホテル、旅館業界が再検討すべきは、伝統日本文化の大きな特徴と
なっている「大風呂文化」

個々人ごとに換水をしない「大風呂」の現状は、これまでの法令や条例では
カバーしきれない「不健康施設」と化しています。
 
温浴施設由来の感染症による集団感染事故は絶え間なく起きていましたが
営業用温浴施設の衛生管理実態は主としてレジオネラ属菌対策。
それでも2016年ごろまでは外国人観光客には鎖国を続けていましたから
大問題となることはありませんでした。
 
2. 温暖化により生態バランスが崩れ、凶器と化した微生物
地球温暖化や*森林開発の樹木伐採、河川の開発による環境変化で
未開発地内の生息生物と共生していたウィルスが、家畜を含めた哺乳類の
体内で異種と合体したり、ウィルスや細菌の遺伝子が突然変異を起こすケースが
世界の注目を集めています。
*「致死率100%の狂犬病ウィルス:森林破壊と蝙蝠(こうもり)の逆襲」
https://www.nogibota.com/archives/5697

かねてより専門家らは
生態バランスが崩れ、凶器と化した微生物が動物や河川、湖沼の*水に媒介される
感染症となって人類に襲い掛かる懸念が大きいことを指摘(HIVやCOVID-19)。
営業用温浴施設にも水質管理が行き届いているスポーツ施設と同等な公衆衛生上の
配慮が必要なことを警告していました。
一例:皮膚壊死が生じて潰瘍化するブルーリ潰瘍(Buruli ulcer)が
日本を含めた世界の33か国で発見されており、内15か国では5,000 ~76,000件/年が
毎年発見され拡大が危惧されています。
感染経路は水中昆虫、蚊、刺咬性節足動物が推定されています。


2000年代初めには厚生労働省など関係省庁の研究機関が
換水をしない営業施設の風呂(部屋付き露天風呂を含む)はレジオネラ属菌ばかりでなく
施設設備の大小を問わず、動物由来感染症による衛生上の問題点があることを指摘していました。
天然温泉や地下からの湧水を利用する「沸かし湯温泉」を含めた
伝統文化の温泉も例外ではありませんが、温浴施設事業者は
営業が優先されて、様々な細菌やウィルス、動物由来感染症が
検討の対象となることはありませんでした。
「河川氾濫により発症が促進される中皮腫、E型肝炎、レジオネラ症」
https://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=659

 
3. 2016年の観光大国を志向する政策実施で急増した感染症。
2016年ごろからの日本は観光大国を目指し、閉鎖的な島国から
脱皮して外国人観光客に門戸を大きく開いています。
多様な異民族が観光で訪れることが少なかった日本ですが
門戸を開くからには早くから観光客受け入れを進めている
欧米と同様の公衆衛生上の対策が必要。
観光業界の目玉として、これまでの「大風呂の伝統文化」を守るならば、
諸外国を超えた完璧な公衆衛生上の配慮が急務です。
 
「大風呂の伝統文化」は観光立国を成功させている
イタリア、スペイン、フランスなどが成し得なかっただけに、
衛生的な「大風呂」を成功させれば、観光大国を目指す日本の強力な
セールス・ポイントとなるでしょう

      肉眼では透明な海水も、一滴で数千万の微生物を含有し、人体が肺に吸入すれば死の危険があります

4. ワンヘルス(One Health)の概念 WCS(野生生物保全協会)
2000年代に入ると、日本の温浴施設の公衆衛生上の問題点が
WCS(野生生物保全協会)の提言する*「ワンヘルス(One Health)に
基づいた動物由来感染症の調査、研究などにより、専門の学者たちからは、
いくつもの警告が出されていました。
それでも業界で検討されるのはレジオネラ属菌対策。
温泉を含めた営業用温浴施設は事業者の営業が優先されて
動物由来感染症を防御する公衆衛生の施策が検討されることは
少なかったようです。
*「ワンヘルス(One Health):増え続ける動物由来感染症に
人、動物、生態系の健康がどう関係しているか」
(最終項を参照してください)
 
5. 観光の目玉として「大風呂の伝統文化」を守れるか
動物由来感染症の防御はかなりの難題ですから
過去に「大風呂文化」を持っていたローマ帝国などが
大陸を制覇するころには、異民族と混浴になる「大風呂」を
廃止するしかなかったようです。
 
「大風呂文化」を守るには施設の根本的な大改装が必要です。
完璧な清掃が(短時間で)可能な温浴施設を作らねばならないからです。
100年ぶりといわれるCOVID-19と同等規模の感染症再来が
有り得なくとも、温浴施設を通じて拡大する恐れのある感染症には
動物由来感染症ばかりでなく梅毒、トリコモナスなどの性病や
緑膿菌など院内感染で知られる耐性菌等があり、その防御が必要です。
 
海水や天然の湧水は、口に含むだけで大量の微生物を吸い込みます。
先進国では感染症防止のために海水、天然の湧水、温泉水などを
口に含むことが、厳禁となっています。

欧州の温泉施設には医療目的の「飲用温泉水」蛇口があります。
いずれもシステムが不明ですからコメントしようがありませんが
源泉から70℃以上で直接引水するならば安全性が高いと思われます。

衛生上の問題が現地住民や同一民族には安全でも、自然免疫が異なる外国人には
有害となる可能性があります。安全か否かは自己責任かもしれません。
消毒の確認をしてからの飲用をお薦めします。
 

   カンチャナブリ北のサイヨーク(タイランド) 滝で水浴びをしていますが、免疫のある現地住民以外はお薦めできません

10数年前から夏季がくるとレジャー先進国の米国中央疾病対策センター(CDC)は
感染が急拡大している*クリプトスポリジウム症、*ジアルジア症、
*0-157, *細菌性赤痢(Shigella)などの*水遊び感染症を
予防する広報活動をしています。
内容は、海、湖、滝つぼ、プールでの冷水浴、スパ、ジャグジーなどの
ホットバスタブ(日本では各種銭湯、温泉、宿泊施設、ゴルフ場、介護施設、
シニアホームなどの大風呂)などで温水浴する幼児や老人に、
水が媒介する感染症の詳細を示し、国民の警戒を呼びかけています。
「水遊び感染症(Water Recreational Ilness:SWI)米国CDC」
https://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=808

 
6. 困難なのは民族間で異なる入浴スタイル
外国人客が満足できる温泉ホテル、旅館は完璧なレジオネラ属菌対策が必要ですが
各種の水経由感染症も防げる「大風呂」設備の提供が必須です。

「大風呂」は民族間で異なる入浴スタイルに配慮しなければなりませんが
個々人の入浴ごとに換水する習慣は簡単に変えられるものではありません。
国際的に通用する衛生的な温浴の新設備と運用法には様々な工夫が必要です
 
一例ですが、温浴施設の浴槽面積によって浴室への入浴者数を制限することや
「大風呂」習慣を知らない、馴染めない民族には専用個別施設が必要となるかもしれません。
4-5類感染症ともなれば、自然免疫を持つ民族の無症状感染者も予想され、
感染症流行国からの来日には対応を個々別に替える必要があるからです。

指定感染症類が蔓延している国からの渡航者には
COVID-19のように検査による非感染証明が必要な場合もあるでしょう。
いずれも条例や法改正が必要ですから、かなりの難題です。
 
7. 慣習の違いを解決するには時間がかかります
訪日外国人が急増すれば、「おもてなし」には、
その民族の生活慣習に歩み寄り、お互いが妥協せざるを得ない点も
多々あるでしょう。
温浴施設利用者の大部分が邦人に限られていた時代と異なり
風呂を他民族と共用するには民族間に横たわる浴室利用の
慣習の違いを解決する必要があります。
持ち込まれるおそれのある感染症には厳格な法や条例の
改正による対策も必須となりますから、全ての施設が適合と
なるまでには改善に長い年月が必要です。
過渡期の策も立法府が立案しなければなりません。
 
8. 急がれる温泉施設の改善

日本の「大風呂」は「伝統文化」故に規制がほとんど無いに等しい
温泉施設が主体です。
民族の生活文化の多様性に対応を迫られるホテル、旅館業界ですが、
日本は、温泉地数・源泉総数が世界一 。
現在、宿泊施設を伴う温泉地は3,133ヵ所、
源泉総数が約2万8,000あります(2018/08/07現在)
不況により中小規模の施設は減少しつつありますが
最近の温泉宿泊施設は12,860軒(対前年度比 148軒減)、
温泉水を使った公衆浴場7,935軒(対前年度比37軒増)。
(2018/08/07現在)
新型コロナウィルス蔓延で顧客が急減した時に浴室設備の
見直しをすべきだったと思いますが、社会問題とはなっていませんから
新しい、豪華な大型温浴施設といえどもレジオネラ菌対策を除けば
公衆衛生上の観点からは、どの施設も旧態依然。
他民族の来日にマッチした施設ではありません。
 
9. 「ビジット・ジャパン」観光政策
2003年になり*「ビジット・ジャパン」と命名して外国人観光客を
増やす政策が立法されましたが、政権が転々としたために絵に描いた餅。
2002年に約500万人だった訪日外国人が倍の1,000万人となったのが
12年後の2013年。
それが約2,000万人と倍になったのは、わずか2年後の2015年。
政権が安定し、厳しかった近隣諸国からの入国ビザや検疫が
緩和されたからですが、2016年の約2,000万人が
2018年には約3,100万人、 
2014年から5年間で約2,000万人も増えています。
2016年は自民党政権が、ねじれていた参議院議員選挙でも大勝。
完全な一党支配となり、有力政治家が観光業協会を仕切るように
なってからの「ビジット・ジャパン」はフル稼働となっています。

*ビジット・ジャパン(VJ)は政府観光局(Japan National Tourism Organization)による
訪日外国人旅行者の増加を目的とした訪日プロモーション事業 
日本入国時に「税関申告」・「検疫」・「入国審査」の入国手続きを
WEB上で行うことができるサービスがあります。
 
 
(参考)
1. ワンヘルス(One Health)WCS(野生生物保全協会)
 ワンヘルスとは「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、
全てが満たされている状態のこと WHO」
2004年9月29日にWCS(野生生物保全協会)主催の国際シンポジウム
「ワンワールド・ワンヘルス – グローバル化した世界の健康に
学際的な橋を架ける」がマンハタン(NY)のロックフェラー大学で開催され、
「人、動物、生態系の健康はどう関係しているか」と、
増え続ける「動物由来感染症」の現状と対策が検討されましたが、
この「マンハッタン原則」に従い、国連食糧農業機関(FAO)、
国際獣疫事務局(OIE)、世界保健機関(WHO)では、連携して
「ワンヘルス」を志向してきました。
 
しらす・さぶろう
 
https://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=120
「日本の温泉は安全か?」
放射線のラドンは肺がんの原因となる:放射線と放射能 WHOに依れば
癌(がん)の原因の6 %から15%がラドンに起因するそうです。

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https://www.botanical.jp/item_view.php?item_number=28
レスベはフランス産の天然赤ブドウを原料に日本で初めて作られた
ブドウ・レスベラトロール・サプリメント.
最初のモデルの開発を始めてからすでに20年を超えました。
レスべのブドウ・レスベラトロールはイタドリ由来のものや、医薬品目的に
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http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=66
エネルギー源となるエーティーピー(ATP:アデノシン三リン酸)とは
http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=147
「バルクワインの重金属汚染と無添加ワインのからくり」
http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=448
「ヒジキなどの食品ヒ素に肺がんリスク:国立がん研究センター」
ヒジキは必ずしも健康食品ではありません
http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=123


https://www.botanical.jp/item_view.php?item_number=36

https://www.botanical.jp/item_view.php?item_number=1011

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http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=196

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