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長寿社会の勝ち組となるには(その12)
認知症に関わるアポE遺伝子の制御は可能か
米国立老化研究所のアポE4調査「GeneMatch」
2016/09/30
2030年には65才の高齢者が7,000万人を超えると予想されるアメリカ合衆国。
加齢により増加が予想される認知症は国の将来の暗雲となる社会問題です。
アルツハイマー型認知症のβアミロイド沈着にはいろいろな原因が挙げられますが
米国立老化研究所では脂質の代謝に関わるアポリポタンパク質E型遺伝子(apolipoprotein E:ApoE)の
関与を強く疑っています。
(アポリポタンパク質Eは省略してアポE)




1. 米国立老化研究所の遺伝子調査「GeneMatch」
2. アポE遺伝子とアルツハイマー型認知症の発症リスク

3. アポE4がβアミロイドの沈着と塊(プラーク)形成に関与
4. アポE4をターゲットに新薬開発の推進
5. アポE4遺伝子(APOE genotype
を持つ人への提案(国立老化研究所)
*エストロゲンを含むホルモン治療(estrogen-containing hormone therapy)

*高血圧コントロール(hypertension management)
*高脂血治療スタチン (Statins for management of high cholesterol)
*魚とオメガ3脂肪酸(Fish and omega3 fatty acid DHA & EPA)
*ニコチン(Nicotine)

*セレブロライシン(Cerebrolysin)
*ホスファチジルセリン(phosphatidylserine)

1. 米国立老化研究所の遺伝子調査「GeneMatch」

2016年9月8日にアメリカ厚生省(NIH)の国立老化研究所(National institute of aging)より
多数の国民にメールが送られました。
アルツハイマー認知症予防のために(The Alzheimer’s Prevention Registry)
認知症発症に関与する疑いが濃いアポリポ蛋白質遺伝子E(apolipoprotein E:ApoE)の
対立遺伝子(APOE type allele:アレル)タイプを調査するためのボランティア―募集でした。
名付けて「GeneMatch」
アポリポ蛋白質は脂質を血中で運搬するリポタンパク質lipoprotein
蛋白部分に存在します。
応募適格者は在米の55才から65才の認知症の兆候が無い人。
簡易キット(a buccal swab kit)を各人に渡し、アポリポ蛋白質のE型遺伝子タイプを調べ、
タイプ別のE型遺伝子が認知症発症にどの程度関与しているかを調査するものです。
簡易キットは口腔内の内頬よりブラシで採取した細胞から遺伝子を調べます。
(日本でも入手できます)

2. アポE遺伝子とアルツハイマー型認知症の発症リスク
アポリポ蛋白E (apolipoprotein E:ApoE)の遺伝子は誰もが対で持っています。
これまでの調査ではアポEには3つのタイプE2、E3、E4があり、
各々が対となると6通りの組み合わせ(E2/E2、E2/E3、E2/E4、E3/E3、E3/E4、E4/E4)になりますが、
この組み合わせが発症リスクに大きくかかわっていると疑われています。
*組み合わせは対立遺伝子(アレル: allele)のことです
 
*E3は最も一般的な遺伝子で、組み合わせに1つでもあれば
リスクが少なくなるといわれています。
比較ではこの数値を発症率の標準として基準にしています。


*E2は最も稀な遺伝子ですが、組み合わせに1つでもあれば
リスクが非常に少ないといわれています 
E2/E3、E2/E2は標準より40%減

 
*E4が調査のターゲットとなっている危険な遺伝子
米国では人口の最大20%が保持しているといわれます。
E4が組み合わせに入るE2/E4が2.6倍、E3/E4が3.2倍、
E4/E4が最も発症リスクが高い14.9倍とみなされています。


しかしながらアポE4遺伝子が組み合わせに入っているからといっても、
発症しない人もおり、アポE4を持たない人が発症しているケースもあります。
アポE4遺伝子は認知症を促進もしますが、加齢による様々な疾病の兆候を
抑制する善玉作用も指摘されていますから、単純にアポE4を壊滅するわけには
いきません。
このあたりの難問解決の模索が今回の調査につながっているようです。
 
3.アポE4がβアミロイドの沈着と塊(プラーク)形成に関与
アポEは体内で重要な役割を果たすことが知られています。
コレステロールやβアミロイド( beta-amyloid)などコレステロール様分子が
細胞を出入りする運搬にも関わり、シンプルな表現ならば、出なら善玉、入りなら悪玉と
言えます。
アポEは対立遺伝子(アレル: allele)の組み合わせごとに作用度が異なり、
βアミロイドが脳細胞から出る場合はApoE2が最も強力な働きをするといわれ、研究者が
毒性機能の喪失( “loss-of-function” toxicity)と呼んでいます。
一方ApoE4 は毒性機能の獲得(toxic “gain-of-function”)と呼ばれています。
言い換えればApoE4 が脳内にβアミロイドを取り込み、塊(プラーク:plaque)を形成します。
 
4. アポE4をターゲットに新薬開発の推進
アルツハイマー新薬開発基金(The Alzheimer’s Drug Discovery Foundation :ADDF)は
ApoE 研究によるアルツハイマー予防と治療の新薬開発に対して活発な支援をしています。
ある研究ではApoE4をApoE2に近い構造に変える工夫(構造修正:structure correctors)を
試みています。
また、βアミロイドとApoE4の相互関係を分子レベルで解明し、増加するβアミロイドを
脳から一掃。沈着(accumulation)や塊(プラーク)形成を排除する研究もあります。
すでに治験に入っている動きには危険なApoE4 遺伝子を持つ人に、組み換えウィルスを運び屋にして
ApoE2遺伝子を脳に運び、体が持つ自然の治癒力を高める試みがあります。

5. アポE4遺伝子(APOE genotypeを持つ人への提案(国立老化研究所:NIA)
アルツハイマー型認知症の予防や治療とアポE4遺伝子の有無は、効果の大小に
密接な関係があります。
一つ一つの項目は大きなテーマですので解説は記載できませんが
米国立老化研究所(NIA)は詳しい解説も準備しています。

*エストロゲンを含むホルモン治療(estrogen-containing hormone therapy)
お薦めできない治療法です。
少なくともApoE4 遺伝子を持つ人には最悪ともいえます。
様々な議論もありますが、脳の老化と認知症を促進します。
*高血圧コントロール(hypertension management)
高血圧はリスクファクター。
一般的な高血圧治療を行っている人が認知症になるのを防げるかどうかは不明ですが
少なくともアポE4遺伝子を持つ人は血圧コントロールに注力すべき。
*高脂血治療スタチン (Statins for management of high cholesterol)
高脂血もリスクファクター。
メバロチンなどHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系薬剤)はApoE4 遺伝子を持つ人には
組み合わせ(アレル: allele)により効果が異なるようです。
E4/E4アレルには効果なしとの報告がいくつかあります。
*魚とオメガ3脂肪酸(Fish and omega3 fatty acid DHA & EPA)
魚油摂取量の多い人はアルツハイマー認知症の進行度を制御します。
各種あるオメガ3脂肪酸の中でも長鎖のEPA,DHAが良い結果を得ています。
より鎖の短いαリノレイン酸(alpha-linolenic acid:ALA)は
DHAへの体内変換が難しく効果が薄いようです。
天然のオメガ3脂肪酸などを含む魚油は
認知症( cognitive impairment )レベルの人には有効ですが
ディメンシア(dimentia:米国では痴ほうというレベルで論じている)となると効果は疑問。
*ニコチン(Nicotine)
ApoE4 遺伝子を持つ、持たないによる有害性の相違はエビデンス(根拠となる研究)が
不十分ですが、少なくともApoE4 遺伝子を持つ人が急性認知症になる大きなリスクを持つ
エビデンスはあるようです。
*セレブロライシン(Cerebrolysin)
豚の脳から生成された混合タンパク質医薬品ですが、ヨーロッパで承認されているものの
効能と長期使用の副作用に疑義を持つ米国では承認されていません。
承認国では主として心臓血管病、血管性認知症(vascular dementia)、
脳のトラウマ損傷の治療に使用されています。
アポE4遺伝子が組み合わせに入っているE2/E4、E3/E3、E3/E4、E4/E4の
遺伝子を持つ人に薬効はないようですが、アポE4遺伝子を持たない認知症患者には
アポE4遺伝子を持つ患者の3倍くらいの反応が認められるようです。
ただし国立老化研究所(NIA)では未明部分が多いとして効果を疑問視しています。

ホスファチジルセリン(phosphatidylserine)
ホスファチジルセリンが認知症や認知機能低下に効果あり、
と(2003年ごろ)話題となった時点で効能に疑問を持った米国厚生省は
あらゆる角度から精査をしました。
結局は傘下の食品医薬品局(FDA)が「認知症に有効との科学的根拠が無い」と
結論付け、発表した経緯があります。
ホスファチジルセリンは、豚の脳からのセレブロライシンに対し牛の脳から精製された
蛋白質。現在はBSE対策のために大豆など野菜から作られています。

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