健康と食品の解説
インフルエンザウィルス変異の常識は変化しています
リアソータントウィルスとは
2014/12/05
インフルエンザウィルスは様々な変異を起こしながら流行することが
知られています。
ワクチンはそれまでの流行を参考に毎年予想ウィルス型を決めて製造されますが
はずれも多々あります。
医薬品タミフルはその様々な変異に対応できる画期的な医薬品。
ウィルスが細胞内に入り込むための赤血球凝集素ノイラミニダーゼ(NA)を
失効させて変異に対応しています。
タミフルやリレンザがノイラミニダーゼ(NA)阻害剤といわれる所以(ゆえん)です。

1. リアソータントウィルス(reassortant viruses)とは
2. ヨーロッパで流行したリアソータント・ウィルス

3. シフト(shift):不連続抗原変異(antigenic shift)とは
4.ドリフト(drift):連続抗原変異(Antigenic drift)とは

1.リアソータントウィルス(reassortant viruses)とは

リアソータントウィルスと呼ばれるのは、インフルエンザウィルス表面の
スパイク群にある、二つの赤血球凝集素ヘマグルチニン(hemagglutinin:HA) と
ノイラミニダーゼ(neuraminidase:NA)の双方か、どちらかが変異を起こして、
サブタイプ(例H5からH9、N1からN2)が変わっているケース。
哺乳類の体内に複数の型のウィルスが入り、合体して混血になることを指します。
鳥インフルエンザウィルスの場合は人間に感染しないとされていましたから、
鳥感染ウィルスと人間感染ウィルスの双方のウィルスに感染する豚が
リアソータントの元凶といわれています。
パンデミック(大流行)が恐れられるのは、このようにサブタイプが変異する場合で、
原因不明な場合は、シフトと呼んで警戒しています。

しかしながら、ドリフト(細かな株の変異)とシフトの概念、
リアソータントの概念は時代と共に変える必要があるかもしれません。

複雑極まる感染経路の追求と、二つの酵素の中でもノイラミニダーゼ(NA)酵素の
分離同定が非常に困難なために、結論は出にくいですが、
2009年頃よりCDCは鳥インフルエンザと呼ばれるA(H5N1)ウィルスは
サブタイプに大きな変化がないままに、人間同士の感染力が強いウィルスに
変異する可能性を警告しています。
同時にこれまでの学識とは反する事象として、豚など哺乳類を介さずに、
鶏から直接人に感染するウィルスに(何処かで)変異している可能性も
指摘しています。
ウィルスの小さな変異(新株)でも大流行(パンデミック)の
可能性があるということです。

2. ヨーロッパで流行したリアソータント・ウィルス
2001年から2002年にかけて、 ヨーロッパを中心に世界的に流行した
インフルエンザからは、ヒトのA(H1N1)型とA(H3N2)型の
リアソータントと思われるA(H1N2)型ウィルスが分離検出されました。
豚と人間のどちらが複合させたかの結論は出ませんでしたが、
その頃から人間の体内で異なる型のウィルスがリアソータントしたケースも
考えられるようになりました。
鳥インフルエンザA(H5N1)はサブタイプの変異を起こさない
株の変異(ドリフト)でありながら、強毒を持つ可能性があるからです。

3. シフト(shift):不連続抗原変異(antigenic shift)とは
リアソータントなどにより、ウィルスに不連続な抗原変異が起きること。
海外の学者はantigenic shift(不連続抗原変異)と呼んでいます。
ウィルス表面のスパイク中の二つの赤血球凝集素
ヘマグルチニン(hemagglutinin) とノイラミニダーゼ(neuraminidase)の双方か、
どちらかが変異を起こします。
ワクチンが全く効かないために、シフトが起きたウィルスは
大流行パンデミックの基となります。

4. ドリフト(drift):連続抗原変異(Antigenic drift)とは
インフルエンザに度々感染するのは、主として赤血球凝集素ヘマグルチニンの変化が早い
A型インフルエンザが、細かな変化を起こして、人間の抗体を避けていくからです。
この変化を海外の学者はAntigenic drift(連続抗原変異)と呼びます。      
二つの酵素ヘマグルチニン(hemagglutinin) とノイラミニダーゼ(neuraminidase)の
サブタイプには変異が見られずに、酵素に小さな種株(strain)の変異が見られます。
(ヘマグルチニンの場合はウイルスゲノム第4分節上の塩基配列の変化による)
一般的には連続抗原変異(Antigenic drift)が予想と異なってもワクチンは
ある程度有効とされていますが
ワクチンは強毒のA型が2種、弱毒のB型が1種の3種混合(trivalent influenza vaccine)によって、
予想されるドリフトに対応しています。
強毒型インフルエンザのA型は(H1N1)と(H3N2)の亜型を予想して混合されます。
A(H1N1)は世界を震撼させたスペイン風邪の系統。近年ではソ連風邪が有名。
A(H3N1)は70万人が死亡したといわれる香港風邪の系統。
日本では2009年に大流行しました。
インフルエンザののワクチンは基本的にはシフト変化には対応できません。
A(H3N2)ウィルスを例にとると予想したドリフト変化のタイプは
A/Texas(テキサス)/50/2012(X-223)(H3N2)、
A/Victoria(ビクトリア)/361/2011(H3N2)などと表現されます。
以前は遺伝子(塩基配列)全てが同一ではない場合は「様」(よう:like)という表現を
使用していました。

(厚生労働省が毎年発表する3種混合インフルエンザ・ワクチンの例)
2013/2014冬シーズン
 A/California(カリフォルニア)/7/2009(X-179A)(H1N1)pdm09
 A/Texas(テキサス)/50/2012(X-223)(H3N2)
 B/Massachusetts(マサチュセッツ)/02/2012(BX-51B)(山形系統)
2012/2013冬シーズン
 A/California(カリフォルニア)/7/2009(H1N1)pdm09
 A/Victoria(ビクトリア)/361/2011(H3N2)
 B/Wisconsin(ウイスコンシン)/01/2010(山形系統)
2006/2007冬シーズン
 A/New Caledonia(ニューカレドニア)/20/99(H1N1)
 A/Hiroshima(広島)/52/2005(H3N2)
 B/Malaysia(マレーシア)/2506/2004
2002/2003冬シーズン
 A/New Caledonia(ニューカレドニア)/20/99(H1N1)
 A/Panama(パナマ)/2007/99(H3N2)
 B/Shandong(山東)/7/97(Victoria系統株)

初版:2004年01月21日 10:51(no.2004012138)
改訂版:2009年1月(ィルスの変異:シフトとドリフトの常識が変わる?)
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