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天然トランス脂肪酸(共役リノール酸)は心臓疾患に悪影響:
マースリヒト大学(オランダ)
2013/09/27
加工食品の40%以上を汚染している植物性食用油のトランス脂肪酸。
トランス脂肪酸は天然にも共役リノール酸の形で存在します。
日本民族は欧米人に較べ肉食の比率がはるかに低いために
天然トランス脂肪酸の害は目立ちません。
研究者が警告するのは筋肉増強などのために天然トランス脂肪酸(共役リノール酸)をサプリメント
で摂食する人。
加工食品から合成トランス脂肪酸を多量に摂食している現状に、共役リノール酸サプリメントを
加えてはトランス脂肪酸総量が危険レベルをはるかに超えます。





 
  1. トランス脂肪酸に良し悪しは無い
  2. 共役リノール酸(CLA)サプリメントが心臓に悪い
  3. ブラウエル(ブラウワー)博士(アムステルダム自由大学)のトランス脂肪酸研究
  4. ブラウエル(ブラウワー)博士らの実験方法
  5. ブラウエル(ブラウワー)博士らの実験結果ダイジェスト
  6. 共役(きょうやく)リノール酸(Conjugated Linoleic Acid)(CLA)とは
  7. 二種類ある共役リノール酸とその機能
 
1. トランス脂肪酸に良し悪しは無い
トランス脂肪酸には植物性食用油の生成過程(水素添加)や加熱で生ずる人工的なものと、
牛などの反芻哺乳類が作り出す天然のトランス脂肪酸(共役リノール酸)があります。
これまでは、加工食品から大量に摂取する畏れのある人工のトランス脂肪酸に較べて、
天然のトランス脂肪酸は話題となりませんでした。
肉類や牛乳の天然トランス脂肪酸は含有率、摂食量が植物性食用油脂より
相対的に微量。
歴史的に80%以上のトランス脂肪酸が加工食品から摂食されてきたからです。
各国、各地の酪農産業ウェイトの軽重で異なりますが、
関係者は「とりあえずは善悪の議論をしない」というスタンスでした。
このような現状に、「トランス脂肪酸に良し悪しは無い」という研究が
11月の全米心臓協会(American Heart Association)の会合で報告され、話題となりました。
 
何故今頃?という感を持たれる方が多いと思いますが、
加熱や水素添加で生じる人工トランス脂肪酸が制限され、
天然のトランス脂肪酸(共役リノール酸)の摂食比率が相対的に高まっている

共役リノール酸のサプリメントを摂取する人にトランス脂肪酸の害が及ぶ」ということでしょう。

今回の発表者は有力な研究者だけに無視できないこともあります。
欧米人は平均的に日本人とは比較にならないくらいの肉類、乳製品を摂取します。
日本人とは条件があまりに異なりますが、研究報告に耳を傾ける必要があります。
博士は「禁止条例などによりトランス脂肪酸の接触量は減ってきたが、
牛など反芻動物の食品やサプリメントで摂る天然トランス脂肪酸も
同様に危険なのは間違いない。
少なくとも心臓などに疾患を持つ人は低脂肪の肉類や牛乳を摂取することが賢明である

「それではどのような食生活をすべきか?はまだなんともいえないが」とのべています。
 
2. 共役リノール酸(CLA)サプリメントが心臓に悪い
この報告では、これまでも度々議論されている共役リノール酸(Conjugated Linoleic Acid)
サプリメントの善悪についても触れています。
後述のごとく、共役リノール酸は有益な面が強調されてサプリメントが発売されていました。
この実験はミルクや牛肉の共役リノール酸が心臓に悪いと指摘すると共に、
共役リノール酸サプリメントについても有害性を指摘しています。
 
3. ブラウエル(ブラウワー)博士(アムステルダム自由大学)のトランス脂肪酸研究
全米心臓協会(American Heart Association)の会合で発表されたレポートはアムステルダム自由大学
(VU University Amsterdam)のブラウエル(ブラウワー)博士(Ingeborg A. Brouwer)から出されました。
博士は来日したこともあり、世界的に知名度の高い有力な研究者。
会議では論文発表ということではなく、研究の中間報告のような段階と断っています。
アムステルダム自由大学のVUはオランダ語で自由(Vrije Universiteit)を表します。
 
研究報告の主題
「Very High Intakes of Conjugated Linoleic Acid a Trans Fat From Milk and Meat
Raise LDL and Lower HDL Cholesterol in Human」
牛乳や肉類の大量摂取による共役リノレイン酸(Conjugated Linoleic Acid:CLA)の
トランス脂肪酸は悪玉のLDL(低密度リポ蛋白)を増やし、善玉のHDL(高密度リポ蛋白)を減らします

この研究はオランダ王立科学芸術アカデミー、オランダ心臓協会(the Netherlands Heart Foundation)、
栄養と心臓の研究基金」によりサポートされています。
 
共役リノレイン酸は反芻動物(ruminant animals:牛、羊、ヤギ、らくだ等)によって作られる
天然のトランス型脂肪酸。
米国ではダイエットや免疫力強化目的でサプリメントを摂食する人もいますから、
それに対しても博士は警告をしています。
中間報告の段階で公表されたのは、
天然であれ、人工であれ、トランス脂肪酸は心筋梗塞を23%も増やし、
心不全による突然死を47%も増加させる
」ことを関係する患者に早く伝えたい。
とりあえずは初歩的な概略を全米心臓協会の会合で報告し、詳細はジャーナルに
発表するということです。
 
4. ブラウエル(ブラウワー)博士らの実験方法
オランダでは以前からマースリヒト大学(Maastricht Unv.)などで、
この種の比較研究が行なわれており、トランス脂肪酸の有害性を確定的にしたのは
オランダといわれています。
世界最大のマーガリン製造会社のユニリーバがあるだけに国民の関心は高いといえます。
報告は研究のダイジェストですから詳細ではありませんが、
実験方法はクロスオーバー試験法(2-3グループに、幾つかの同じ被検査物質を、
順序を変えて与え、効果の違いを測定する)でした。
 
61人の男女に三種類の異なった油脂を含有する食事を9週間供与して、その効果を判定。
被験者に下記3種類の油脂を各々7%(約189グラム)づつ、3週間ごとに順序を変えて供与。
A. 植物性食用油の人工トランス脂肪酸(processed trans fats)
B. 天然のトランス脂肪酸(共役リノール酸)(cis-9 trans-11 conjugated linoleic acid)
C.オレイン酸(オリーブ油など)(cholesterol-neutral oleic acid)
原材料提供はリピッド・ニュートリション社(Lipid Nutrition)とユニリーバ社(Unilever)。
 
5. ブラウエル(ブラウワー)博士らの実験結果のダイジェスト 
① Cのオレイン酸に較べてAの植物性食用油のトランス脂肪酸とBの
天然トランス脂肪酸(共役リノール酸)は著しく悪玉の
LDL値(血清中の平均濃度:mean serum)を上げた。
② A、B共にHDL値(血清中の平均濃度)がオレイン酸に較べ2 mg/dl低かった。
③ 中性脂肪値(Triglycerides)はA、B、Cの順に高かった。
④ 「総コレステロール、LDL/HDL比率、アポリポ蛋白(apolipoprotein B)に関しては
人工、天然(AB)共に同様値だった。

*発表された結果の不正確率(値)が公表されています。
A、B、Cにより異なりますが1000分の1から15くらいです。
 
6. 共役(きょうやく)リノール酸(Conjugated Linoleic Acid:CLA)とは
(以下と第7項は「トランス脂肪酸のすべて」に掲載されたものです)
オメガ6(omega-6 fatty acid)と呼ばれるリノール酸(linolenic acid)は
多価不飽和脂肪酸ですから、炭素鎖の6番目から始まる2重結合部分が2つあり、
2つの二重結合の間には単結合が2つあります。

この2重結合の10番目と12番目(trans-10 cis-12 CLA)*か、
9番目と11番目(cis-9 trans-11 CLA)*に存在する2つの単結合が、
分子構造変化(conjugated、接合、共役)によって1つになったものが
共役リノール酸(conjugated linoleic acid:CLA)。

化学的な呼び方をすれば、共役リノール酸はリノール酸の異性体(アイソマー)(isomer)。
分子構造変化(conjugated)をおこして共役リノール酸となったリノール酸は、
有益な面のみがクローズアップされ、話題となったことがあります。
リノール酸は主として反芻(はんすう)動物の第一胃(ルーミン:rumen)の中でバラエティーのある
共役リノール酸に変化するといわれ、
牛肉の赤身やチェダー・チーズ(cheddar)に多く含まれます

 
7. 二種類ある共役リノール酸とその機能
共役リノール酸はリノール酸の変化形態によっていくつかあり、大別すると2種類。
その2種類には1012-octadecadienoic acid、911-octadecadienoic acidという
科学的な命名があります。
①. 9番目と11番目に変化がおきた共役リノール酸(cis-9 trans-11 CLA)と
10番目と12番目変化がおきた共役リノール酸(trans-10 cis-12 CLA)です。
この二つは未確認ながら機能が異なっていると言う説があります。

この911共役リノール酸(cis-9 trans-11 CLA)は、免疫力強化に働き、抗癌作用が
あるといわれたことがありました。
乳がん、前立腺がん、メラノーマの皮膚がんに有効と言われてきましたが、
確認できていない状況下で今回の研究発表がありました。
911共役リノール酸(cis-9 trans-11 CLA)は牛肉でも、放牧などで自然な餌を食している
牛の赤身に4倍以上多く含まれるそうです


②. もう一つの1012共役リノール酸(trans-10 cis-12 CLA)は不確定ながら
動脈硬化に有益と言われてきました。
また炭水化物(糖)を筋肉に変える機能があるとされ、ダイエット・マニアが
早速飛びつき話題となりました。
マウスの実験ではこの1012共役リノール酸(trans-10 cis-12 CLA)は糖が脂肪生成するのを
大幅(58%)に減少させる機能があったそうです。
これは禁止化学合成物質のアナボリック・ステロイド(合成ステロイド)の効果と同じであるために、
ボディービルダーが筋肉増強に共役リノール酸のサプリメントを使用したことがありました。
人間に本当に安全、有効かどうか、大量投与の副作用などは未明ですから避けたほうが
無難でしょう。
「ドーピングに使われるアナボリックステロイド(THGなど)」
http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=140

初版: 2008/12/04

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