世界の健康と食の安全ニュース
花王のクッキングオイル・エコナが突然の販売停止:
化学合成のジアシルグリセロール食用油に疑問符
2013/07/12

 

2009年9月17日から花王のエコナとその関連商品が販売中止となりました。
その後トクホ(特別保健用食品)認定も取り下げています。

発ガンが疑われながらも、長期にわたり年間200億円が売り続けられたエコナ。
2009年9月16日に民主党の新政権が発足。
行政のタブーが厚生労働大臣、消費者担当大臣が変わったことにより急遽表面化?
その後2014年には台湾でも同様な事件が起きています。
「政変で暴露された台湾大手食品企業の有毒食用油」
http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=388
化学技術が生んだジアシルグリセロールとは?
暴露されたトクホの欠陥。

2005年10月01日に書かれた「ジアシルグリセロールの食用油に疑問符」を
2009年09月17日に再度ご紹介した記事です。



1. 特別保健用食品(トクホ)の食用油「エコナ」とは:
化学合成されたジアシルグリセロールは発癌促進物質か?
2. 2005年8月4日の中間発表:「発ガン促進物質の疑いあり」
3. 2005年9月21日の臨時発表:「新たな情報により、更なる警告をする」
4. 厚生労働省はクッキングオイル「エコナ」の発売禁止に踏み切るか?
5. ジアシルグリセロール(diacylglycerolsまたはdiglycerides)と3-MCPDエステル

1.特別保健用食品(トクホ)の食用油「エコナ」とは:
  化学合成されたジアシルグリセロールは発癌促進物質か

植物性食用油に少量含まれるジアシルグリセロールは中性脂肪が付きにくいという特性があるようです。
この特性に着目して、人工的に食用油成分の80%以上をジアシルグリセロールにするよう化学合成した製品が
花王のクッキングオイル「エコナ」。
厚生労働省も特別保健用食品(トクホ)に認定していました。
ところが欧米では3-MCPDエステルの前駆体と考えられるジアシルグリセロールの多量摂取は
遺伝子異常を誘発し発ガンが疑われるとの報告が幾つも発表されており、問題はややこしくなります。
トクホに認定した厚生労働省も、認可した当初(2003年)から、再度におよぶ安全性の実験が
必要であると認識していました。
なぜ認可を急いだのか原因は不明ですが、認可当時から
「発がん性に関して、より踏み込んだ特別研究が必要であり、その結果を
食品安全委員会に報告するよう」に指示していました。

2.2005年8月4日の中間発表:「発ガン促進物質の疑いあり」

要求された特別研究は
「ジアシルグリセロールの発がんプロモーション作用に関する研究」
と名付けられました。

中間の8月4日に発表された食品安全委員会への報告は
「がんになりやすいように遺伝子を組換えた特殊なラットを用いて調査した結果、
雄の舌に発がんプロモーション作用が示唆されました」でした。
アスベスト問題やマグロのメチル水銀問題で「不作為」を指摘される行政当局に、
また厄介な問題が生じたわけです。

3.2005年9月21日の臨時発表:「新たな情報により、更なる警告をする」

驚いた厚生労働省では、この中間報告の問題点を掘り起こし、再度の研究を検討することになっていました。
ところがこの過程で、9月21日に次のような発表がありました。
消費者に「適切な情報を出来るだけ早く伝達するため」という注釈つきです。
発表内容は「その後、厚生労働省において、追加試験を計画する過程で、
ジアシルグリセロール(DAG)に関する内外の新たな知見を入手しました」「したがって、
より詳細な研究が必要です」
というものです。
具体的な内容の発表はありませんが、海外における確度の高い危険情報を入手したようです。

4.厚生労働省はクッキングオイル「エコナ」の発売禁止に踏み切るか?

2005年9月21日現在の警告では「エコナ」の発売は禁止できないということでした。
しかしながらこの段階で「消費者のことを考えて、あえて発表する」ということは、
結果が明確になるまで消費者はジアシルグリセロール(エコナ)の摂食を控えろ
ということと理解すべきでしょう。
消費者に自己判断を求められても、「内外の新たな知見」とはどのようなものかが解りませんから
材料不足ですが、「摂食を止めよとは、立場上発言できないが、自主的に止めてもらいたい」と
警告していると解釈せざるを得ません。
当局がより踏み込んだ実験結果を得るには準備も含め1年半はかかるそうです。
当時のスーパーの売り場では特売(在庫整理?)ながらエコナが並び続け、
認識の薄い消費者が買い続けています。

5.ジアシルグリセロール(diacylglycerolsまたはdiglycerides)と3-MCPDエステル

ジアシルグリセロール(DAG)とは、グリセリンに2本の脂肪酸がエステル結合したもので
一般的な食用油を構成するトリアシルグリセロールとは消化器における働きが異なります。
構造的にはジ・アシル・グリセロールは脂肪酸が2本(di=2本)結合、トリ・アシル・グリセロールは
脂肪酸が3 本(tri=3本)結合したものです。
アシル(acyl)とはアシル基を指しますが、これは脂肪酸の代名詞でもある
カルボン酸アシル基 (carboxylic acyl groups)を指します。
言い換えればジ・アシルとは2本の脂肪酸のことであり、ジアシルグリセロールは
それがグリセリン(グリセロール)と結合した脂肪分のことです。
ジアシルグリセロールは3-MCPDエステルの生成経路における前駆体と考えられています。
3-MCPDエステルとは3-モノクロロプロパン-12-ジオール脂肪酸エステル( 3-monochloropropane-12-diol :3-MCPD)
のことで、遺伝子異常を引き起こし発癌につながる遺伝毒性(genotoxicity)を持つ
遺伝子傷害性発がん物質。
3-MCPDエステルはタンパク質を酸加水分解する過程で生じるために、発酵を化学的に急ぐ製法の
しょうゆ、オイスターソースなど、微量に含有している食品はいろいろあります。
最近ではトランス脂肪酸対策に需要が急増しているパームオイル(椰子油:やしあぶら)に
クッキングオイル中最も多く含まれることが問題となっています。


初版:2005年10月01日
改訂版:2009年09月17日
改訂版:2013年07月12日

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