ブドウ・レスベラトロールのニュースと解説
ブドウ・レスベラトロールが機能するカロリー・リストリクション(CR)効果:
少量のレスベラトロールで長寿を達成
2013/08/26
  1. ワイン・レスベラトロールが欧米で話題沸騰
  2. レスベラトロール効果が食の制限効果(CR)を超えた
  3. フロリダ・ウィスコンシン・グループの実験方法
  4. 植物性成分由来の医薬品開発
  5. なぜカロリー制限(Caloric Restriction)(CR)と対比する?
  6. ミトコンドリアでの作用が鍵(キー)?
  7. フロリダ大学とウィスコンシン大学の代表的な共同研究者
 
 
1. ワイン・レスベラトロールが欧米で話題沸騰
ボストンのサートリス社はレスベラトロールの研究で中心的な役割を果たしている
ハーバード大学医学部と産学協同でレスベラトロールの新薬開発をしているベンチャー企業。
ハーバード大学のシンクレアー教授を中心に設立されました。
2008年6月に入り大手製薬会社のグラクソ・スミス・クラインによるサートリス社買収が完結しました。
買収金額は1株当たり22ドル、開発途上の研究会社としては異例の
総額720万ドル(約800億円)と報道されています。
この頃(6月4日)に北部のウィスコンシン・マディソン大学と南部のフロリダ大学が
少量のブドウ・レスベラトロールでカロリック・リストリクション効果が得られる?」をテーマにした
共同研究を発表しました
(オープン・アクセスの科学ジャーナル誌:PLOS one)(Public Library of Science One)。
 
ブドウ・レスベラトロールのダイエット効果、アンチエージング効果などが
現実性を持ってきたことは、専門誌を始め、米国では最大手の新聞U.S.Today、
英国では大手放送局のBBCなどが取り上げて、
食品業界などを含む大衆レベルの反響を呼びました。
「誰でもが活用出来る身近な食品」ということで肥満解消、予防のハードルが
非常に低くなったことを意味するからです。
 
2. ブドウ・レスベラトロール効果が食の制限効果(CR)を超えた。
肥満の悩みは先進国に共通。万病の元。短命の元として認識されています。
これまでに定着したカロリー制限(CR:caloric restriction)が肥満を防ぎ、
長寿に貢献することに異議はほとんどありませんが、食は人生最大の楽しみの一つ。
食を必要以上に制限しては「何のための人生?」という人も少なくありません。
そんな時代に2006年11月のハーバード大学を中心とするボストン・グループが発表した
「食べても太らない」レスベラトロールの実験結果は衝撃的でした。
今回(2008年6月)のフロリダ・ウィスコンシン・グループの研究発表は
ボストン・グループの延長線上ではありますが、天然ブドウ・レスベラトロールを使用し、より具体的に
レスベラトロールの心臓、脳、筋肉への作用をCRとの比較で遺伝子レベルの解明を進めたことと、
なによりも朗報は現実性の高い
「少量の天然ブドウ・レスベラトロールで大きな効果が得られる」ことの立証でした。
レスベラトロールの研究もボストンから全米に拡がっているようです。
 
3. フロリダ・ウィスコンシン・グループの実験方法
実験のポイントは「現実に近い分量のレスベラトロールの投与で
肥満防止と長寿に貢献できる」というものです。
グループの実験ターゲットは「レスベラトロール成分によって心臓、筋肉、脳の、
どの遺伝子が老化過程スイッチのオンオフに影響を与えているか観察する」ことでした。
実験結果は少量の天然ブドウ・レスベラトロールの投与が、カロリー制限と同様に、
寿命に関する遺伝子経路(the same master genetic pathways related to aging)に働き、
肥満と心臓病を防げる、これにより生活の質を高め、長寿が達成できる、という
シンプルなものですが、遺伝子レベルで説明されたことがポイントです。

例を挙げれば、心臓だけで寿命に関与する遺伝子は1029もあるそうですが、
カロリー制限による遺伝子の変化は90%、ブドウ・レスベラトロールによる変化は92%だったそうです。
 
研究者たちは、「赤ワインや化学合成でない天然のブドウ・レスベラトロール・サプリメントの摂取が
心臓病の予防に充分機能する」と結んでいます。
食事中の赤ワイン摂取が心臓病の予防に顕著な効果があるという、フレンチ・パラドックスを
科学的に立証した研究でした。
 
実験は中年(14ヶ月)と老年(30ヵ月)のマウスそれぞれに三種類の食餌を施しています。
①カロリーを2-3割制限したマウス
②通常のカロリー摂取をしているマウス
③通常のカロリーとレスベラトロールを投与しているマウス
 
4. 植物性成分由来の医薬品開発
2006年11月にハーバード大学を中心に発表された実験のレスベラトロール量は
通常の研究手法に準じたものです。
これは生薬や食生活で考えられている日常的な分量から推測できる量ではありません。
一般的に医薬品が植物のアルカロイドやテルペノイド、フラボノイドなどのポリフェノールから
ヒントを得て開発されるときは、その化学合成物質を作り、一般人の想像をはるかに超えた
大分量で実験されます。
これが安全性の確認に永い年月がかかり、副作用が防げない大きな理由の一つです。
今回の研究が画期的なのは在来の手法とは全く異なる天然素材を使用した実験方法だからです。
 
5. なぜカロリー制限(Caloric Restriction:CR)と対比する?
ブドウ・レスベラトロールが長寿関連のサーチュイン酵素を活性化させる経路は、
カロリー制限(CR)(カロリーを40%制限)すると得られる長寿、老化防止の経路と
同じであろうことは定説でした。
カロリー制限に反応して活性化する生化学的経路にはマスター経路があり、
それが幾つかの生化学的経路に影響を与えていると推測されていますが、
今回の実験は同様の反応がレスベラトロールにもあるだろうということが仮説でした。
カロリー制限によって長寿、心臓の老化に関係する遺伝子群の損傷が遅くなることは、
永い間に広範囲な動物(蜘蛛まで含まれているそうです)および人類で実験され、
数多くの実例により確認されています。
それと同等の作用が遺伝子レベル(genome-wide transcriptional profiles)で確認できれば、
レスベラトロールの有用性、安全性を立証できることになります。
これまでの研究ではブドウ・レスベラトロールが心臓など個々の器官の遺伝子に、
どのような作用をするかは解明されていませんでした。
 
6. ミトコンドリアでの作用が鍵(キー)?
米国でのレスベラトロール研究は、開発に時間がかかるガン、心臓病などの
医薬品を対象とするものと、ダイエット(肥満)、アンチエージング(長寿)など
段階的な効能でも充分に機能する食品分野(サプリメント)に分けて、
一流の頭脳が取り組んでいます。
人類の悩みの解決に幅広い関与をするブドウ・レスベラトロール。
眉唾ともいわれかねない多岐な効能は何処から来るものか?
全てがどこかで繋がっていると考えるしかありませんが、研究者達は
ブドウ・レスベラトロールがミトコンドリア(細胞内に存在する小器官。
エネルギー代謝などに働く)へ作用することが、共通して多岐にわたる疾病に
有効な説明となる?と推測しています。
なぜならばミトコンドリアは生体内細胞の何処にでもある器官だから、と説明しています。
今回の研究はレスベラトロール研究が現実的なモードに突入したとともに、
カロリー制限ダイエットの遺伝子レベルの機能解明が、より進むことも意味します。
研究者達は、「現段階ではレスベラトロールの抗炎症、抗ガン、抗ウィルス、
アンチエージングに関する作用機序の解明が完結したわけではない。
これらに関する第一段階に実験(フェーズワン)を夏までにはスタートしたい」と結んでいます。
 
7. フロリダ大学とウィスコンシン大学の代表的な共同研究者
今回の発表は太陽が一杯のフロリダからもたらされました。
五大湖に近い厳寒のウィスコンシン州から(多分出張してきた)研究者達と、
常夏のフロリダ州の研究者による共同研究は、アメリカの自由で
豊かな研究開発現場の実態が垣間見え、うらやましい限りです。
レスベラトロールの研究には米国厚生省を筆頭に、イギリス、スペイン、
オーストラリア、スイスなど外国政府が人的、資金的な援助をしています。
(論文には関係者が10数名記載されています。下記の掲載順序に意味はありません)

*リチャード・ヴァインドルヒ(ウェインドルク)(Richard Weindruch)                            
(ウィスコンシン・マディソン大学医学部教授:Univercity of Wisconsin-Madison)
(ウィリアム・ミドルトン記念在郷軍人病院研究者:William S. Middleton Memorial Veterans Hospital)
*ジャミー・バーガー(Jamie Barger
(米国厚生省奨学研究者.                            
ウィスコンシン・マディソン大学生命遺伝子工学研究所
*トーマス・プローラ(Tomas Prolla
(ウィスコンシン・マディソン大学遺伝子学教授)
*クリスチャン・リーベンブルグ(リーウェンバーグ)(Christiaan Leeuwenburgh)                   
(フロリダ大学医学部老化・老人病学教授)
*スティーブ・アントン(Steve Anton
(フロリダ大学医学部老化・老人病学助教授)
*トッド・マニーニ(Todd Manini
(フロリダ大学医学部老化・老人病学助教授)
 
初版:2008/06/13

https://www.botanical.jp/item_view.php?item_number=28
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