ケン幸田の世事・雑学閑談(千思万考)
第百二十二話:「続・端午の節句、粽と菖蒲打・菖蒲刀」
2021/05/04
日本千思万考 「続・端午の節句、粽と菖蒲打・菖蒲刀」  上田和男
 
五月五日子供の日の由来については蘊蓄が沢山あり、拙稿でも数年前に、鯉のぼりなどを紹介済みですが、
本稿では、以前触れなかった風習を取り上げて見ます。
 
風さけて入り日涼しき菖蒲の日   加賀千代女
端午開扉す怒りたまへる秘仏なり  水原秋櫻子
 
武家や町人男児の壮健を願う行事として、柏餅を食べるのは子孫繁栄の縁起かつぎですが、餅は餅でも
「粽(ちまき)」を食べることも流行った風習で、此方は悪魔や病魔を払うという中国の古くからの伝説が
発端となっており、コロナ禍の今年なら、粽の方がより好まれて食べられるのではないでしょうか。
粽は茅巻とも綴られるように、もち米粉、くず粉などで作った餅を、古くはチガヤの葉で巻いたもので、
今では笹の葉などで巻き、イグサで縛って蒸したものです。
 
生きてゐることに合掌柏餅     村越化石
明日は粽難波の枯葉夢なれや    松尾芭蕉
恋しらぬ女の粽不形なり      上島鬼貫
粽解いて蘆吹く風の音聞かん    与謝蕪村
 
楚の憂国詩人としても高名な屈原は、世の信望を集め有能な政治家でしたが、陰謀により失脚し、
非業の死を遂げました。楚の國の人々が屈原を弔うため、供え物として、悪魔や病魔を払う霊力が
宿るとされた粽を、彼が投身自死した川へ投げ込む祭りが、今に至るも一部地方で続けられているそうで、
その命日が五月五日だと言う伝説があり、中国ではこれを、端午の節句の由来とするようです。
 
菖蒲は尚武に通じ、薬効で邪気を払う事から、菖蒲湯に入る風習は今に続きますが、江戸時代には、
菖蒲打ちという男児の遊びもあり、地方によっては近年までその名残りを留めていました。
菖蒲の葉を束ね三つ編みにすることで繩状にして、その端を地面に打ち付け、音の大きさを競い、
菖蒲の葉が切れた方が負けとなるゲームで、菖蒲たたき、菖蒲切とも呼ばれました。
また、菖蒲刀(菖蒲太刀)とは、柳の木や竹で作った太刀の柄に菖蒲の葉を巻き付けて、打ち合ったり、
合戦の真似をして遊ぶこともありました。
 
菖蒲鼓おまけの音のいや高く     鳥海むねき
菖蒲刀延宝四年作は誰        岸本調和
初孫やふぐりを持ちて菖蒲太刀    相島虚吼
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