ケン幸田の世事・雑学閑談(千思万考)
第七十八話:
「続々・世の中訳の解らぬことばかり。疑問と不思議」 (その1)
2017/11/21
「チバニアン(千葉時代を意味する学術用語)」が国際地質科学連合会からのお墨付きを得たことで、
目下「地球史に”日本国土に因(ちな)む新たな時代区分“が書き加えられる」と共に
「地磁気逆転現象」が世界的な話題となって居ります。
我が国では、長年の間大学受験科目に「地学」が含まれなかったことから中高教育も
等閑(なおざり)視(し)されて来たこともあって、多くの世代の深い関心を呼ぶには至っておりませんが、
”地磁気“に絡む事象だけに、IT万能視時代の近未来の罠(わな)に絡(から)めて考えてみても、
もっと地球科学への教養を深めてもらいたい問題ではないでしょうか。

そもそも、現下は正磁気(N極が北、S極が南向き)なのに対し、我が国の一部地層の玄武岩に
残留磁気がNS逆転現象を発見(1929年松山京都帝大教授)し、その後千葉県養老渓谷の地層から
証明されたもので、その時代は恐竜絶滅後の哺乳類繁栄時代の内、77万年前から12万6千万年前の
「第4紀中期更新世」つまりネアンデルタール人や旧人の生きていた時代のことです。
地磁気の入れ替わり(ポールシフト)は、数万年から数十万年ごとに発生してきたことは
証明されており、都度地球史の大変動を引き起こし、ネアンデルタール人絶滅の主因だったとも
いわれています。
極軸の移動は短期間に起こる訳ではなく、2百年ほどかけて数年間に5~10度の振れを
繰り返しながら、反転に向かうそうですが、160年前から磁気が相当量弱まっていて、
極シフトの前兆ではないかとの警告を発する地質学者が増えつつあるようです。
換言すれば、今世紀末までに、地球大異変に至る危険性大であるという訳です。
もっと報道されるべき事態ではないでしょうか。
 
現在社会は多くを電子機器に依存し、インフラに始まり日常生活やビジネス、学究、医療等に至るまで、
電磁気の正作動に準拠して成り立っておりますから、地磁気の反転、乃至はそれに及ばずとも、
地軸が数十度もずれて、NS局が90度も傾くような事態に至ると、人間活動の大混乱を来すことに
なりそうです。
既に欧米の一部有識者によれば、五十年・百年の計を備えよと、
IT金融取引からEVやAI,医療他への盲信に警告を発していますが、なぜか日本では、
人工頭脳や仮想通貨等、熱病に侵された如くバラ色のIT未来社会の夢物語に終始するばかりで、
大いなる危惧を覚えます。
ましてや、地磁気ほどの致命的・壊滅的な打撃には及ばずとも、既に民事・軍事を問わず
多発中のサイバー攻撃や、核爆発(強磁発生)によるIT情報破壊の現実問題への取り組みにおいても、
我が国の平和ボケ社会に警告を発して置きたい所存です。
実際、我が国において、過去一年間に受けたサイバー攻撃は観測済みだけでも、1281億回もあり、
個人情報流失だけでも1400万人に上ったようです。
北朝鮮による度重なるミサイル実験が、今のところ日本海か北太平洋海上に落下し、
核実験が同国内山中の地下に留まっていますが、これがもし誤ってでも、
我が国上空で部分爆発でも起こすと、重大なITデータ破壊・損耗が発生するそうです。
電波や活字メディアには、もう少し知性と教養のレベルを上げ、注意喚起力を磨いて貰いたいものです。
 
文化の日を挟んで10月末から先週まで「読書週間」でしたが、今や不読率が読書率を上回り、
江戸時代から庶民を始め様々な書物を愛読してきた日本人がすっかり本を読まなくなったとの、
嘆き節が巷(ちまた)の話題となりました。
明治時代、東京外大露語教師だった「メチニコフの回想記」によると、街角ごとに本屋があり、
新刊本のみならず、ロシアでは皆無の古本屋、貸本屋まで多彩な書店の多さに驚愕(きょうがく)し、
読者層もロシアでは男性知識人のみに比べ、日本人は職業・学歴を問わず、老若男女を通じ
大衆一般の読書好きに敬意を覚えると書いています。
嘆かわしいことに、ITグローバル時代に育った現代の日本人は、デジタル思考にかなり
汚染されているようで、総じて知識が浅く狭くなりがちで、正解か不正解か、
白黒決着を急ぐ傾向が強いように思われます。

現実の人間社会や、学問、仕事の世界では、問題の解決策は無限であり、白と黒の間に
無限のグレイゾーンが広がっているので、幅広い読書や対話と熟考を通じてしか、
進むべき方向性に近づけないことを分かって欲しいものです。
ジャーナリズムの報道ぶりと論説においても、デジタル的発想に基づく曲解、誤解や短絡的判断の多さ、
稚拙な文脈などにたびたび出くわす様になっており、教育界や企業・団体、家庭なども
参加する読書週間のPR強化や「灯火親しむ候」のキャンペーンを、出版業界・書店だけに
任せない多角的施策も断行されては如何かと提言致します。
「図書館は魂の診療所」「書籍は心の栄養剤」と言いますから、読書の習慣は日本人全体の
教養力を底上げする近道の筈です。
過重なIT化、AI過信のリスク回避も含めて、政管民上げての熟考を促(うなが)す次第です。

国家百年の計で最も重要なのは教育でありますが、現況の学校と文科省に丸投げの教育では
何の成果も得られないどころか、多発する殺傷事件、詐欺、いじめ、自死から会社・団体の不正・
経営管理力失墜まで、理解し難いほどの人間関係の劣化は、偏(ひとえ)に教育不在に根差す
抜本的危機にあると思量致します。
真の教育とは、家庭・地域社会・職場・公私諸団体や任意の集会・塾・教習・講習・同好会等々、
あらゆる局面での啓発活動を含めるべきものであり、その究極は自習(読書を含む)にあることを、
教育界も政管民も全国民が広く深く自覚すべきではないでしょうか。
他人に優しく親切に、と同時に、他者に騙されず、過剰依存しない、
周辺の空気や扇動に付和雷同しない独立心、分別力、思考力、問題解決力を養う必要があります。
家族愛、郷土愛、愛国心があってこその人類愛ですし、順法精神と社会性の裏付けが欠かせません。
マークシート方式や偏差値教育からの脱皮も急務でしょうが、まずは3歳から一生を通じての
徳育は必須であり、人間器量を高める教育に徹すべきです。
今日本に求められるのは、受験秀才ではなく、柔軟思考力のある凡人ではないでしょうか。
 
中国共産党大会を経て、習近平新時代の幕開けとか、二期目に恒例の後継者の常務委員会入りを
阻止したことから異例の三期目も狙う体制を整えた等の内外ニュースが広く流布されております。
これは、胡耀邦、趙紫陽、江沢民、胡錦涛と諸政権が長期間継続されて来た鄧小平の
「改革開放路線」時代に終わりをつげ、習近平個人崇拝の「現代化社会主義強国」への
時代錯誤の逆行(一説に毛沢東中華民族復興思想への回帰)という自滅への道ではないのか、
それともスーパー権力を手にしたのかとの、明暗相反する論評が飛び交っております。

背景には、当初目論んでいた右腕の王岐山規律委員会書記の定年を延長させ、常務委員に
留任させる事案が叶わず、また市場経済派(鄧小平路線)の政敵・李克強首相の排除も
出来なかった一方で、後任第一候補であった胡春華(李克強派)の常務委員昇格を
阻止したといった“妥協“の権力闘争があったようです。
結果として、文革ノスタルジーの急進左派社会主義路線の習総書記と市場経済重視の
右派路線の李首相の双頭体制の継続では、大中国の混乱は不可避と言われており、
日本も欧米大手メディアも、なぜか本気の報道に踏み込んではいませんが、
事実上失速する中国経済に関して、国営企業に加え、民間企業をも次々と中国共産党の
影響下に置こうと進める習路線に対し、党の支配を拒絶し、自由と開放体制を求める
新興企業(スマホのファーウェイ華為とZTE、モバイク磨拝、SNSのテンセント、ドローンの
DJI等々、先端ICT企業中心)との衝突は火花を散らしつつあり、習政権の足元を大きく揺るがす
最大の懸念となっています。
 
既に、ここ1-2年で中国の外貨準備高が四割近くも急減したのに動揺した北京政府が、
国際送金システム等の金融体系に規制を設けたにも拘(かかわ)らず資金流失の加速が止まないのは、
中央銀行間を潜(くぐ)リ抜けるビットコイン等ネットによる簡単な国境突破に
手が付けられない現実でしょう。
管理不能の仮想通貨の既存通貨との交換相場は乱高下し、投機性が強すぎるため、
膨張する世界のビットコインの三分の二を保有する中国として、取引所と代行業務等関連事業体を
共産党配下に組みこむ他に打つ手がないのが頭痛の種となっているようです。
現在、国営企業がフェイドアウトして行く中、上場企業の内共産党の経営介入を容認したのは、
12%に過ぎず、シャオミ小米のように、シェアを落としてしまう結果などから、
大半の有力成長企業は、益々党離れに向かい、北京政府との不仲が漏れ聞こえております。
政権のジレンマは、沈下する経済の自由に歯止めを掛ける党の支配を強めたり、習思想徹底のため
情報コントロールやネット規制を強めたことが、逆に経済成長の芽を摘んでしまうというジレンマに
陥っており、党離れして行く新興企業の巨大化が共産党基盤を崩して行くという矛盾に
立ち至っているのが真相であろうかと捉えられます。
内政には強いが、経済・外交には弱い習主席の安倍首相やトランプ大統領に対する微妙な
外交姿勢の軟化ぶりに、その苦悩の一片が垣間(かいま)見える気がします。
スパイ狩り天国と化した北京政情、強制凍結された不動産市場、既述の金融・債務爆弾、
対外緊張等、中国の悪夢再来の災厄(さいやく)は待った無しです。
 (編集部)
㊟長文になりますのでその2に続きます。
 
 
 
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