感染症の海外ニュースと解説
サーズ劇症肺炎の背景は「食在広州」:
身近になった人獣共通の劇症肺炎
2015/06/05
アジアでサーズと呼ばれる新種肺炎が話題となったのは2003年。
中国発の原因不明劇症肺炎として世界の注目を集めました。
この肺炎は当初原因が特定できなかったため、
重症急性呼吸器症候群サーズ(SARS:Severe Acute Respiratory Syndrome)
と呼ばれていましたが、流行収束後、別途命名されることはありませんでした。

2012年にサウジアラビアで流行し2015年5月までに400人以上が死亡した
中東呼吸器症候群(Middle East respiratory syndrome :MERS)はサーズと
同じコロナウィルスを原因とする劇症肺炎。
MERS(マーズ)はサーズの兄弟ともいえるコロナウィルスですが
中東から韓国に飛び火して話題となっています。
かっては動物を宿主としている未明のウィルスは風土病として限られた地域で
人感染が見られる程度でしたが、伝染性の高いウィルスに変異して人人感染が珍しくない
時代となったようです。



1
.サーズ(Severe Acute Respiratory Syndrome)の発生
2.サーズ(Severe Acute Respiratory Syndrome)の発見
3.サーズ(SARS)は接触感染、飛沫感染で拡大
4.サーズ(SARS)発生の背景は「食在広州」
5.(参考)コロナウィルスとパラミクソウィルス
6.(参考)肺炎の病原
7.(参考)ハクビシン(Paguma larvata:ジャコウネコ科)と取引禁止令
8.    (参考)中東呼吸器症候群(Middle East respiratory syndrome :MERS)
 
1.サーズ(Severe Acute Respiratory Syndromeの発生
最初の発生地、中国広州(広東省)からヴェトナム(ハノイ)、
香港、中国(広州)、シンガポール、台湾が感染の中心地。
その後アジアからの帰国者の罹病が、カナダ、米国、ドイツ、北欧など
10数カ国でも報告されました。
WHOが2003年9月26日に発表した全世界9か月間(2002年11月1日から
2003年7月31日)の感染者数(可能性例)は8,098名、
死亡者数774名(900名を超えるという説も:中国が実態の報道規制をしていると
いわれるために実際は数千名以上とする関係者も多い)。
SARS騒動はウィルスの特性から、比較的短期間に収束しましたが、
中国の衛生管理実態を世界に知らしめたといえます。
SARSは飛沫、接触感染はしますが空気感染の可能性が少ないウィルス。
エタノール程度でも死滅する薬品耐性の低いウィルスといわれていますから、
衛生管理がよければ、初期の感染が、これほどまで中国を中心に
急拡大することはなかったでしょう。
衛生状態の改善と衛生思想の向上が、類似感染症再発防止の鍵です。
 
2.サーズSevere Acute Respiratory Syndrome)の発見
流行していた世界中のSARSが同一ウィルスということは
すぐには断定できませんでしたが、
当初からパラミクソウィルス類の新種やコロナウィルスの
新種とする説が有力でした。
その後2003年5月22日に香港大学が香港で発生した
病原ウィルスの分離に成功。
同じころ米国中央疾病予防管理局(CDC)が米国での死亡患者から
同種(同遺伝子)を分離同定し、新種のコロナウィルスと判明しました。
SARSの主症状は38度以上の高熱、のどの痛み、筋肉痛、
咳・息切れ・呼吸困難などの呼吸器疾患。
インフルエンザ・ウィルスの症状に酷似しています。
潜伏期間は短く、2日から、最大でも10日間でした。
 
3.サーズ(SARSは接触感染、飛沫感染で拡大
各国の保健担当者間ではその劇症性、感染力の強さゆえに、
当初、細菌テロを疑ったようです。
航空会社が疑わしい患者の搭乗を拒否しようとする騒ぎもありました。
事実その後の調査で航空機での乗り合わせ、院内感染が
圧倒的に多かったことが判明しています。
このころに、感染者の8割は医師、看護師(42.5%)、 見舞いの家族、友人(30%)、
隣接患者(8.3%)だったという調査があります。
スーパースプレッダー(Super Spreader)という言葉が生まれたのもこのころ。
特定の重症患者が院内や航空機などで多数の人に感染させる意味でしたが、
このような人はほとんど死亡しました。
 
4.サーズ(SARS発生の背景は「食在広州」

(写真上)2003年にサーズ騒動の原点となった広州市.
田舎は不衛生な地域が多いが、地下鉄が街中を網羅すべく工事中.
幹線はすでに開通しており、フランス、イギリスが租界としていた
珠江沿いの沙面地域は近代的に整備されていた.
(Kwangchowan Leased Territory)

広東省では、SARSが発生した当初から、華南地方で食習慣となっている、
マイナーな動物性食材やゴキブリが原因ではないかとの噂がありました。
その理由は、初期に広州の調理師などに感染比率が高かったためです。
WHOが正式に発表したわけではありませんが
その後、香港大学ではハクビシン、アライグマ、狸などよりSARSの原因ウィルスを
発見同定したと公表しました。

(写真上)
広州市に点在する生鮮市場の中で生薬中心の清平市場.
犬、ハクビシンなども販売されていたがサーズ騒動で販売は禁止された.

広州など華南地方は「食在広州」と自称(他称?)
「机、椅子以外の四足は何でも食べる」などと揶揄(やゆ)されているくらい。
世界で一般的な食材に加え、犬、猫、ハクビシン、タヌキ、こうもり、
ヘビ、トカゲ、サンショウウオ、アオイソメ、昆虫など、
あらゆるといってよいほどの生物を食する習慣が有名。
特に犬やハクビシンなどを食する独特の食習慣は、
「奇病発現の原因となりやすい」と、かねてから各方面の有識者に、
指摘されていました。
無論、2000年頃の広東省の食材事情は、すでに大きく変化して、西欧化。
犬、猫、狸料理は、例えご馳走分野に限っても日常的ではありませんでしたが
グルメ、通人たちのために市場や一部レストランでは販売されていました。
特に犬料理は婦人病に効能があるといわれていますので、薬用として、
少なからず愛好者がいることは否定できません。
犬料理、狸料理には香肉鍋、龍虎闘など有名な料理法も知られています。
このような食習慣の由来は、美味しい、安い、好奇心、薬用など、
食材ごとに異なります。
広州ではハクビシン,アライグマ、狸などは薬用と好奇心が中心と
考えられていますが、華南や東北、辺境地域によっては、貧しさゆえに、
手短に取得できる大型の蛋白源として、犬、猫、狸などを
食用にしているともいわれています。
セントバーナードなどの大型犬類を食用にするのは、
朝鮮国境に近い東北地方が、より一般的だからです。 
 
5.(参考)コロナウィルスとラミクソウィルス
Paramyxovirus. Paramyxoviridae:パラミクソウィルス
おたふく風邪のムンプスウィルス(munps virus)、
肺炎では一般的なRSウィルス(respiratory syncytial virus:
冬期の呼吸器感染症の主要原因ウィルスで細気管支炎、喘息様気管支炎などの原因ともなる)
犬のジステンパーウィルス(Canine distemper virus)などがこの種類に入る。
 
Coronavirus. Coronaviridae:コロナウィルス
猫、豚、牛などの哺乳類、鳥類の下痢で一般的なウィルス。
ウィルスが太陽環に似た形状のためにこの名前がつけられた。
インフルエンザウィルス以外の風邪ウィルスとしても
ライノウイルスなどと並び著名。
水様の鼻水や気管支炎など気管障害と腸炎を起こすことが知られている。
空気感染するため伝染性は強い。
これまで発見された種類には動物用のワクチンが開発されている。
 
6.(参考)肺炎(pneumoniaの病原
肺炎(pneumonia)の原因は合併症を含めると非常に多岐にわたりますが、
大別すると下記の原因があります。
診断に困難な場合が多いため、専門の医師の判断が必要です。
 
(感染性の肺炎) 
細菌性肺炎:
肺炎球菌、レジオネラ菌、肺炎桿菌、A群溶血性連鎖球菌、
黄色ブドウ球菌などを原因とする
 
ウイルス性肺炎:
RSウィルス、インフルエンザウィルス、アデノウィルス、
麻疹ウィルス、水痘ウィルス、サイトメガロウィルスなどを原因とする。
サーズ、マーズは劇症性を持つウィルスで鳥や豚インフルエンザと同様に
死に至る肺炎を引き起こす。
 
マイコプラズマ肺炎:
Mycoplasma pneumoniae
ウイルスと細菌の中間に位置する 病原体である
マイコプラズマ・ニューモニエの感染でおこる肺炎.
激しい咳を伴うRSウィルスとともに毎年全国で多発.
 
クラミジア肺炎:Chlamydia trachomatis
クラミジア・トラコマチスという病原体が気管に入ることを
起因とする(性病のひとつとされ、日本には数百万人の感染者がいるといわれる)

劇症型A群溶血性連鎖球菌感染症:
肺炎の一種で、人食いバクテリアの一つといわれる。
サーズ(SARS)発生時に話題となりましたが
病原はサーズとは異なり細菌。
日本でも2000年以降、感染者66人、死亡者33人が報告された、
筋肉や皮膚が壊死する恐ろしい細菌性肺炎。
重症者は発熱程度が小さい場合が多いという。
生活習慣病や過労などで免疫力、抵抗力が弱っている人が危険。

(非感染性の肺炎) 
薬剤性肺炎:生薬を含めて、いくつかの報告があるが
肺がん治療薬イレッサによる薬害報告が記憶に新しい。

アレルギー性肺炎:クーラーを原因とすることが多いため夏型過敏性肺炎と
いわれる場合もある。
エアコン内、朽木や畳に住み着く真菌類のトリコスポロンを起因とする肺炎。
冬の加湿器も原因となる。発症例が大変多く、増加の傾向があり、
国際的にも話題となっている。

7.(参考)ハクビシン(Paguma larvata:ジャコウネコ科)と取引禁止令

日本でもハクビシン、タヌキ、キツネ、シカ、クマなどが
人間の生活圏に出没.
寄生虫、細菌、ウィルスなど宿生している
様々な微生物を運びます.


ハクビシンは「白鼻心」 顔の中央に白い線がある特徴から名づけられました。
在来種説と帰化動物説がある。中国南東部、台湾、東南アジア、
日本などに分布するジャコウネコ科の中型獣。
繁殖力が強く、市街地を含めた日本国内各地で普通に見られます。

サーズ騒動の渦中で関係当局はハクビシンの非公式取引を摘発し、
処分予定数は在庫総数の1万匹といわれていました。
広州の動物卸市場(2003年現在)である新源市場(Xinyuan animal wholesale market)では、
蛇、犬、サル、ハクビシン、猪、こうもりなどサーズの宿主が疑われている動物が、
公式には姿を消し、専門業者のブースは空になっていました。
広州衛生庁の呼吸器専門家ナンシャン教授(Zhong Nanshan)は、これらの動物より
サーズ・コロナウィルスを検出しており、かねてより感染源の可能性を指摘していました。
教授はこれまでに、30種類以上の動物、2500個体を検査。

現在でも感染者とこれら動物が保有するウィルスには1パーセント未満の
遺伝子構造の違いはあるようで、原因の確定には至っていませんが、
変異の実態が不明ですから、否定もできなかったようです。
華南農業大学の動物疾患の研究者ミン博士(Liao Ming )は業者寄りのスタンス。
ウィルス遺伝子の完全一致ではないのであるから、取引禁止令は行き過ぎだと、
生産者、取引業者の立場で発言していました。
正否の議論があるために、2004年のサーズ終息宣言以来、やや市場取引が
持ち直しているという報道もありましたがが、少なくとも広東省に禁止令が
あることは変わりありません。

8.    (参考)中東呼吸器症候群(Middle East respiratory syndrome :MERS)
2012年にサウジアラビアで流行し2015年5月までに400人以上が死亡した
中東呼吸器症候群(Middle East respiratory syndrome :MERS)はサーズと
同じコロナウィルス(Coronavirusを原因とする劇症肺炎。
感染者の37%が死亡しているといわれます。
ひとこぶラクダから感染する(現段階では推測)といわれる
人獣共通ウィルス(ズーノティック・ウィルス:zoonotic virus)ですが
サーズの兄弟ともいえる近似種。
鳥インフルエンザや豚インフルエンザの親戚と呼んでも間違いではありません。
日本ではマーズ(MERS)と呼ばれ、危険な感染症として2類感染症に指定されました。


初稿:2003年05月
改訂版:2014年10月
改訂版:2015年06月


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