ケン幸田の世事・雑学閑談(千思万考)
第二十八話:マスコミが報道する「産業の空洞化」のアンチテーゼ
2014/10/01
■商業への回帰
本稿ではマスコミ報道のアンチテーゼに挑んでみたいと思います。
数十年来、盛んに危機感があおられている「産業の空洞化」についてです。
その前に、産業革命以後の世界の経済をざっと振り返ってみますと、まず職人気質、
すなわち科学技術主導の工業化が国冨を蓄積し、いわゆる先進諸国にリーダーシップをもたらせました。
その延長線上で、軍需産業の進捗が核の脅威を生み、それが東西冷戦の終結へと向かいました。
その後は、共産主義経済圏の資本主義・自由経済圏への参画によって、分断され偏在していた交易市場が、
一挙に全世界へと拡大。それとともに、宇宙産業の民営化から生まれたIT技術が金融工学と結びついて、
世界の人・モノ・カネが、加速度的な勢いで巨大な移動と交流を生み出す結果となっております。
今、世界はグローバル経済時代に入っていますが、実はその本質は「商業への回帰」であるように思えます。
古代返りというべきか、パラダイムの逆転が起こりつつあるのです。
筆者が世界に向けてマーケティングに取組んだ頃、先輩たちから「商人道を学ぶなら、
〝チャ・イン・パキ、イラ・イラ・レバ・シリ、ジュウ・トルコ〟(華僑、インド人、パキスタン人、イラン人、
イラク人、レバノン人、シリア人、ユダヤ人、トルコ人)」と教えられました。そういう目で見てみたところ、
確かに、彼ら〝シルクロードの商人〟たちが古代に太平洋と地中海を結ぶ物資・文化・民族の東西移動幹線を通じた東西交易(当時の世界貿易)の歴史が、現在にも生きていることを知りました。
華僑やインド・パキスタン系アジア商人もペルシャ・アラブ・フェニキア・ユダヤ、トルコの中東系商人たちは、
今でも国籍を問わず、生誕地やご先祖伝来の祖国を離れ、地球上の各地に散らばりながら、
グローバル商業流通の要を握っていることは紛れもない事実です。
計数に強く、情報ネットワークを築くのがうまい彼らは、欧米の商物流のみならず、
金融界の勘所まで押さえているのです。

■「ゴールドラッシュ」のアジア大陸市場で生き残るには
今、アジア大陸市場が「ゴールドラッシュ」と呼ばれて世界の注目を浴びておりますが、
現実に世界人口の7割を超える50億人が、シルクロードの南北にまたがって生活しております。
中でも人口が巨大で、経済新興エンジンの担い手である中国・インド・ロシアを中心に、
すでに中産階級が6%の3億人(日本の3倍近く、米国や西欧経済圏並み)に達し、25~30年以内には、
中産階級が30%を超え、15億人以上になるといわれています。つまり、現下の先進国経済規模の2倍にも膨れ上がる大市場圏が誕生しそうなのです。
市場が拡大するということは、競争も世界レベルに厳しくなるということです。
すでに目の前で起こっているように、ローカルプレーヤーは、グローバルプレーヤーにとって代わられるのです。
日本企業も、マスコミ用語「空洞化」などといった世迷い言に惑わされることなく、現場をどんどん新興国や開発途上国へと展開させ、発展拡大市場の変化適応に挑戦し続ける中で成果を勝ちとるべきでしょう。

■〝一石五鳥〟の日本再生策
もう一つ、マスコミが批判してやまない「公共投資」についても。
公共政策学者の藤井聡・京大教授のご提案によると、日本経済成長の秘策は、
未来を見据えた国土強靭化やエネルギー対策への長期型の大規模(毎年20兆円とか)投資を
10年程度継続することで、GDP900兆円(すなわち第二次国民所得の倍増)が狙えるそうです。
ついでに、小筆の妄言を許してもらえるなら、この資金を政府紙幣で賄えばデフレ病も治癒となり、
海底各種資源の採掘と事業化(メタンハイドレイドと秋田沖の石油・ガスや南鳥島のレアアース)を
大型投資で加速させ、並行して、現有原発基地の超強靭化に取り組む一方で、
地熱・水力・海流・風力、太陽光熱などの再生可能エネルギーを本格的に増産させれば、
〝一石五鳥〟効果が期待できるのではないでしょうか。日本再生を図れること請け合いです。
 
 
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