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粘々(ネバネバ)葉野菜の安全性:コンフリー(comfrey)による肝臓障害に学ぶ
2014/07/18




1.毒性と薬効が同居する植物性アルカロイドとトリテルぺノイド
2.コンフリー(comfrey)とは
3.コンフリーの効能とは
4.コンフリーのピロリジディン・アルカロイドで肝臓障害

5.ピロリジディン(ピロリジジン)・アルカロイド(Pyrrolizidine alkaloids)とは
6.コンフリーのアラントイン(Allantoin)
7.チェックしておきたい粘々(ねばねば)野菜

1.毒性と薬効が同居する植物性アルカロイドとトリテルぺノイド
植物毒の主成分といわれるアルカロイドは、植物が動物から身を守るために働く物質。
5,000種を超えるといわれます。
青酸のように即効で死に至るものから、アヘンなどのようにじわじわと
脳視神経、腎臓、肝臓を傷めるものなどバラエティーに富みます。
多くの食材、香辛調味料に含有されるだけに多かれ少なかれ非常に身近な成分。
毒になるか薬になるかはその食材の摂食量。
含有量を知らずに摂食を続けて毒素が体にダメージを与えるのが
数十年もかかる遅行性もありますから厄介。
気が付いた時は原因不明の不調で手遅れとなっているケースが少なくありません。
植物の持つアルカロイド、トリテルペノイドは医薬品が多数開発され、その薬功は顕著。
それだけに副作用も半端ではない両刃(もろは)です。
漢方伝来の「医食同源」はよく内容を検討してから食生活に生かすことが必要です。
漢方薬、食材、調味料として永年使用されている
野菜、香辛ハーブ、薬用ハーブの安全性を見直し、自分に適した摂食法と
摂食用量を再確認すべきでしょう。

2.コンフリー(comfrey)とは
英名のコンフリーとは骨を強化するというラテン語。
学名のシンフィツムは骨を結合するというギリシャ語です。
日本では危険情報が少なかったために、ラーメンなどの飲食店で提供されることも。
葉に粘液成分ムチラーゼ(mucilage)を多く含むため、オクラのような食感があります。

コンフリー(comfrey)
ムラサキ科(Boraginaceae)
学名: Symphytum officinale L
英名: comfrey. knitbone
和名: ヒレハリソウ(鰭玻璃草)
ヨーロッパ原産

3.コンフリーの効能とは
コンフリーは、ヨーロッパ中世の戦乱で、負傷者の治療に使用されていた記録があるそうです。
植物成分として知られるアラントイン(Allantoin)の含有率が高いため
傷つけられた細胞の修復作用があるといわれてきました。
また含有するポリフェノールのロスマリン酸(rosmarinic acid)(赤シソ、ローズマリーに
多く含有される)が抗炎症の働きをするといわれ、傷や胃炎などの治療に用いられました。
コンフリーはビタミンB類、ミネラル類を多く含むために、欧米の民間では
貧血予防, 新陳代謝促進や強壮を目的としても摂食されて来ましたが、
現在の欧米ではピロリジディン・アルカロイドの有害性が広く知られているために、
摂食する人は少なくなりました。

4.コンフリーのピロリジディン・アルカロイドで肝臓障害
最近でこそ食材のコンフリーは見かけなくなりましたが、ひと頃は差別化したい
ラーメン屋さんなどで様々な料理に使用されていました。
当時から安全性について疑問視する人も少なくありませんでしたが
2004年6月14日、厚生労働省がコンフリー(comfrey)、またはシンフィツム(Symphytum)と
呼ばれる薬草(野菜)について、健康食品、生鮮野菜、コンフリー添加麺などの販売自粛を要請。
海外にコンフリーを原因とする肝臓障害(肝静脈閉塞性疾患)の疑い事例報告が多かったため。
コンフリーの根茎に多く含まれるピロリジディン・アルカロイド(Pyrrolizidine alkaloids) が
肝臓に危険なことは、かねてより内外の薬草事典、解説書などが記載しています。

厚生労働省は下記の近縁種についても同様な警告をしています。
プリックリーコンフリー(prickly comfrey)(Symphytum asperurn)
ロシアンコンフリー(Russian Comfrey)(Symphytum x uplandicum)

5.ピロリジディン(ピロリジジン)・アルカロイド(Pyrrolizidine alkaloids)とは
ピロリジディン・アルカロイドは分子構造では含窒素五員環に分類。
5000種以上が存在するといわれるアルカロイドの中でも、ピロリジジン環をもつアルカロイドは、
数百種類を越える植物から分離されているありふれたアルカロイド。
特にムラサキ科(Boraginaceae)、キク科(Compositae)、マメ科(Leguminosae )の植物に多く存在します。
ピロリジジン・アルカロイドは路傍や原野で、繁殖力の強い雑草として一般的な、
キク科のタンジー(common tansy:Tanacetum vulgare:ヨモギギク)と、
ラグワート(tansy ragwort:Senecio jacobaea:シロタエギク)に含有されていることが著名。
羊や牛など家畜の食中毒で、最も多い原因が、タンジーとラグワートの摂食。
民間薬として回虫の駆除などに使用していた歴史もありますが、
有害性が認知されてからは使用されていません。
現在の薬草の事典などではピロリジジン・アルカロイドが
肝臓に危険な物質であることが明記されています。



(写真上)タンジー(ヨモギギク:Tanacetum vulgare)

(写真上)ラグワート(tansy ragwort:Senecio jacobaea:シロタエギク)

(写真上)ラグワートは園芸家がダスティーミラー(Dusty miller)と呼ぶシロタエギク(白妙菊)や
近似種を指すことが多い.
この種類はシルバー色の葉が観賞用にされるが、繁殖力が強く、タンジー同様に
有害雑草として牧場では忌み嫌われる.


6.コンフリーのアラントイン(Allantoin)
コンフリーの根茎に多く含有されるアラントイン(Allantoin)は多くの動植物が
体内合成する化合物 (C4H6N4O39)
分子構造では含窒素五員環(5-ウレイドヒダントイン:5-ureidohydantoin)に分類。
アラントインには細胞修復作用があるといわれ、クリーム、ローションなど
皮膚用化粧品に使用されています。
化粧品用添加物は尿素を化学的に合成した粉末を使用。
哺乳類では核酸の代謝経路で、尿酸 (uric acid)の酸化生成物として造られる物質です。

7.チェックしておきたい粘々(ねばねば)野菜
コンフリーに類似する粘々野菜はモロヘイヤ、ツルムラサキ、ハンダマ、アシタバ
などいろいろあります。
いずれもビタミン、ミネラル含有は強調されますがアルカロイドなどからの
安全性は不明です。
一部地域で伝統療法に使用された実績はあるものの食材としての
歴史が50年未満の新しいものがほとんど。
毒性物質は栽培地、年度で大きく変わりますから個々の情報を十分得て、
食べ過ぎないことが肝要でしょう。


(写真上)モロヘイヤ(シマツナソ:縞綱麻(Corchorus olitorius:jute)

(写真上)ツルムラサキ(蔓紫:Basella alba)
蔓(ツル)にはムラサキとグリーンがある.

(写真上)ツルムラサキ(蔓紫:Basella alba)

(写真上)ハンダマ(水前寺菜:Gynura bicolor)
表は緑.裏が紫色です.
アシタバ(明日葉:Angelica keiskei)の写真はありません.


初版:2004年06月14日
改訂版:2010年6月
改訂版:2014年7月

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