しらす・さぶろうの日本人がんばれ!観光立国編
第五十八話:観光大国フランス北西部の自然派動物園「プラネット・ソバージュ」
2014/06/20

「プラネット・ソバージュ:Planete Sauvage」.
欧米の動物園エントランスは目立たぬように質素なのが特徴的.


フランスが自他ともに世界一と認める「食と観光」を日本にレポートしているマリー・セシルさん。
フランス北西部ナントからサファリタイプ動物園「プラネット・ソバージュ」のレポートが届きました。
ナントから20キロに立地する「プラネット・ソバージュ」。
動物園の在るべき姿を示唆しています。
Sauvageは野生の意

日本では動物園といえば独房のような檻(おり)。
多少改善された昨今は、少々広くなったとはいえ牢獄状態は変わらず
雑居房になった程度。

首都圏の動物園で動物に優しい軟禁環境と思えるのは千葉市動物公園(写真上)くらい。
それでも刑務所の広い庭に出れる程度。監禁状態なのは変わらない。
自然派を目指したと自称する東京都多摩の動物園も横浜市のズーラシア動物園も
牢獄監禁状態から脱皮していない。
考えてみれば「プラネット・ソバージュ」をサファリタイプとあえて呼ぶことはおかしい。
動物園はこのような自然な状態を作り出して飼育するのが当たり前となってほしい。

道(trail)に沿って車で移動し、車窓から眺めるのは体力的に楽。
老人、子供、幼児など弱者に優しい。
一般動物園でトロリーを利用するに等しいが、個室のメリットは、はるかに大きい.

どこから観るか飼育動物とトレイルの地図で子供がプランニング.ダチョウがトレイルを悠々.

入場料はオプション別になっていますが、通常料金で大人26ユーロ、3歳から12歳までが21ユーロ。
セシル家は大人2人、子供2人の計94ユーロ.勤務先会社の割引制度で47ユーロになりました。
2007年夏は大人17ユーロ、子ども11ユーロだったそうです。
私営とはいえすごい値上がり!
満足すべき規模の動物園、水族館を私営するのは至難。成功例は数少ない。
動物の購入費ばかりでなく膨大な餌代とメンテナンスだけでも負担が増え続ける。
経営を続けるのに、とんでもなく高額な入場料が必要なのが理解できます。
結局、私営施設は中産層以上しか対象となりません。
それでも子育てと大家族に優しいフランス。
様々な工夫で低所得層に対応。
来ている人のほとんどは何かしらの割引制度を利用しているようです。

日本から見れば為替レートがユーロ高ですからさらに高く感じますが
フランス人の感覚では家族4人で勤務先会社負担の割引後は約5,000円の負担。
私営ですから、これくらいはやむを得ないのでしょう。
観光大国、レジャー大国のフランスは世界でも官民が特に家族旅行を奨励している国。
低所得家族にはそれなりの優遇策があります。

シマウマ(Le zebre)と仲良しのヌー(Le gnou)

(参考:マリーさんの解説)
フランスの公立幼稚園は無料。5ユーロで動物園へのバス付き遠足にも参加できます。
また、子どもが3人以上の家族に適用される「大家族割引制度」があり、
国鉄料金や全部ではないですが、レジャー施設の入場料が割引になります。
同じく子どもが3人以上だと育児手当の額も大きく、各種税金の計算もかなり優遇。
子どもの習い事で行く公立音楽院の授業料は所得別に細かく分けられています。
学校の給食費も同様。

「大家族割引制度」は半世紀以上続くフランス国鉄の
家族割引カードSNCF carte famille nombreuse)が出発点。
その後割引が様々な分野に拡がっていましたが、21世紀初ころより
サービス範囲が急速に収縮。
国鉄(SNCF)に年間100億円を補填している政府までもが国鉄への負担減を
主張するようになっていました。
問題を重視した国民が猛反発して立ち上がり、政権を揺るがす議論の末、2006年に制度改革。
協賛企業を募り、サービスを拡大させるようになっています。
フランスには「人口および家族に関する高等諮問会議
(HCPF:Haut conseil de la population et de la famille)があり、少子高齢化、移民問題を含め。、
人口の増減が及ぼす様々な影響を議論しています。
日本の行政も十分研究はしていますが経済が活性化する手段とことなり
支出増となる案件は後回し。
低所得ゆえに崩壊する家庭が急増する現状を和らげるのは、絆を強める家族旅行。
低所得者の多い近隣諸国の子供たちにも優しい観光政策ともなり、将来の友好関係に役立つはず。

フランスの国土は一人当たり日本の2倍以上ですが、日本の都市近郊でも工夫次第。
公営なら不可能ではないでしょう。

 
立地的に英人観光客が多いにかかわらずイルカのパフォーマンス解説は
フランス語のみ。フランス人らしい思考。
日本も同様施設で英語、中国語、韓国語が使われているところは少ないでしょう。

(写真上)「草原の野生動物」という表現がピッタリ.
ここではモンゴル風のパオに泊まるプラン、簡易テントで野営(bivouac:ビバーク)するプランもあります。
2食付で1人100から180ユーロはしますから中産層以上しか負担できないでしょう.

宿舎(ねぐら)へはこのトレーラーで帰るのでしょうか


(写真上)シロオリックス(L'oryx algazelle またはOryx dammah)。角が格好いい。

Le bison(バイソン:野牛)
クマなどの猛獣は電流によってさえぎられています。

こんな広い庭を散歩することが出来る象は幸せ。

アジアの動物園と較べてみましょう。

 

(写真上)アジア一ともいえるシンガポール動物園.
シンガポールは極小の国土ゆえに一つ一つのゾーンはそれほど広くありませんが、
それでも日本の数倍以上.
造園などの環境作りは殺風景な日本の動物園(下の写真)とは比較できないほど動物に優しくできている。
冬が厳しい地域ではこのような環境は無理だが沖縄ならば不可能ではない.

(写真上)チェンマイ動物園(タイランド)のホワイトタイガー舎
シンガポール同様に観賞の便宜を考えつつも奥行きのある庭は虎に優しく、休養する場所がたっぷりある.


(写真上上段左)神奈川県横浜市内の野毛山動物園.
(写真上上段右)同じ横浜市郊外の金沢動物公園.庭園動物園を謳いますが、アフリカ象の展示でこの程度.
(写真上下段左)同じく横浜市郊外の金沢動物公園.行動範囲の広いワラビーには狭すぎます。
(写真上下段右)東京都上野動物園.

(写真上左)行き場のないサイ.横浜市の金沢動物公園
(写真上右)希少動物オカピーの運動場は特別待遇.それでもこの程度です.横浜市郊外のズーラシア.

(写真上左)横浜市市街地の野毛山動物園.トラの独房は30㎡もあるかどうか.
(写真上右)独房タイプの収容所は、日本だけではなく、まだ各国にあります.

(メスライオン:ホーチミン市動物園)
 
(写真上下)オークランド動物園(ニュージーランド)
ガラス越しのインドヒョウ見学は上野動物園の虎舎と同じ方式ですが、広さが数倍もあり、
小窓程度の上野に較べ、大きなガラスでとても見やすく、ガラス窓に近づいてくると
迫力あります。
動物にも人間にも優しい環境づくり。企画者の思想の違いでしょう。

(写真下左)日本で最も迫力ある展示は東京都多摩動物公園のメスライオン.
小さな庭状のスペースを特別仕様バスで回遊.窓ガラス越しに見学できます.
(写真下右)ホーチミン市動物園のホワイトタイガー.
やはりガラス越しで迫力あります。飼育場は上の写真とは較べることが出来ないほど
狭い檻ですがそれでも250㎡はあるでしょう.
東武動物公園のホワイトタイガーもガラス越し見学ができるようになりました.
トラが直線で歩くことも困難なほど狭かった独房に較べればかなり広くなりましたが、緑のほとんどない造作.


(写真上)バンコク動物園の広大なスペースには緑滴る庭園が造り出されている。

バンコク動物園(タイランド)
神聖な動物にしては広いといえない象舎ですが、日本よりははるかに広く
快適そうです。動物園全体が水と森の公園となっています。

(しらす・さぶろう)
 
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