シガトキシン(CTX)、パリトキシンPalytoxin (PTX)、コノトキシンconotoxinなど非常に強い毒性と大分子構造を有するポリエーテル系polyetherの天然有機化合物群
サイト内検索はこちら↓  [an error occurred while processing this directive][an error occurred while processing this directive]
●A-Z検索●


[an error occurred while processing this directive]
[an error occurred while processing this directive]
乃木生薬研究所
研究開発部門のコラム

世界の食材に焦点を置いた
グルメガイド。
ニュース

0990海産毒素が世界を救う(1)
ふぐ毒から始まった、難病解決の糸口

テトロドトキシン(テトラドトキシン)tetrodotoxin
2004年1月9日(金)



ふぐ料理のシーズンは最盛期を迎えています。
フグといえばテトロドトキシン(テトラドトキシン)tetrodotoxinといわれるくらい、致死性のある毒が有名で、フグは鉄砲、北枕、ガンバ(葬式のお棺ガンより)、ナゴヤ(尾張、終わり)などと死を意味する別名で呼ばれます。
しかしながら、この厄介なフグ毒の生理活性解明から始まった神経毒neurotoxinsの研究が人類に大きな恵みを与えようとしています。
フグ中毒の研究により、フグ毒が閉鎖して中毒を起こす、神経伝達物質の出入り口、ナトリウムチャネル(注1)の存在と、そのたんぱく質組成が確認されましたが、この発見がその後の生命科学の発展に大きく貢献しました。

海洋性生物Marine bioproductsからは、フグ毒のテトラドトキシンを数百倍も凌ぐ、シガトキシン(CTX)、パリトキシンPalytoxin (PTX)、コノトキシンconotoxinなど非常に強い毒性と大分子構造を有するポリエーテル系polyetherの天然有機化合物群(解説参照)が発見されています。
これら毒素の不思議で多用な生理活性から、脳梗塞、テンカン、不眠症、ボケや、アルツハイマー、パーキンソンなどの難病治療や、モルヒネを上回る鎮痛薬などの新薬開発が生まれる可能性が高く、大きな期待がもたれています。
毒素toxinの解明には、毒素の有機化合物合成が欠かせないプロセスになりますが、この分野では日本人が目覚しい活躍をしています。
1994年にパリトキシンの完全合成に成功した岸義人教授(注2)や2001年にシガトキシンの全合成を達成した東北大の平間正博教授のグループなどの成果は、新薬開発に大きな貢献をしたといえるでしょう。

注目される新薬開発競争(解説3を参照)ではアイルランドDublin, Irelandのエラン社Elan Corporationが、イモ貝(いも貝)(※)に由来する毒素コノトキシンより開発しているジコノチドZiconotideが注目されています。ジコノチドは進行癌や帯状疱疹(ヘルペス)など、モルヒネや消炎鎮痛薬などが効きにくい激痛に対応する新薬といわれています。



注1)イオンチャネル (ion-channel)

ナトリウムチャネルとはナトリウムやカルシウムなどが透過する細胞膜の小さな孔であるイオンチャネル (ion-channel)をナトリウムイオンが透過するときに、このように呼ばれます。
イオンチャネルは透過するイオンの選択性によりNa +チャネル、Ca2+チャネル等に分類されますが、この他にもカリウムイオンチャネルpotasium channel)、塩素イオンチャネル( chloride channel)というチャネルがあります。
ナトリウムチャネル(sodium channel)は神経や筋肉の細胞膜に存在し、主として電位差により、細胞内外のナトリウムイオンがこの孔を透過することで、神経や筋肉に興奮性の刺激を伝えます。
神経毒neurotoxinsは、このチャネルを塞ぐことにより、細胞組織を麻痺させるため、中毒症状をおこします。カルシウムチャネルには、L、N、P/Q型などの3種類が発見されており、それぞれ活性が異なります。このうち、痛覚の神経伝達物質はN型といわれ、後述の海産毒素コノトキシン(解説2−E)がそのチャネルを選択閉鎖する作用を持たせて、新薬開発に繋げています。


注2)岸義人教授

2001年、文化功労章授章者。ハーバード大学教授。 1937年生、名古屋大学理学部卒。
天然有機化合物より特定の物質を抽出して人工合成することの第一人者。特にフグ毒、シガテラ毒、海綿など海洋生産物分野の研究が多い。名大当時にテトロドトキシン(テトラドトキシンの全合成に成功、また抗菌、抗癌抗生物質マイトマイシンC(mitomycin C15H18N4O5.協和醗酵)を放線菌Streptomyces caespitosusの体内物質から合成したときに重要な役割をはたしました。
その後ハーバード大学において、ハワイなどに産するサンゴの仲間イワスナギンチャクのもつ猛毒物質パリトキシンの、不可能といわれた全合成を1994年に成功させました。ふぐ毒研究で著名な名古屋大学平田義正教授(1915-2000)の門下生。2001年に不斉合成(物質が持つ両極の活性の一極を選択合成する)の触媒開発でノーベル化学賞を受賞した野依良治博士(1938年、京都大学)と同門。


*************** 解説)************************

海産毒素について

1985年には大部分の海洋性生物がもつ毒素は、それが体内で合成されているというより、摂食した海洋微生物によるものであるとの学説が定説となりました。


1)海洋微生物により生成される毒素 
  ※(括弧内は分子構造が同定された年)
Staphyloccus,Bacillus, Micrococcus, Alteromonas, Acinetobacter, Vibrio 属など多数の細菌によるテトロドトキシン(テトラドトキシン)(TTX)(tetrodotoxin 1964年)。ふぐ中毒の主要原因

渦鞭毛藻Gymnodium breveが原因となるブレベトキシン(BTX)(Brevetoxin Bタイプ1995年, Aタイプ1997年)赤潮red tideのプランクトンで、摂食した広範囲の魚が毒魚となる。

渦鞭毛藻のGambierdiscus toxicusによるシガトキシン(CTX)(ciguatoxin、マイトトキシン(MTX)(maitotoxin 1996年)広範囲の魚が毒魚となるシガテラ食中毒の主要原因

渦鞭毛藻 Alexandrium tamarense (c) Larry Fritzによるサキトキシン(saxitoxin 1975年)二枚貝の中毒原因

渦鞭毛藻 Ostreopsis siamensisによるパリトキシン(PTX)(Palytoxin1981年)アオブダイ中毒の主要原因





2)海洋性生物より検出される大型毒素

@テトロドトキシン(テトラドトキシン)tetrodotoxin C11H17O8N3
 分子量319

Staphyloccus,Bacillus, Micrococcus, Alteromonas, Acinetobacter, Vibrio 属の細菌などが原因物質として単離されている。 ふぐを食する習慣が日本の海産毒研究を世界的レベルにし、数多くの有力な研究者を輩出した。ふぐ毒の原因物質は帝大(東大)の田原良純博士が最初に発見、1909年にテトロドトキシンと名づけた。以後名古屋大学の平田教室などを中心に日本の海産毒の研究が発展する。
フグ毒は先述のイオンチャンネル(注1)にナトリウムイオンが流入するのを阻害することにより、神経を麻痺させる。 現在ではふぐ類以外にも数多くのテトロドトキシン含有動物が世界中より報告されている。
テトロドトキシンを持つ生物(カッコ内は毒素が同定された年)
●カリフォルニアイモリ(Taricha torosa 1964年)イモリ科(Salamandridae)Taricha属
イモリには毒を持つ種類が10種はある。米国カリフォルニアと太平洋岸に生息する。 毒を持つTaricha属には他にT.rivularis T.granulosa)などがある。
●ツムギハゼ (Yongeichthys criniger 1970年代)
奄美大島、南西諸島などに生息する。
●ヒョウモンダコ類(Hapalochlaena fasciata, Hapalochlaena maculosa 1980年頃)
オーストラリア、南西諸島、南九州、伊豆七島、房総などに生息。
●Atelopus属のハーレクイン・フロッグHarlequin Toad, Harlequin Frogと呼ばれる蛙類(A.varius varius, A.varius ambulatorius, A.chiriquiensis 1975年)
コスタリカ原産、中南米に生息する。
●スベスベマンジュウガニ(Atergatis floridus 1986年)甲殻類オウギガニ科(Xanthidae)
台湾など熱帯、亜熱帯海域に生息する。
同科のウモレオウギガニZosimus aeneus、
ツブヒラアシオウギガニPlatypodia granulosaも有毒。

●ボウシュウボラ(Charonia lampas sauliae)
ホラガイTritonsの仲間、フジツガイ科(Cymatiidae)
日本では中部太平洋沿岸地域に産する。


Aシガトキシンciguatoxin  C59H84O19
  分子量 1110

シガテラciguatera中毒(下記注)の原因物質。名前は毒を持つ巻貝シガに由来する。
マイトトキシンB同様、渦鞭毛藻Gambierdiscus toxicusが産出する毒素の一つ。生物個体の毒素含有量は微量ですが、摂食した餌による個体差が大きく、中毒死亡例も数多く報告されています。シガトキシンはその原因物質として1967年に分離され、1989年に構造決定されました。下痢や嘔吐の消化器障害、血圧降下などの循環器障害、知覚異常などの神経障害などが挙げられます。2001年秋、東北大の平間正博教授のグループがシガトキシンの全合成を達成し、米国で高い評価を得ました。シガトキシンはナトリウム透過性を高める作用があります。言い換えればナトリウムチャネルを活性化する作用があります。
注) シガテラciguatera
シガテラciguatera中毒は、世界で最も多い魚の中毒といわれます。
熱帯地方を中心に毎年数万人の中毒が発生、死亡例も珍しくありません。サンゴ礁を棲家にするバラフエダイ、オニカマス、ドクウツボなどがシガテラ中毒原因として多いようですが、イシガキダイ、はた類、カワハギ類など広範囲な魚からの中毒例が報告されています。渦鞭毛藻が生息するところには、シガテラ中毒の可能性がある、と理解することが賢明です。温暖化と共に日本など温帯地方にも数多い事故があり、最近では千葉県の料理屋が、中毒した客より訴訟をおこされ、1260万円の損害賠償を判決されました。

Bマイトトキシンmaitotoxin
  分子量3422

サザナミハギから検出された。渦鞭毛藻Gambierdiscus toxicusが産出する毒素の一つで、天然物(非蛋白化合物)毒素では最大、最強といわれる。Gambierdiscus toxicusはシガトキシンも産出する。カルシウムの透過性を高め、細胞内のカルシウムの濃度を引き上げる作用がある。全合成はいまだ途上です。

C パリトキシン Palytoxin
  分子量2677

渦鞭毛藻 Ostreopsis siamensisが産出する毒素。パリトキシンは腔腸動物、甲殻類、藻類に含まれますが、ハワイや亜熱帯地域などに生息するさんご礁の腔腸動物パリトア(イワスナギンチャクPalythoa tuberculosa)から検出され、このように名付けられました。パリトアの生息するさんご礁海域で中毒事故が多いといわれます。日本も本州南部地域以南には生息しています。
前述のマイトトキシンと共に巨大天然物(非蛋白化合物)毒素の双璧。サンゴ礁に棲む、ナポレオンなどアオブダイの毒として、シガテラ毒とは異なる物質の存在が、知られていました。パリトキシンは、ナトリウムイオンの透過性を高め、ナトリウムチャネルを活性化します。この作用はフグ毒テトロドトキシンの反対作用です。1971年に成分が検出されて後、1981年に構造解明、1994年に岸教授(注2)により全合成されました。

D サキトキシンsaxitoxin C9H17N7O4
米国などでは、バイオ兵器として研究されていた毒素。 ムラサキイガイ、ホタテガイ、コタマガイなど二枚貝による食中毒の原因物質。北半球の太平洋、大西洋沿岸に発生する赤潮の渦鞭毛藻類Alexandrium 属3種類(Alexandrium tamarense、Alexandrium catenella、Gymnodinium catenatum)が主原因といわれる。フグ毒テトロドトキシンと活性や中毒症状が類似している。Alexandrium種の赤潮は春から夏にかけて大量発生し、冬に終息する。フグ毒同様、神経細胞のナトリウムチャンネルを特異的に阻害する。麻痺性貝毒 Paralytic Shellfish Poison(PSP)と呼ばれるサキシトキシンには、構造がやや異なるネオサキシトキシン(neosaxitoxin、neoSTX)、ゴニオトキシン(gonyautoxin、GTX)など、多数の近似有毒成分が発見されている。日本ではAlexandrium catenellaによるホタテガイの毒化が報告されている

E コノトキシンconotoxin
毒貝として著名なイモ貝(※)の主要毒素。特異な作用が新薬開発に大きな期待がされている。
ペプチド毒peptide toxins で 11-30のアミノ酸が結合している。毒素の由来、生理活性などが多様で、詳細に不明部分が多い。 コノトキシンはこれまでに三つのタイプ(α-, μ-, ω-)が発見されており、それぞれ毒素が作用する細胞部位が異なるといわれる。
最初に発見されたコノトキシンがα-コノトキシンGI(GIomega-conotoxin)。
カルシュームイオンチャネルのアセチルコリン受容体(nicotinic receptor)を阻害する作用がある(calcium ion channel blocker)。ユタ大学のB. M. Oliveraらの グループにより完全なアミノ酸配列が決められた。
μ-コノトキシンは三菱化学生命科学研究所が1980年代に沖縄産のイモ貝 を用いてアミノ酸配列 を決定したと報告している。μ -コノトキシンは筋肉のNa+チャネルを阻害する。
ω-コノトキシンは痛覚の神経伝達物質チャネルといわれるN型カルシュームチャネルを阻害する(注1イオンチャネル)エラン社(トップ記事参照)などが鎮痛剤の開発をしている。

 ※イモ貝(いも貝)cone snail
イモガイ超科 イモガイ科、(CONOIDEA, Conidae)

イモ貝類は、さまざまな色の美しい貝殻文様が特徴で、装飾貝として人気が高い。貝の収集が盛んであるため、絶滅を危惧する人も多い。形状が日本では芋に類似することから「イモ貝」、米国などではとうもろこしに類似するカタツムリ様の貝ということから「コーン・スネイル」と呼ばれる。日本の南西諸島をはじめ、世界の暖かい海に約500種が生息。独特の毒針様器官ヴェノムvenomを持つ。 猛毒で著名な種類が、俗名アンボイナanboniaまたはGeography Cone(学名Conus geographus Linnaeus, 1758)と呼ばれる種類。インドネシアのアンボン湾Gulf of Anbonに特産することで知られている。
中東に産する、美しい布地文様のアラビアタガヤサンミナシ(学名Conus textile neovicarius da MOTTA)も猛毒で知られている。名前の由来の鉄刀木(タガヤサン)は比重の重い木材として著名。

F ブレベトキシン(Brevetoxin)
渦鞭毛藻Gymnodium breveが原因となる。
ブレベトキシン(BTX)(Brevetoxin Bタイプ1995年, Aタイプ1997年)赤潮red tideのプランクトンで、摂食した広範囲の魚が毒魚となる。ニュージーランドやメキシコ湾で多発するというが、分子量など詳細は不明。研究途上の物質。牡蠣がこの毒を持つ例の報告がある。


3)新薬開発競争
 海洋性生物より抗癌治療物質(therapeutic agents)の発見


  • クリプトテシア・クリプタCryptotethia crypta(1984にサンゴ虫のMediterranean gorgonian Eunicella cavolini より単離、 Streptomyces griseusの大量養殖により合成した成分)
    クリプトテシア・クリプタの分子構造によって合成されたアラビノシル・シトシンarabinosyl cytosine (Ara-C)はファルマシア社Pharmacia & Upjohn Company からシトザールCytosar-UR,という名前ですでに抗がん剤として販売されています。この延長で抗菌作用のあるアラビノシル・ヌクレオチドarabinosyl nucleosidesのAra-A(Vidarabine)が現在開発途上であり、米国の国立がん研究所で期待されている物質です。

  • カリブ海などに産する尾索類(ホヤ類など)の生物であるチューニケイトtunicate(学名Tridedemnum solidum)から単離されたダイデムニン(ディデムニン)Didemnin Bという物質が、ガンの治療に期待されています。

  • ニュージーランド産の海綿から単離されたマイカラミドmycalamideという抗ウイルス性、抗腫瘍性物質の化学合成が成功しています。

  • ディノフラゲレートDinoflagellate(赤潮の原因となる真核原生生物、渦鞭毛藻の総称)から得た細胞毒、オカダ酸okadaic acidの脱リン酸化酵素の阻害研究によるがん細胞の解明。

  • 相模湾などに産するクロイソ海綿から、悪性細胞増殖を特異的に阻害する抗腫瘍性のハリコンドリンB Halichondrin Bの全合成に成功。(名古屋大学上村大輔教授らが単離、佐々木 誠教授が全合成) 

  • [an error occurred while processing this directive] [an error occurred while processing this directive]

    サプリメント


    Copyright(c)2000 - 2005 NOGI-BOTANICAL-Supplements. 無断転記・転用を禁じます。
    [an error occurred while processing this directive]
    当社サイトは お客様から送られる情報を保護するためにverisignを使用しています。乃木生薬研究所のSSLサーバは(株)NTTデータにより管理運営されています。



        | HOME | LINK | 会社概要 | サイトマップ | お問合せ |


    モバイル支店

    i-mode用サイトのURLをお客様の携帯電話にお送りします。
    お持ちの携帯電話のメールアドレスを入力し、「このアドレスに送る」ボタンを押してください。
    例)nogi@docomo.ne.jp

    アクセス解析 & SEM/SEO講座 by CUBIT
    南青山のサプリメントショップ:ノギボタニカル(乃木生薬研究所インターネット販売事業部) 東京都港区南青山1-26-4 
    NOGI-BOTANICAL-Supplements 1-26-4 Minami-Aoyama Minato-ku Tokyo JAPAN
    top shop news nurtirition / cart tel mail top