ロハスケ!

第十三話--大豆

2006年12月22日 17:04
ケン幸田氏のカナダ便り
(食のよもやま話)

食用油や食用油脂に含まれるトランス脂肪の話題が沸騰してから、
原料の大豆が再びスポットを浴びています。
トランス脂肪酸を低減できる新種の大豆や菜種が遺伝子組み換えで作られることから、
日本では代替品としての可否が問われているからです。

すでに大豆は、日本でも低廉な食用油原料の主流ですが、
ほとんどが遺伝子組み換え品種であることが再認識されたために
問題をさらに複雑にしています。
タイムリーに幸田さんより大豆の歴史的話題が届きました。

生活習慣病の予防に最適な食材の一つである大豆は
もっともっと愛用されて良い食材です。
日本は作付けこそ僅かになりましたが、
歴史のある食材として古くから、効用が理解されてきました。

現在の大豆は食用油の用途が大部分です。
ほとんどが大産地の米国や南米からの輸入品ですが、
豆腐、納豆、枝豆に限っては非遺伝子組み換えの国産大豆が主流です(王壮快)。

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"大豆"は、明治六年(1873)のウィーン万博に、「欧州にはない物」の代表として、
「寒天」と共に出展され、大評判を呼びました。
芸術派のフランス人は「真珠のような豆」と称賛すると、
実証主義のお国柄、ドイツ人は大豆の栄養組成を分析し
「この極東の豆は、牛肉や豚肉に匹敵する<畑の肉>とも呼ぶべき完璧な食品である」
と絶賛したそうです。

その後ドイツは栽培実験を行ったのですが、
欧州の土壌には大豆生育に不可欠な根粒菌がない事が判明し、
断念したと言う後日談まで残しています。
ご存知のように、戦後は日本主導で、
アメリカ・カナダが主要生産国となっております。
大豆には、人体に最も大切な必須アミノ酸の大半を含む良質蛋白質、約35%強、
善玉コレステロールをつくる不飽和脂肪酸中心の脂質20%などが含まれ、
正に植物性食品の王様とも言えます。

"豆腐と納豆"は製法を比べて見るとお分かりのように、
元々は逆の呼び名だったようです。
納豆の始まりは、昔、貧農家が食べ残した煮大豆をワラに包んで保管していたら、
腐らせてしまったものの、捨てられず口にしてみたら「美味い」となって
「腐豆」と呼んだのに対し、
一方は大豆を煮こんだ汁に、
ニガリを入れて固まらせた(形を整える事を「納める」と言う義から)ものを
「納豆」と呼称したのだそうです。

それが時代を経て、「ねっとり」と「なっとう」の語感が似ていることもあり、
一方漢語の「豆腐」(中国には納豆はない)導入もあって、
呼び方が入れ替わったのだろうとの説です。
尤も、異説もあり「腐る」には、「ブヨブヨと柔らかい」の意味があり、
それが「豆腐」となり、中国語とも共通であるのに対し、
「納豆」は純日本語であって、寺院の納屋で造られたからだとか、
桶の中へワラに豆を納めて発酵させたからとか、の諸説があるそうです。
いずれにせよ、どちらも平安末には文献に表れてはいますが、
一般庶民に普及したのは室町時代のことです。

"味噌"も大豆から造られ、奈良平安時代からの食品ですが、
特に普及したのは「手前味噌」の言葉が残ったように、
戦国時代、戦地食糧、兵糧として、
大名達がお抱えの味噌職人を置いたものが、
地場産業として定着、各地が競い、
自慢し会うようになってからのようです。
大豆のアミノ酸は蒸すと濃い褐色になり、ゆでると白っぽくなります。
いわゆる「赤味噌」と「白味噌」の違いですが、
さらに使われる「こうじ」によっても品種や色合いが細かく分れ、
豆こうじを使った「豆みそ」の場合、特に濃い色となり(名古屋みそ、八丁みそ)
米こうじを使った「米みそ」は白味噌と呼ばれ(信州味噌)
他にも「麦みそ」(田舎みそ)などがあります。
味付けから「甘味噌」「から味噌」があり、
用法から「なめ味噌」(金山寺みそ、ゆず味噌)などもあり、
当に千変万化の素晴らしい食品です。


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