ロハスケ!

第五話 おいしい魚の生息域

2006年07月29日 09:36
ケン幸田氏のカナダ便り
(食のよもやま話)

http://www.botanical.jp/libraries/ou/upload/2006/07/ken7-thumb.jpg

魚介類を食べるのが大好きなケン幸田さんから、
夏にふさわしい魚の生息域について便りが来ました。
魚介類の生息域に順応するメカニズムは神秘的ですが、
何故か海と川を往復する
魚、汽水域を好む魚介類、
深海と浅場を往復する魚介類は美味しいようです。

イメージの写真はアムール・チョウザメですが、
チョウザメも海、河、汽水の何処でも生息できる不思議な魚です。
水の問題なのか、養殖チョウザメによるキャビア
の採取が難しいために、
キャビアの値段は上がる一方です(王)。

「海水魚と淡水魚」は通常は所を替えると死んでしまいますが、
サケやウナギは例外で、川や湖と海を平気で行き来しております。
一般的に魚の体液の浸透圧は真水より高く、
海水より低い値になっている為、
淡水魚には水が入り込もうとするし、
逆に海水魚は脱水の危険にさらされている訳ですが、
体の仕組みでそれを防ぐようになっているのだそうです。
サケやウナギには、更に高度な可逆的な調節機能が発達しており、
川に登るとホルモンの作用でエラから入ってくる水の量を制御し、
塩分の少ない尿を多量に出す事で、
一定の血液や体液を保つことが出来るのです。
一方海に下ると、腸で水分を吸収できるように準備し、
塩分を多く排出させるような、エラの機能を発達させる一方で、
尿は塩分の濃いものを少量しか出さない事で、調節を計ると言うわけです。
なお、火山地帯などで、
地下から温かく新鮮な水が四季を通じて湧き出ている湖などに住むサケには、
海へ下らない淡水魚化したサケが棲息しているようです。
北海道の支笏湖(シコツ)や
ブリティッシュ・コロンビア州(カナダ)のクートニーレークなどがその例です。
もっとも、沖縄の宮古島沖合いの小さな島の洞窟では、
淡水魚と海水魚が一緒に釣れるそうですが、
この場合、洞窟の底が海につながっていて、
上の方には雨水がたまっていて淡水、下が海水と言う訳で、
例外中の例外と言う事になりましょうか。

“アンコウ”のイメージは、暗黒の深海底に住んで居るので、
明り取りの提灯を頭につけて動きも鈍い大型魚と言うのが一般的ですが、
それはチョウチンアンコウというホンの一部の種類に過ぎません。
アンコウ鍋やアンキモなど食用でお馴染みの魚は、全く別種の、
ホンアンコウ・クツアンコウ・キアンコウなどで、意外に浅いところ
(水深数十米から、二百米ぐらい)に棲んでいるようです。
通常は、背部前方に長く延びた触手状の肉質のトゲを動かして、
おびき寄せた小魚を捕食するのですが、餌が取れない時は海面まで上がってきて、
あの大口を一杯に開けて海鳥まで飲み込むことが、
アメリカの猟師が実際に捕獲した事で判っています。
“深海魚”には、腹部を異常に絞り込んだ形をしたエソの一種や、
頭がペリカンのクチバシ状をしたウナギとか
長い房のホウキのような尾を持つ貝の一種など多彩な珍姿怪面の個性派がいて、
水深数百米の比較的浅い深海から六千米を越えるような超深海に亘り、
多くの種が棲んでいます。
ご存知のように、水圧は十米ごとに一気圧高くなるので、
数百気圧にも至る所でも平気で棲息できる為に、
これらの深海魚は、体液や血液と海水圧を浮き袋で上手くバランスさせているのです。
あの珍奇な形相は、捕食や防御の為で、水圧による変形ではなかったというわけです。
因みに、イソギンチャク、なまこ、二枚貝などの下等動物は浮き袋を持たないため、
深海での水圧の影響をもろに受けないので、
浅深両域に棲息出来るのだそうです(ケン幸田)。

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