
“青い地球”は、人類初めての宇宙旅行をしたガガーリンの有名な言葉ですが、当時は海の青さを指したものと思われていたようですが、実は森林から出る「青いモヤ」のことだったことが、解ってきました。
昔から、中国や日本では、「青山(セイザン)」、ジャマイカやオーストラリヤ、アフリカなどでお馴染みの「ブルーマウンテン」という言葉が使われてきましたが、此れこそが、青い地球の正体だったのです。湿度の高い日本では、青いモヤが紫色に見えるため、「山紫水明」という言葉も生まれました。また、初夏などに、遠くの山々が青く霞んで見えるのも同じような現象です。
この青い「気体」は植物の発する化学物質「フィトンチッド」(ロシア語で、フィトンは植物、チッドは殺すと言う意味)で、宇宙から見ると、地球を覆って見えるほど大量に有るとされるこの物質の総量は、推定8億トンも有るそうですから、植物の生命力の強さは、動物の世界での想像を絶する崇高にして偉大なパワーを感じざるを得ません。
“殺菌作用”を持つフィトンチッドは、動けない植物が自らを外敵から守る防衛・延命策でも有ります。此れには体から出る揮発物質の他に、葉の緑や樹皮から外に出ている分泌液や樹脂、根から土の中に出している物質(ペニシリンもその類です)など、色々なものが含まれています。
フィトンチッドが、植物に寄って来た細菌類やカビ類を殺したり繁殖を押さえたりして、医薬や免疫の役目を果たしているようです。
なじみ深いところでは、ズバリ殺菌作用の強力なワサビ、もちに巻くカシワや桜の葉、寿司などを包むササ・柿の葉や竹の皮、折り詰め箱に使う経木などが、その応用品ですし、駆虫、鎮静、鎮痛、利尿などの薬剤としても、幅広く使われてきました(ケン幸田)