欧米から日本を観ている幸田さんは、日本の文化、伝統の優れた点が海外で普及していることを誇りにしています。
日本でも伝統文化を大事にする動きが大きくなってきましたが、まだまだ国民の認識が足りないことに不安を感じているようです。
植物のよもやま話 第三話
世界に誇れる園芸技術と武士道
“江戸の園芸技術は世界一”だったことは、
二百年前長崎に居たオランダ人シーボルトによって広く欧州に伝わり、
その種類の豊富さ、観賞に堪える美しさが
欧州列強国の王侯貴族の趣味となり、
交配改良技術の実験と研究が
メンデルの遺伝の法則をもたらしたことも判ってきましたし、
イングリッシュガーデンと呼ばれる手法も
すべて江戸,明治日本から学んだものだそうです。
当地も、まもなく各種アジサイの開花が始まり
夏まで色と形のバラエティを楽しませてくれるのですが、
その学名ハイドランジア・オタクサはシーボルトの命名です
(日本人妻お滝さんにも因む)。
ところで、江戸園芸の輸入まで、
欧州古来の植物種が少なかったのは、
氷河時代と関係があるようです。
ご存知のように、アルプス山脈は大陸を東西に大きな壁で横断していますが、
気象変化に対応しようとする植物も、
あの高さは越えられなかったようです(前段の花粉研究による立証)。
一方日本列島は山脈が南北に縦断している為、
高低差、温暖差、日当たりの良し悪し、寒冷地から亜熱帯まで、
さらには湿地,乾燥地と幅広い環境に恵まれ、
気象変化に植物の異動もスムースに適応できた事と、
多品種な素材を生かす交配技術の成果が
園芸世界一の評価を生んだものと言えます。
オランダで投機対象にまでなった観賞用超高級チューリップなど、
「球根2オンス」が、同じ重さの「銀」の値が付いたそうです。
(ところで、ロッキー他の山脈が南北に走っている北米には
素材を活かす園芸術はなかったようで、欧州人が持ち込んだ園芸は、
江戸ノウハウの孫と言うことになりましょう)
それにしても、絶えず創造工夫する、丹精をこめる、
忍耐で凌ぐなど日本人の良き伝統は、
現在のエレクトロニクスや自動車産業、アニメ、美術工芸、ファッションなど、
付加価値産業・文化にも十分値付いているようです。
この所、中東・テロやアジア問題に悩むアメリカの新興オピニオンリーダーが、
「最早キリスト教思想や英国の紳士道だけでは、
真の世界のリーダーにはなり得ない、今それを乗り越えられる規範は、
日本の武士道しかない」と言い出して、ここカナダの政財界までが、
新渡戸稲造の英書を彼方此方で取り上げるようになってきました。
西欧宗教、倫理観や東洋儒教にない
「死生観」「公と私のケジメ」が武士道にはあると言っております。
ひょっとして、現在の日本人が、
戦後ばっさり捨ててしまった多くの善悪混交の規範の中に、
武士道も含まれていたとしたら、
北米から期待される日本人も
今後の国際社会のリーダーシップの資格をなくしてしまったような危惧を覚えます。
(ケン幸田)