〜米国食品医薬品局(FDA)がキノコ健康食品に警告書〜

1.FDA警告書の内容 イミューン・アシスト
今年(2006年)の8月に米国の健康福祉省(HHS)の食品医薬品局(FDA)より一通の内容証明警告書が出されました。
オレゴン州のノースウェスト・ボタニカル社(Northwest Botanicals,Inc.)が販売するサプリメントのイミューン・アシスト(Immune-Assist 247?)が連邦食品医薬品化粧品条例(the Federal Food, Drug, and Cosmetic Act)にたいして重大な侵害をする表示をしているというものです。
イミューン・アシスト247は多種類のきのこから抽出した多糖類(きのこの細胞壁などを構成するβグルカンなど)で作られたサプリメントです。
悪性腫瘍、癌、エイズ、B,C型肝炎、鳥インフルエンザなどに有効と表示していますが、主成分と、表示される効能は下記の通りです。
2.FDA警告書の真意
中国(香港を含む)、米国、日本にはイミューン・アシストと同様に複数のキノコエキスを混合した健康食品が多数あります。
イミューン・アシストは1ヶ月分が6千円程度ですが、日本や香港には数万円から10万円を超える商品も珍しくありません。
1994年に施行された条例以来FDAが効能表示を認可したキノコ類健康食品の薬学的効用はこれまでのところありません。
それ以前の健康食品素材では安全性を認めるにとどめています。FDAの真意はがん治療効果が認められないサプリメントを高価格で販売する業者を排除することでしょう。
日本でも癌の治療を謳うキノコ類販売業者に対して同様な警告が厚生労働省より出されています。
キノコ類の保健食品としての効用は万人に認められているといっても過言ではありませんが、がん予防などの保健目的ならば野菜市場のキノコ類の摂食、シイタケなどの安価な抽出物のサプリメントで充分といえます。癌などの治療目的ならば医薬品認可されたクレスチンなどが選択肢でしょう。
猪苓(ちょれい)、茯苓(ぶくりょう)、霊芝(れいし)、冬虫夏草(とうちゅうかそう)などは中国の伝統生薬ですが、現在の中国の監督官庁が公認した癌の完治報告は知られていません。
3.日米では健康食品のキノコによるがん、エイズ、B、C型肝炎などの治療効果は認められていません。
キノコ類が、悪性腫瘍や癌に有効かどうか、現在の日米医薬品認可基準では実証できていないからです。
各国の伝統医療で使用される生物、鉱物をヒントに製造された欧米の医薬品は、アスピリン、モルヒネなど数多くの実例がありますが、日本でキノコ菌から製造された医薬品はシイタケのレンチナン、かわらたけのクレスチン、スエヒロタケのソニフィランなど限られており、米国で開発されたものはありません。
1977年にクレスチンが販売された時には癌の特効薬として大きな期待がもたれ、一時は年間600億円から一説によれば末端では1,000億円の市場が形成されました。
その後臨床例が増えるに連れて、単独投与では完治するケースが少ない(無い?)など、種々の問題点が指摘されるようになり、レンチナン、ソニフィランなどを含めた現在の市場規模は10分の1以下といわれます。薬品の開発会社もキノコ類に関しては健康食品市場を志向しており、医薬品の新薬は現在のところありません。
世界中の多数の研究者が断片的に発表するキノコの効能は現在でも優れた論文が数多くありますが、その研究が医薬品製造までに発展しない原因はどこにあるのか、謎です。

4.キノコ・エキスは免疫力を強化する保健食品
健康食品としてはシイタケ(椎茸)レイシ(霊芝)(サルノコシカケ、マンネンタケ)、カワラタケ(川原茸)、アガリクス・ブラゼイ(ブラジル茸)、ハナビラタケ(花びら茸)、マイタケ(舞茸)、メシマコブなどを中心に数多くの製品があります。免疫力強化やホモシステイン除去など予防医学的に優れた効果を示すことは疫学的にも有効例があるために、保健食品としてキノコ類を摂食することに異論を唱える学者は多くはありません。
日米の監督官庁(厚生労働省、米国健康福祉省など)が問題にするのは、医薬品といえども癌完治が難しいキノコエキスを悪性腫瘍や癌、エイズ、B、C型肝炎の貴重な治療薬のように宣伝し、高価で販売する業者が後を絶たないことです。海外では日本のレンチナンやクレスチンを引き合いに出して、シイタケやカワラタケを原料にした健康食品を癌の治療薬として宣伝する業者が現在でもいます。
5.キノコ菌から製造された日本の医薬品
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