1.山形県のワイン産業
2.地ワインに徹する小規模なワイナリー群
1. 山形県のワイン産業
山形県はさくらんぼ、りんご、ぶどう、ラフランスなど、果物の産地として全国でもトップクラスの生産量があります。全国1のさくらんぼが著名ですが、ぶどうの出荷量も第3位といわれます。食用ぶどうではアメリカ種の小粒な種無しデラウェア(Delaware)、ワイン用ぶどうでは、甲州種、デラウェア種、ドイツ種のリースリング(Riesling)、ケルナー(Kerner)や、シルヴァネル(Silvaner)とリースリングの交配種であるミュラー・トゥルガウ(Muller-Thurgau)などの栽培に特徴があります。
山形県のワイン製造は世界大戦(1941年〜)前からの永い歴史があります。戦前のワイン生産者集積は甲州に次ぐ規模だったようですが、その後は目立った発展はしていません。ピークでは年間3,000キロリットル程度の出荷量といわれますが、近年はその半分以下で、全国でも6-9位くらいでしょう。

ミュラー・トゥルガウ(Muller-Thurgau)
山形県のワインは販売量がありませんから、その10倍も販売する山梨県のように外国産ワインの混入でまかなう必要が少なく、純国産の県産ぶどう使用率が高いのが特徴的です。首都圏のような大消費地を背景に持たなかったからといえますが、世界的な供給過剰の現状では、それが幸いしているかもしれません。
2. 地ワインに徹する小規模なワイナリー群
山形県には11社のワイン製造業者があります。
比較的規模の大きなマーケッティングを模索する会社が3社ありますが、最も注目すべきなのは、一品種で200-1,000本/720mlくらいを生産する小規模な業者です。独自性を持つ小規模生産者は5社ほどありますが、いずれも生産者の顔が良く見えています。農産物であるワインには大事なことです。
品質の保証をする組合もありますが、認定証は生産者、消費者にはあまり関心をもたれていない印象でした。イタリアのように、独自性を貫く小規模な生産者たちですから、お墨付きは不要なのでしょう。
小さな規模で独自性を保つワイン生産者は、庄内地方の鶴岡に近い、山葡萄の「月山ワイン・やまぶどう研究所」を除けば、山形県の南部に集中しています。
いずれも山形市よりやや米沢市に近い南陽市(人口約36,000人)の白竜湖周辺に散在します。この辺りは金銀など希少金属が産出した吉野鉱山の下流に当たる土壌で、食用デラウェア種のハウス栽培(レインカット)が盛んな地域です。技術向上の目的で地場産の国際種でワイン作りもしていますが、シャルドネ(Chardonnay)、カベルネ(Cabernet Sauvignon)など国際種の市場性には懐疑的で、地場産ぶどうの甲州、デラウェア、マスカットベリーA(日本産改良種)、ナイアガラ(Niagara)など在来品種で地ワインを製造しています。都市圏の食卓用ワイン販売の難しさを認識しているために、ネット販売を除けば地域消費(地産地消)と観光土産需要がほとんどです。
日本のワイン業界が直面している在庫急増も、地ワインを小規模に作る、これらのワイナリーには無縁のようです。いずれも、国産ワインの進路に関しては、結論を先取りしているかのようなしっかりしたマーケッティング・コンセプトを持っています。

大浦ぶどう酒ワイナリー

試飲所隣接の貯蔵庫

自慢のバレルエイジング・シリーズ

大浦敏子さん、大浦宏夫さん
甲州種の原種は、甲州から金の採掘に移入してきた山師が、十分の一山から金沢と呼ばれる一帯に広がる地域に持ち込んだそうです。吉野川流域の吉野、萩地区から、この辺りにかけては江戸時代に金を産出したそうです。
バレルエージング(樽熟成)と名付けられた自信作のワインには遺伝子が変異しているだろう甲州種の白ワイン(2000年産3,255円/720ml)とブラック・クイーン種の赤ワイン(2003年産3,255円/720ml)があります。それぞれ1,200本、2,400本の少量限定品ですが、非常に優れたワインです。
2000年の白ワインを購入しましたが、私的なテースティング・パーティーでは、ヒラメと貝の刺身料理の場合、タルの匂いの強いシャルドネより高い評価でした。(ワインよもやま話第13話参照)。

カベルネ・ソービニオン(Cabernet Sauvignon)

シャルドネ(Chardonnay)








3. 従来型のマーケッティングを志向するワイナリー






ワインの試飲は比較的おおらかで、発泡ワインを除けば、高額ワインの試飲も無料です。ボルドーで技術を学んだからか、赤はブレンド物が多いので、シャルドネなど、白を中心に試飲しました。山形産シャルドネのシャトー・タケダ(1999年、5,250円/700ml)、レ・フレールタケダ(1999年、2003年/720ml)、ピュア・シャルドネ(2003年、1,700円/720ml)、デラウェア種のアイスワイン(1,365円/720ml)が印象に残っています。シャルドネは他産地のとは異なった、独特の風味を感じました。
ここでは蔵王スターシャルドネ(2000年、2,100円/720ml)を自宅でのテースティング用に買い求めました。



4. 山形県ワイン生産地の土壌
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