王壮快のマーケッティング・コラム

ワインよもやま話:第六話 オブセ・ワイナリーのソガ・ワイン

ワインよもやま話 第6話

信州、北信地区のワイン産業
独自性のあるワイナリー(4)〜オブセ・ワイナリーのソガ・ワイン〜


長野市より北に20キロの須坂市は人口約53,000人/2003 年、かっては製糸業が栄えたところです。須坂市では、古くから、生食用のぶどうを栽培していました。
ワイナリーも第二次世界大戦以前から存在し、ワインは主として生食用ぶどうの規格外品を活用するために製造されていたそうです。
ワインの製造ではおそらく塩尻地区の桔梗ヶ原より古いのではないかといわれていますが、生産量は他の地区に較べ多くはありません(小布施酒造、北島社長)
現在は隣の小布施町を含む一帯が、クリ、りんご、さくらんぼの生産地として著名ですが、クリやりんご畑を侵食して、食用の巨峰ブドウ栽培が盛んとなっています。
高山地区ではワイン用の品種も増えてきました。
既報のように長野県はワインを産業振興の戦略商品としており、日本酒、きのこ、肉、牛乳、花に次ぐ、新たな中核産業育成を目指しています。
北信地区は、長野県のワイン産地としては主要消費地の首都圏から一番遠いだけに、独自性が維持されてきており、これからが楽しみな地域です。



須坂市高山地区のブドウ栽培



ブドウのポット栽培(オブセ・ワイナリー)

オブセ・ワイナリー

小布施町には、小布施酒造(小布施酒造株式会社、長野県上高井郡小布施町押羽571)が経営する、小さいながらも、オリジナリティーのあるワイナリーがあります。オブセ・ワイナリーでは純地元産のシャルドネ種(Chardonnay)、ピノノワール種(Pinot Noir)、メルロー種(Merlot)などを使用した、独自のソガ・ワイン、ドメーヌ・ソガ(Domaine Sogga)を生産しています。商品は在来種など一通りありますが、主としてフランス志向であり、スパークリング・ワイン、ソーテルヌ・タイプ*、カルヴァドス、シードルなどにも挑戦しています。 *シャトー・イケム様の極甘口白ワイン
ソガ・ワイン

オブセ・ワイナリーのマーケッティング

小布施酒造(曽我義雄社長)には日本酒、ワインともに少量、良質、純信州産というこだわりがあります。 4ヘクタールの自社農園を中心に、山梨大学で醸造を学び、フランス、シャブリ村などで修行した子息の曽我 彰彦氏(33)が生産を担当し、シャルドネ種(Chardonnay)などフランスタイプのブドウを栽培しています。 ワインの製造量は年間のブドウ原料仕込み量が40キロ(会社公表数字)と少なく、どちらかというと、ホテル・レストランのシェフなど、プロ好みですから、首都圏では何処にでも置いてあるというワインではありません。 曽我義雄社長のマーケッティング戦略は、規模拡大を追わず、ローカル・ワイナリーに徹することだそうです。 曽我義雄社長は、長野県の他の地区のワイナリーとも原産地呼称制度の確立などを通じて交流し、その代表メンバーとして、信州産ワインの地位確立に取り組んでいます。 現在のオブセ・ワイナリーは試行錯誤の段階であり、採算より、まず品質面で先進国に追いつくことを目標としていますが、コスト・パフォーマンスの重要性は認識しているそうです。 オブセ・ワイナリーで販売している、一般的なヴィンテージのシャルドネ・ワインの価格は、フランスのプレミエール・クラスの値段ですが、品質、風味が「勝るとも劣らず」を目標にしています。最近では、土壌などの管理がし易いポット栽培など、新たな栽培方式も採り入れて品質改良に取り組んでいますが、将来のキーはコストダウンととらえています。 戦略としてはオーナーの顔が見えている理想的な形ですが、日本のワイン産業が生き残るかどうかのモデル・ワイナリーともいえます。
曽我義雄社長

オブセ・ワイナリーの歴史

小布施酒造は太平洋戦争中の酒醸造所の撤廃、統合等の統制で廃業しており、醸造所の再興までには20年の空白があります。 中興の祖である、曽我義雄社長は戦後の舶来物信仰と舶来品ブームを肌で感じていました。 昭和37年に醸造所を再興するに当たり、これからは日本酒ばかりでなく、ワインなど欧米タイプの酒類の時代が来ると考えました。日本酒はビールを除くと圧倒的な生産量がありましたが、生産量は頭打ちとなり、かげりが見えていました。 お米が貴重品になった昭和17年に、りんご酒製造を始めていたため、果実酒の経験はありましたが、当初はブドウ、りんご以外に、アンズ、スモモ、桃、さくらんぼ、ブルーベリー、やまぶどうなど考え付くあらゆる果実酒を試したそうです。 フランスタイプを始める前は、日本では始めてといっても良い、巨峰ワインで成功し、ワイナリーとして知られるようになりました。
須坂市はりんご栽培が盛んです
小布施酒造の日本酒

ソガ・ワインの試飲

シャルドネは主力商品の一つだけに種類も豊富です。
  • '03 シャルドネ 2e Domaine Sogga (720ml、\2,625)
  • '03 シャルドネ 自然系サンスーフル (720ml、\2,625)
  • '02 シャルドネ ムラサキヴィンヤード Domaine Sogga  (720ml、\3,675)
  • '02 シャルドネ プライベートリザーヴ Domaine Sogga  (720ml、\5250)

    他地区製品との比較上'03 シャルドネ 2e Domaine Soggaを購入して賞味しました。
    生産者がフランスのシャブリ村で修行しただけに、 シャブリの風味を目指していることが良くわかる美味しいワインでした。 ソムリエなどプロの評価はわかりませんが、全体の印象は一般的なシャルドネ種の中級ワイン(私には基準はありませんが)というものでした。

    試飲してみました。


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