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世界の健康ニュース解説

上海で確認された新型インフルエンザの遺伝子変異

  1. 上海の新型インフルエンザに遺伝子変異
  2. 2009年6月10日にA/Shanghai/7IT/2009と呼ばれていた新型インフルエンザA(H1N1)の、PB2アミノ酸配列の627番目がE627から E627Kに変わっていたことが確認されました。 これは感染能力が高くなったことを意味します。    
    上海で確認されたケースは5月28日にニューヨークのロングアイランドより香港、北京経由で、31日に上海に戻った23歳の中国人女子大学生(米国大学在学)です。復旦大学(复旦大学)などで精査が続けられていましたが、6月10日にE627Kへの変異が確認されました。

    女子学生の体内でリアソータント(哺乳類の体内で異なったウィルス同士が再編される)されたのかは確認できていません。
    E627Kへの変異は冬季を迎えている南半球では既定の事実といわれていましたが、そのウィルスに香港で感染したことも疑われています。
    いずれにせよメキシコ発の豚インフルエンザは4種類のインフルエンザ・ウィルスがアソートされており、複雑な変異(ミュータント)を繰り返すことが予想されています。

    新型インフルエンザ総感染者数の統計はすでに不可能となっており、完全なパンデミック状態です。
    現在北半球で拡大しているインフルエンザは大部分が新型ともいわれています。

    今後の変異も予想が出来ませんから、現在のワクチンが完璧な効果を持つかはまだわかりません。
    米国ではスペイン風邪の先例から、若い人に過剰免疫(サイトカイン・ストーム)の可能性が大きいために、猛毒(virulent)という表現を使用して警戒を強めています。

  3. E627Kとは
  4. E627Kとは一般的に季節性インフルエンザと呼ばれるソ連型、香港型など、ヒトヒト感染を繰り返すインフルエンザが持つ遺伝子です。

    インフルエンザ・ウィルスの遺伝子は8つに分かれています(分節)。
    この遺伝子(たんぱく質で構成されています)の一つにPB2と名付けられた分節遺伝子がありますが、E627Kはそのアミノ酸配列(sequences)の627番目が変異した遺伝子です。

    頭に付いているEは鳥由来インフルエンザを意味し、アミノ酸はグルタミン酸です。
    このアミノ酸は摂氏37度以上40度前後で最大の活性(ウィルス遺伝子を転写、増殖させる)を持ちE627とよばれます。鳥の体温といわれ、ヒトの体温以上ですから感染は簡単には拡がりません。
    一方、KはE627アミノ酸がリジンに変わったものでE627Kと呼ばれます。
    冬の気温下で鼻、のど(上気道)の粘膜が持つ体温(摂氏33度)でウィルス遺伝子を転写、増殖させます。
    感染拡大が早くなったことを意味します。
    E627Kは一般的に季節性インフルエンザと呼ばれるソ連型、香港型などヒトヒト感染を繰り返すインフルエンザが持つ遺伝子です。