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インゲン豆のヘマグルチニン毒素とダイエット:TBS報道で健康被害
ダイエット番組を信じてキドニー・ビーン(Kidney Bean)といわれる白いんげん豆を摂食した人、数十人が激しい嘔吐と下痢に見舞われたという報告がありました。番組はTBSテレビが最近放送したものです。症状から言えば、原因はこの種の豆類に有名な毒素の植物性ヘマグルチニンでしょう。
英国では1970年代の後半に同様な事件が多発しています。
- いんげん豆(隠元)(英名:Kidney Bean)(学名:Phaseolus vulgaris)
- 植物性ヘマグルチニン毒素とは:"生"より危険:豆の調理法に警告
- 十分な加熱で消滅する植物性ヘマグルチニン毒素
- ヘマグルチニン単位(hau)
- インゲン豆ダイエットにはアメリカでは食品医薬品局(FDA)から警告が出されています。
クリックして拡大するいんげん豆の歴史は、とうがらしの歴史に酷似しています。中南米(ペルー原産という説があります)でコロンブスが発見してから世界に広まり、永い栽培の歴史の中で、1000種以上とも言われる多様化をとげています。キドニーという名前の由来は腎臓(キドニー)に形状が似ているからです。日本では北海道が主産地で、白いんげんの「大福」や世界的にも知られる「金時」という小粒な赤いんげん、斑のある虎豆、鶉豆(うずら)、さやいんげんのサーベル、どじょういんげんなどがありますが、いずれも生産量は僅かです。金時という固有名詞はFDAの毒素調査の対象品種として名前があがっていました。
日本には、とうがらしと同時期の1600年代に長崎の出島にポルトガル人が持ち込んだと推測されています。また「いんげん」といわれることから、中国人の隠元和尚が持ち込んだという説も根強くあります。
植物性ヘマグルチニンは糖結合たんぱく質のレクチン由来(Kidney Bean Lectin)の毒素です。豆類の中でも特にキドニー・ビーンといわれる、いんげん豆(Phaseolus vulgaris)に大量に含有されます。
この毒素は摂食後1-3時間で発症し、入院が必要なほど重症となりますが、一般的には数時間で回復するのも特徴です。生の場合には4-5粒の摂食でも危険といわれますが、加熱により毒素は大幅に軽減されます。ただし要注意なのは、加熱中に毒素が生より増加するといわれますから、中途半端な加熱は危険性が増します。
一般的な加熱調理をする通常の食事で問題が表面化することは多くありませんが、摂氏85度以上の加熱でも完全には解毒できませんから豆類の大量の摂食には問題があります。
また、赤系いんげん豆には白系いんげん豆の3倍以上の毒素が含まれます。
赤系いんげん豆も同じ学名のファセオラス(Phaseolus vulgaris)で呼ばれていますから、サプリメントなどは注意が必要です。
「ファセオラミンとは何か:インゲン豆から抽出された問題物質」
植物性ヘマグルチニンは毒性がありますが、生体の防御に重要な働きをする糖鎖を認識する物質のひとつでもあります。免疫学研究者の中にはその作用を免疫細胞であるT細胞のDNA合成に利用して、免疫不全をおこすエイズウィルス対策を考えている人がいます。
ヘマグルチニン毒素を軽減する豆類の調理
豆類は事前に5時間は水に浸しておきます。その水を捨ててから、新しい水で最低10分以上加熱します。
前述しましたが加熱調理が中途半端なものは生より危険です。
英国や米国では豆類などの摂食安全性のために植物性ヘマグルチニン毒素の単位を発表しています。
これは赤血球膜のヘマグルチニンを計測するものです。これによれば生のいんげん豆(kidney beans)で20,000 から 70,000 単位(hau)ですが、完全加熱調理をすれば200から400単位に軽減されるそうです。ソラマメ(空豆)(Vicia faba)も3,000から7,000単位くらいが計測されています。
日本でこのダイエットを推奨する人がいるのはアメリカで一時期話題となったからでしょう。いんげん豆(キドニー・ビーン)に含まれる物質(学名由来のネーミングでファセオラミンと呼んでいます)がでんぷん質の吸収を妨げ、ダイエットに有効であるとするものです。しかしながらアメリカではいんげん豆が炭水化物の消化酵素であるアミラーゼをブロックするという業者の謳い文句には科学的根拠がないという食品医薬品局(FDA)の警告が出されていました。FDAは間違った摂食は豆のヘマグルチニン毒素が危険であるということも同時に発表しています。

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