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世界の健康ニュース解説

ジアシルグリセロールの食用油に疑問符

2009年9月17日よりエコナの発売は中止されました。同日付でこの記事を再掲載しています。

    INDEX


    1. ジアシルグリセロールは発癌促進物質か?
    2. 2005年8月4日の中間発表は「発ガン促進物質の疑いあり」
    3. 2005年9月21日の臨時発表は「新たな情報により、更なる警告をする」
    4. 厚生労働省はクッキングオイル「エコナ」の発売禁止に踏み切るか?
    5. ジアシルグリセロールとは?(diacylglycerolsまたはdiglycerides)


    1. ジアシルグリセロールは発癌促進物質か?
    植物性食用油に少量含まれるジアシルグリセロールは中性脂肪が付きにくいという特性があるようです。この特性に着目して、人工的に食用油成分の80%以上をジアシルグリセロールにするよう合成した製品が花王のクッキングオイル「エコナ」です。厚生労働省も特別保健用食品(トクホ)に認定していました。ところが欧米ではジアシルグリセロールの多量摂取は発ガンが疑われるとの報告が幾つも発表されており、問題はややこしくなります。
    トクホに認定した厚生労働省も、認可した1昨年当初から、再度におよぶ安全性の実験が必要であると認識していました。なぜ認可を急いだかの原因は不明ですが、認可当時から「発がん性に関して、より踏み込んだ特別研究が必要であり、その結果を食品安全委員会に報告するよう」に指示していました。



    2. 2005年8月4日の中間発表は「発ガン促進物質の疑いあり」
    要求された特別研究は「ジアシルグリセロールの発がんプロモーション作用に関する研究」と名付けられました。
    中間の8月4日に発表された食品安全委員会への報告は「がんになりやすいように遺伝子を組換えた特殊なラットを用いて調査した結果、雄の舌に発がんプロモーション作用が示唆されました」でした。アスベスト問題やマグロのメチル水銀問題で「不作為」を指摘される行政当局に、また厄介な問題が生じたわけです。



    3. 2005年9月21日の臨時発表は「新たな情報により、更なる警告をする」
    驚いた厚生労働省では、この中間報告の問題点を掘り起こし、再度の研究を検討することになっていました。ところがこの過程で、9月21日に次のような発表がありました。消費者に「適切な情報を出来るだけ早く伝達するため」という注釈つきです。
    発表内容は「その後、厚生労働省において、追加試験を計画する過程で、ジアシルグリセロール(DAG)に関する内外の新たな知見を入手しました」「したがって、より詳細な研究が必要です」というものです。
    具体的な内容の発表はありませんが、海外における確度の高い危険情報を入手したようです。





    4. 厚生労働省はクッキングオイル「エコナ」の発売禁止に踏み切るか?
    9月21日現在の警告では「エコナ」の発売は禁止できないということです。しかしながらこの段階で「消費者のことを考えて、あえて発表する」ということは、結果が明確になるまでジアシルグリセロール(エコナ)の摂食を控えろということであると理解すべきでしょう。
    消費者に自己判断を求められても、「内外の新たな知見」とはどのようなものかが解りませんから材料不足ですが、「摂食を止めよとは、立場上発言できないが、自主的に止めてもらいたい」と警告していると解釈せざるを得ません。当局がより踏み込んだ実験結果を得るには準備も含め1年半はかかるそうです。



    5. ジアシルグリセロール(diacylglycerolsまたはdiglycerides)
    ジアシルグリセロール(DAG)とは、グリセリンに2本の脂肪酸がエステル結合したもので、一般的な食用油を構成するトリアシルグリセロールとは消化器における働きが異なります。構造的にはジ・アシル・グリセロールは脂肪酸が2本(di=2本)結合、トリ・アシル・グリセロールは脂肪酸が3 本(tri=3本)結合したものです。アシル(acyl)とはアシル基を指しますが、これは脂肪酸の代名詞でもあるカルボン酸アシル基 (carboxylic acyl groups)を指します。言い換えればジ・アシルとは2本の脂肪酸のことであり、ジアシルグリセロールはそれがグリセリン(グリセロール)と結合した脂肪分のことです。