世界の健康ニュース解説
トランス脂肪酸の害:第二話--アメリカン・ブレックファーストとトランス型脂肪酸

トランス脂肪研究会
乃木生薬研究所は、トランス脂肪酸の排除に
取り組んでいます。
- トランス型脂肪酸と米国の2005年食品摂取基準(Dietary Guidelines for Americans)
- 毎日の食生活と脂質の摂食許容量
- 米国式朝食における総脂肪分の摂食量
- 飽和脂肪酸の摂食量
- 米国人のトランス型脂肪酸標準摂取量
- 主要朝食材料の総脂肪分、トランス型脂肪酸(トランス脂肪)、コレステロール含有量(米国USDA、FDA資料)
- コレステロールとビタミンC
- 米国の2005年食品摂取基準で発表された主要項目

1、トランス型脂肪酸と米国の食品摂取基準(Dietary Guidelines for Americans)
2005年1月12日に最新の米国の食品摂取基準が発表されました。米国厚生省と農林省が共同発表する食品摂取基準は5年ごとに発表されています。国民の健康を願うこの論文は世界のお手本となっており、日本でも厚生労働省が日本人の栄養所要量食事摂取基準を5年ごとに発表しています(現在は第6次改定)。
*厚生省(Department of Health and Human Services 、HHS)。
*農林省(Department of Agriculture 、USDA)
米国の2005年食品摂取基準は約10項目に大別されますが
、脂肪(Fats)の項目で特筆すべきなのはトランス酸の害を明確に表示したことです。
トランス型脂肪酸の許容量は未定であるが、摂食を出来うる限り抑える必要があることを明確にした
(心臓血管疾患の大きな原因となる)。
総脂肪分は総カロリーの20-35%に抑える。
脂肪酸はできるだけ植物や魚の単価、多価不飽和脂肪酸(HP参照)から摂食するようにする。
牛肉などの飽和脂肪酸は総カロリーの10%以内にする。
コレステロール総量は一日300mg以下に制限する。

2.毎日の食生活と脂質の摂食許容量
米国の食品摂取基準を参考にすれば、一日のカロリー摂取を、2000カロリーにしている人の総脂肪分摂食許容量は44g-77g (400-700カロリー)*です。このうち飽和脂肪酸(主として動物性脂質)は22.2g(200カロリー)以下が摂食許容量です。米国の食品には総脂肪分、飽和脂肪酸、コレステロールなど脂質の表示義務があり、ラベルに容量が表示されていますから、それに基づいて計算できます(1500トランス型脂肪酸の終焉参照)。トランス脂肪の許容量は研究中であり、未定です。*脂肪のカロリー(1グラム = 9カロリーで計算)
3.朝食における総脂肪分の摂食量
欧米式の朝食(アメリカン・ブレックファースト)はパンや、ミルクを使用したシリアル類、オートミール、卵、じゃがいも料理、ベーコン、ソーセージなど肉料理が中心となります。これにデザートのケーキ類やサラダのドレッシングを加えれば、一日で最も脂質の多い食事かもしれません。ただし、コレステロールはバター、ミルクを中心に1日許容量の10-25%程度ですから、問題となるほどの量ではありません。
アメリカン・ブレックファーストの中からバターをティースプーン一杯(10.8g)、ミルクをカップ1杯(6.6g)、フレンチフライの中サイズ(26.9g)の脂質を計算すると、総脂肪重量は44.3グラムになります。これで398カロリーを超えますから、すでに許容量(400-700カロリー)の最低量近くになります。
これにケーキなどを食べて、ショートニングがティースプーン一杯(13g)加わるならば、総脂肪重量は57.3gを超えて、515カロリー以上になります。パンの場合は種類や作り手で脂肪分が大きくばらつくためにデータが不足しておりますが、クロワッサンで飽和脂肪酸が6.6gというデータがありますから、パン、卵、ベーコン・ソーセージなどをこれに加えれば総脂肪重量が大幅に増えていきます。朝食だけで、一日許容量は簡単にオーバーするわけです。バターをマーガリンに代えても、総脂肪重量が1割くらい減ずる程度です。
4. 飽和脂肪酸の摂食量
前項の欧米式朝食でバターをティースプーン一杯(7g)、ミルクをカップ1杯(4.3g)、フレンチフライの中サイズ(6.7g)の食事をすると、飽和脂肪重量は18グラムになります。これをカロリー計算すると162カロリーになり、飽和脂肪許容量(200カロリー)に近づきます。これにケーキなどを食べて、ショートニングがティースプーン一杯(3.4g)(米国サイズでケーキ一切れ)加わるならば、21.4g、192カロリー以上になります。ホテルの朝食バイキングなどで、多めに食べた場合の朝食は、それだけで飽和脂肪酸の一日許容量がオーバーするわけです。
5.米国人のトランス型脂肪酸標準摂取量
トランス型脂肪酸の食品別摂取割合は以下の順です。。
- a. ケーキ、クッキー、クラッカー、パン、パイなど40%
b. 動物性食品類21%
c. マーガリン17%
d. フライドポテト8%
e. ポテトチプス、コーンチップ、ポップコーン5%
f. ショートニング4%
g. サラダドレッシング3%

第3項の朝食例ではトランス型脂肪酸の含有量は、バター(0.3g)、ミルク(0.2g)、フレンチフライ(7.8g)の合計が8.3gですが、バターの代わりに固形マーガリン(2.8g)を使用すると10.8gになります。デザートなどでケーキ一切れが(4.2g)が加われば15gです。
この例ではトランス型脂肪酸が飽和脂肪酸総量に近い数字であり、総脂肪量の25%を超えます。高脂血症、中性脂肪過多、高血圧などの持病がある方には決して望ましい数字とはいえないでしょう。米国のトランス脂肪の研究から推測すれば、上記の持病のある方、高齢な方は、朝食に和食を選択することや、マーガリン、ケーキ、ディープフライ類は避けることが賢明なようです。
6.主要朝食材料の総脂肪分、トランス型脂肪酸(トランス脂肪)、コレステロール含有量
a. バター、ティースプーン一杯(総脂肪10.8g)、(トランス脂肪0.3g)(コレステロール31.1mg)、
b. ショートニング、ティースプーン一杯(総脂肪13g)、(トランス脂肪4.2g)(コレステロール0mg)
c. フレンチフライポテト、(147g)中サイズ(総脂肪26.9g)(トランス脂肪7.8g)(コレステロール0mg)
d. 固形マーガリン(総脂肪11g)、(トランス脂肪2.8g)(コレステロール約0mg)
e. チューブマーガリン(総脂肪6.7g)、(トランス脂肪0.6g)(コレステロール約0mg)
f. ミルクカップ1パイ(総脂肪6.6g)、(トランス脂肪0.2g)(コレステロール34.9mg)
g. ドーナッツ一個(総脂肪18.2g)、(トランス脂肪5.0g)(コレステロール23mg)
h. クロワッサン一個(総脂肪6.6g)(トランス脂肪2.8g)
注)第3項から第6項までの脂質量は調査時のものです。食品業界ではトランス型脂肪酸の減少に取り組んでおり、このデータより改良された食品も出回るようになっています。

7.コレステロールとビタミンC
コレステロールは誤解されやすい成分です。コレステロールは、コントロール機能が正常働かないと、アテロームが増加して心臓血管病の原因となることが知られていますが、アテロームは飽和脂肪酸や中性脂肪が、より大きな原因となるとも言われています。コレステロールを飽和脂肪酸や中性脂肪と混同されて理解している人が多いのも実態です。
コレステロールは体内(肝臓と小腸)で一日1,000mgは合成される遊離脂肪酸で、細胞膜、胆汁酸、ステロイドホルモン類、ビタミンDの原料として重要な役割を果たす成分です。
体内合成量は食品摂取による量の5倍以上とも言われます。コレステロールは肝臓からコレステロールを必要とする細胞に搬送するために、血中ではたんぱく質と結合しています。この物質は脂質(英語ではリピド、lipid)とたんぱく質(英語ではプロテイン、protein)が結合しているため、日洋混合の言葉であるリポ蛋白(リポプロテイン)と呼ばれますが、これが一般に理解されているコレステロールです。
医薬品ではコレステロール合成酵素を意図的に阻害するものがありますが、コレステロールは体に重要な成分ですから、細胞膜機能低下など副作用もあります。理想的なのはコレステロールを細胞膜や胆汁に変換させる努力をして、余剰分は胆汁や水溶性食物繊維とともに排出させることです。これがコレステロールの正常な機能です。余剰コレステロールは排出が不十分になると、胆嚢や胆管結石の原因ともなります。胆汁への変換にはビタミンCが補酵素の役割をしますから、十分なビタミンCの摂取が重要な対策となります。ビタミンCはコレステロール合成時に産生される活性酸素を除去する強力な抗活性酸素阻害剤でもあります。
8.米国の2005年食品摂取基準で発表された主要項目
a. 食品摂取基準の背景と目的(Background and Purpose of the Dietary Guidelines for Americans)
b. 必要カロリー摂取のための摂取栄養分(Adequate Nutrients within calorie needs)
c. 体重コントロール(Weight management)
d. トレーニング運動(Physical activity)
e. お奨め食品(Food groups to encourage)
f. 脂肪(Fats)
g. 炭水化物(Carbohydrates)
h. 塩とカリウム(Sodium and Potassium)
i. アルコール飲料(Alcoholic beverages)
j. 食の安全(Food safety)

<<< ノギボタニカルのトップページへ
本サイトが掲載する情報・画像等は、提携サイトの湘南情報サイト「ロハスケ」編集部より提供されています。
著作権は「ロハスケ」編集部に属します。
権利者の許可なく複製、転用、販売などの二次利用をすることを固く禁じます。商業目的に記事を引用、転写する場合は、引用:一項30,000円、転写:50,000円となります。