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世界の健康ニュース解説

猛毒ダイオキシンと魚介類の汚染

本記事は2008年7月24日に改訂しました。

    写真はイメージです。ダイオキシン検査とは関係ありません。

  1. ウクライナのユシチェンコ元首相がダイオキシン中毒
  2. ウクライナのユシチェンコ元首相(Viktor Yushchenko)が、政敵に大量のダイオキシン類(PCDDs)(TCDD)を盛られたのではないかと話題になり、改めてダイオキシンの猛毒性が注目されています。ユシチェンコ元首相は2004年12月26日に再投票が決定された、ウクライナ大統領選挙に出馬しています。

  3. 寿司とザリガニでダイオキシン毒(PCDDs)(TCDD)を盛られる?
  4. ユシチェンコ元首相は、9月に政敵側の国家保安局との会食で、寿司とザリガニ(スープ?)を食べたそうです。急病で倒れたのは9月ですが、ダイオキシンが疑われたのは10月、11月になってからでした。最近になり、皮膚が異常に侵されるクロールアクネ(chloracne)(塩素ざしょう疹)により、別人のようになった人相が報道されています。
    オーストリーの医師が、血中から検出したダイオキシン類は通常の1000倍(6000倍という報道もあります)といわれる濃度であったそうです。この時点ではダイオキシンの種類が判明していませんでしたが、12月17日の報道では、オランダの医師が最も毒性が強い四塩化ジベンゾ・パラ・ジオキシン、2,3,7,8-TCDDを検出したそうです。

  5. クロールアクネ(chloracne)(塩素ざしょう疹)とは。オレンジ・エージェント
  6. 重症のニキビ様皮膚疾患。ヴェトナム戦争で使用されたオレンジ・エージェント(Agent Orange)と呼ばれる化学兵器の人類被害が有名。オレンジ・エージェントはゲリラの隠れ場所であるジャングルや草原の除草を目的とする、ポリ塩化ジベンゾダイオキシン(PCDDs)(TCDD)を主剤とした化学兵器。青や白の容器の他の兵器に対して、オレンジ色のスティール缶容器に封入されていた。戦中からヴェトナム国民やアメリカの軍人に被害が多発し、現在でも、ヴェトナムは当然のことながら、アメリカの退役軍人が後遺症に悩んでいるといわれる。

  7. ダイオキシン(dioxin)とは.(PCDDs)(TCDD)
  8. ダイオキシンはごみの焼却、工場の排ガスなどが発生原因となります。陸上で発生したダイオキシン類は大気や河川などにより運ばれて湖沼、海などに蓄積し、水中に溶け込んで魚介類の、主として脂身を汚染します。
    特別なケースを除き、人間のダイオキシン中毒原因は、少量を大気中から吸入する他は、魚介類の摂食によるものが大部分です。ダイオキシン類は食の連鎖から、大型の魚介類と甲殻類に多く含有されます。
    ダイオキシン類は発ガン物質、免疫機能障害、生殖機能障害、神経障害、肝臓障害、高脂血症原因等が疑われる毒素です。

    ダイオキシンといわれる物質は、以下三種類の化学物質の総称です。毒性が見られるダイオキシン類は、この三種類から合計239種類の化学物質が分析されています。


    • ポリ塩化ジベンゾ・パラ・ジオキシン(ポリ塩化ジベンゾダイオキシン)
      (PCDDs)Polychlorinated dibenzo-p -dioxins (2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p -dioxin 2,3,7,8-TCDD)
    • ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)Polychlorinated dibenzofurans (2,3,7,8-tetrachlorodibenzofuran 2,3,7,8-TCDF )
    • コプラナー・ピーシービー(Coplaner PCB)(Coplaner Poly Chlorinated Biphenyl )

    写真はイメージです。ダイオキシン検査とは関係ありません。

  9. 日本近海魚のダイオキシン汚染
  10. 平成16年3月には、水産庁が、平成15年までの魚介類102種類に含有するダイオキシン類の調査結果を発表しました。この調査は、日本近海、沿岸の魚介類からのダイオキシン類検出が、輸入や遠洋物に較べ、30%-800%も上回ることを報告しています。特に日本近海の甲殻類の汚染が進んでいることが気になります。

  11. 大きな魚ほどダイオキシンに汚染される
  12. 魚も食の連鎖がありますから小魚ほど安全なのは言うまでもありません。また、産地の表示が明確に表示されるようになりましたから、外国の汚染が進んでいない海域、汚染の少ない国内産地の魚介類を選択するのも、一つの考え方です。水産庁の検査報告には、魚種別、産地別の明細があります。
    ただし魚介類のダイオキシン類含有量は個体によってもばらつきがありますから、完璧な対策ではありません。出来るだけ大きな魚の脂身を避けて、同種を多量に摂食することを控えること、生産地に関心を持つことが賢明といえます。特に妊婦には母子汚染の可能性があります。

  13. ダイオキシン類対策特別措置法
  14. 日本は工業立国、海産資源生産国ですから、ダイオキシン類の害は人事ではありません。平成11年7月には、立法により対策を講じています(ダイオキシン類対策特別措置法)
    厚生労働省や水産庁は、平成11年の立法を受けて、ダイオキシン健康影響調査委員会の設立や、水産物の特別調査を実施して、その対策に腐心しています。厚生労働省の健康調査は、当初、清掃事業に従事する作業員の健康問題でしたが、現在は、著しく改善の方向がみられるようになりました。

    写真はイメージです。ダイオキシン検査とは関係ありません。

  15. ダイオキシンの寛容量
  16. 現状ではダイオキシン類の摂取を避けることができません。大気中と食事によるダイオキシン類毒素の寛容摂取量(TDI)は体重1 kg当たり約1.53pg-TEQ/dayといわれています。食事からの摂食量が約1.49 pg-TEQと大部分を占めますが、そのうち魚介類が1.29 pg-TEQくらいになるようです。(厚生労働省平成16年度発表。食品からのダイオキシン類一日摂取量調査等の調査結果)。
    これまでの研究では、4 pg-TEQくらいまでは、皮膚疾患などの毒性が見られないということですが、当然のことながら、健康で、平均的な遺伝子を持つ人の場合でしょう。国連の食の規格に関する委員会、コーデックス(CODEX)では安全基準値は発表していません。
    水産庁の報告を根拠に、計算例を挙げれば、100グラムの日本近海産の甲殻類に含有されるダイオキシン類は約80-750ピコグラム、輸入や遠洋物で1.7-9.5ピコグラムです。これに対して体重60kgの人の最大許容量は240ピコグラム位となります。

  17. 寛容量の単位.TDI(耐容一日摂取量)、TEQ(毒性等量)、1pg(ピコグラム)
  18. TDI(Tolerable Daily Intake)(耐容一日摂取量)
    TEQ(Toxic Equivalent)(毒性等量)最も毒性が強い2,3,7,8-TCDD(四塩化ジベンゾ・パラ・ジオキシン)の毒性に換算して表したもの
    1pg(pico gram)(ピコグラム)=1 兆分の1g