世界の健康ニュース解説
東京ムツゴロウ動物王国とエキノコックス
- 【解説】人獣共通感染症エキノコックス症
- エキノコックス(Echinococcus multilocularis)とは
- エキノコックス症(echinococcosis)
- エキノコックス症の予防・対策
エキノコックス(Echinococcus multilocularis)は北半球の寒冷地に広く分布するサナダムシ類(tapeworm)の寄生虫です。
日本にはアラスカ経由で移入したと言われています。
年間の発見件数は北海道を中心に最高20人くらい、世界では数十万人の感染者がいるといわれますが、保虫者の統計は不明確です。
宿主の狐、犬、猫などから、ネズミ類などげっ歯類を中間宿主にして人間に感染するといわれます。
ヒトからヒトへの感染例は報告がありません
北海道ではキタキツネがエキノコックスの宿主として有名です。
肝臓などの重篤な発症には、感染から10年以上の年月がかかります。
したがって手遅れとなることが多く、確立された治療ではありません。
米国では重症患者一人の治療に300000ドル(約3.500万円)が必要だそうです(CDC)。
ただしPCR 法(polymerase chain reaction)(0820(SARSサーズ)サーズは消滅したわけではありません。2003年9月16日)やエライザELISA)(HP参照1100狂牛病の検査に活躍するホースラディッシュ(西洋わさび)2004年3月5日(金))などの検査で早期発見すれば、駆除成功の確率が高いと言われ、動物の感染発見と駆虫も比較的容易といわれます
エキノコックス症(echinococcosis)(4.参照)は1999年に、報告義務が生ずる四類感染症に指定されました。
礼文島など北海道道東特有と言われていた寄生虫感染症ですが、汚染地域は拡大傾向にあり、最近では近県の青森など道外で拡がっている可能性が指摘されています。
北海道では全土が感染地とされており、当局により寄生虫が道外に出ないように水際管理されていますが、完全に取り締まる法令はありません。
最近になりエキノコックスに感染した犬が北海道道外に移転したことも話題になっています。
感染症指定が1999年ですから、データも多くありませんが、北海道での累計認定患者総数は400例弱と言われます(国立感染症研究所)。
エキノコックス症の予防は北海道や東北の山地に入る方が、特に必要ですが、その他の県でも80例以上の感染報告があります。
関東地方では2003年に北海道から移住した飼育犬からこの寄生虫が発見されています。
海外ではアラスカ、カナダ、ロシア、中国、ハンガリーなど東ヨーロッパの山岳、山地地帯、スイス、オーストリー、フランス、ドイツ、イタリアのヨーロッパ・アルプス地帯に分布しています
当該地を観光する方は、エキノコックス寄生虫に関心を持つ必要がありそうです。
多包条虫(multilocularis tapeworm)(Echinococcus multilocularis)、単包条虫(Echinococcus granulosus)など4種類が発見されています。
真条虫類、条虫科、エキノコックス(Echinococcus)属
多包条虫は北半球寒冷地に生息するキタキツネなどアカギツネ類、ヨーロッパ・オオカミ(European wolves Canis lupus)、ホッキョクギツネ、コサックギツネ、コヨーテ、ヨーロッパ・ビーバー(European beaverCastor fiber)、犬、猫、豚など家畜類を宿主として広く分布します。
エキノコックス寄生虫が最初に単離されたのはハンガリーのアカギツネ(Red Foxes Vulpes vulpes)と言われます。
近縁の単包条虫(Echinococcus granulosus)は広範囲な野生動物に感染が拡がり、世界的に分布しています(CDC及び北海道大学獣医学科)。
日本のエキノコックス症といえば多包条虫感染症を指しますが、正確には「包虫症」として単包条虫も含まれます。
多包条虫は病状を発生させる幼虫が多包状になることでネーミングされています。
ネズミの糞などからの虫卵が、経口で人体内に入ると、肝臓、腎臓、肺、脳、骨髄などに侵入します。
肝臓で増殖した寄生虫の幼虫が特に重篤な症状をおこします。
エキノコックス症はげっ歯類などの中間宿主を介さない感染もありうるという指摘がありますから、注意が必要です。
エキノコックス寄生虫は熱に非常に弱いことが知られています。
感染疑い地の牧場、家畜飼育場、動物園、登山、ハイキング、ゴルフなど野外スポーツへお出かけの方は下記の点にご留意ください。
食品、飲料水の煮沸を充分にする。
ペット、家畜との濃厚接触はしない。
狐など野生動物の体には触れない。
感染疑い地の山菜、野菜、果実は良く洗い、生食を避けること。
沢水、わき泉の生水は飲まない。
食事前、帰宅時に手を良く洗う。
付着した泥土は屋外で徹底的に洗い落とす。

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