世界の健康ニュース解説
吸血こうもり(バンパイア・バット)に咬まれ、狂犬病ウィルスに感染
- ブラジルで吸血こうもりが異常発生、13人が死亡
- 狂犬病ウィルス(リッサウイルス属レービーズ:rabiesvirus)とは
- リッサウイルス属(lyssavirus genus)ウィルスの感染源
- 日本での狂犬病発生
- 吸血こうもり(バンパイア・バット:vampire bat)とは
- ブラジルで狂犬病ウィルスに陽性を示した吸血こうもり類
- Common vampire bat (Desmodus rotundus) 吸血コウモリ
- brasilian free-tailed bat(Tadarida brasiliensis):ブラジルオナシコウモリ
- Venezuela vampire bat:ヴェネゼラ原産といわれる種類(パスツール研究所では種類を公表していないので推定)
- hoary bat (Lasiurus cinereus):シロゲ(ハクハツ)コウモリ
- Sword-nosed Bats (Lonchorhina aurita、Lonchorhina fernandezi):剣先鼻コウモリ
2004年3月から4月にかけて、ブラジル北部のパラー州(パラ州:Para)(中南米に近いアマゾン地域、アマゾーニャ:Amazoniaに属する州)で吸血こうもり(バンパイア・バット:Vampire Bat)(5項参照)が異常発生。
多数の咬まれた人のうち、13人が狂犬病(レイビーズ:rabies)(2項参照)によって死亡したそうです。吸血こうもりは中南米各国に広く分布して、これまでも家畜などに狂犬病ウィルス(rabiesvirus)による被害を与えています。一般的には大きな群生は少なく、人間を襲うことは稀だそうですが、今回の襲撃は環境破壊の影響ではないかと懸念されています。
中南米の危険地帯では事前に狂犬病ワクチンを接種することが、最も安全策ですが、感染後でも、潜伏期間中にワクチンを繰り返し投与すれば、発病を防ぐことが出来ます。感染疑いがある場合は、病院において早期発見することが重要です。
ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)
リッサウイルス属(lyssavirus genus)
狂犬病ウィルス(rabiesvirus)は砲弾型(bullet)のリボ核酸(RNA)ウィルスです。
1- 2ヶ月の潜伏期間で発症。発熱、頭痛、筋痛痛、脳炎症状などを呈し、錯乱、幻覚などから昏睡状態に陥ります。発病すると致死率100%といわれています。
リッサウイルス属は、遺伝子タイプ(genotype)により現在は7種に分類されています。
a. Rabies virus
b. Lagos bat virus,
c. Mokola virus,
d. Duvenhage virus,
e. European bat lyssavirus type 1,
f. European bat lyssavirus type 2,
g. Australian bat lyssavirus
日本では狂犬病は4類感染症。世界中に分布し、年間死亡者は5万人に達するとも言われています。発生地はインドが多く、これまでは毎年30,000人近い死亡が報告されていました。
感染源はアジアでは犬、欧米ではアライグマ、キツネなど野生動物、中南米では吸血こうもりが最も一般的です。
最近の欧米では、ヨーロッパこうもり(Daubenton Bat, Myotis daubentonii)によるリッサウィルス感染(European bat lyssavirus)が話題となっていました。
アジアではフィリッピンなどで、こうもりによるリッサウィルス感染(Australian bat lyssavirus )の報告があります
ラブドウイルス科にはリッサウイルス(Lyssavirus)属の他、Ephemerovirus,属、Vesiculovirus属があります。
こうもり目(Chiroptera)、小コウモリ亜目(Microchiroptera)、Phyllostomidae科(Desmodonitidae科という説もある)
吸血こうもりは熱帯、亜熱帯に広く分布するフルーツバットと異なり、目が見えない、小型の種類です。超音波による飛行(エコーロケーション:echolocation)をします(HP1080ニパウィルスの再発と宿主の大こうもり、参照)。
体長は2.7 - 3.5 インチ(1インチ=2.54cm)、体重.5 - 1.8 オンス(1オンス=28.35グラム)、1メートルくらいの低空飛行が習性です。
中南米原産。森林、都市部に生息。吸血こうもりは3種類が知られています。サンパウロのパスツール研究所(Pasteur Institute)では、狂犬病ウィルスに陽性を示す吸血こうもりを数種類特定(6項参照)しています(2000年までの調査)。ただし狂犬病ウィルスは吸血こうもり以外の種類からも検出されることがあります。
吸血こうもりの唾液(saliva)は血液凝固防止に働き、吸血を容易にしますが、この成分を脳卒中の予防に研究しているグループがあるといいます。
*こうもりの和訳は筆者が推測した仮訳です。

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