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世界の健康ニュース解説

サーズの感染源に、ねずみやハクビシンの疑い

    2004年1月5日午後、中国、広東省の広州(Guangzhou)でサーズSARS (severe acute respiratory syndrome)の疑いのあった患者(32才)が真性と断定されました。広東省はサーズの発生源として知られていますが、昨年5月以来の真性患者発生です。

    契約社員としてテレビ局のプロデューサーをしている、この患者は、昨年12月20日に、高熱と激しい頭痛のために広州の病院に入院、12月27日になって、新華社電はこの患者にサーズの疑いが濃いことを伝えていました。

    WHOによれば、感染源は依然として特定できませんが、患者はアパートでネズミ捕りを仕掛けてねずみ退治をしていたようです。WHOなどが同アパートで捕らえたねずみからは、サーズウィルスが発見されていますが、遺伝子がやや異なるということです。
    ただしこれまでも、サーズウィルスはコロナウィルスの変異型と言う説が有力であり、多様に変異するという報告があります。ねずみより検出されたウィルスが変異ウィルスであったとしても、感染源が同一である可能性が否定できません。
    中国厚生省の感染症コントロールセンター(中国版CDC)とWHO広州駐在事務所は共同で感染ウィルスの同定に全力を尽くしていますが、今回のケースの感染源が特定されるのは時間がかかりそうです。このため当局はこれまでも疑いが濃厚だったハクビシンmasked palm civets(学名Paguma larvata)などの市場取引停止と焼却を始めました。
    すでにシンガポール、マレーシア、香港、などは、広東省からの入国者を、最高レベルの防疫基準で検査しています。これからアジアを旅行される方は充分な注意が必要です。


    解説
    一部ではハクビシンが1万匹処分されたというように報道されましたが、実際には、真性患者と決定された5日の初日で85匹ともいわれています。非公式取引を摘発しているようで、在庫総数が1万匹はあるのではないか、ということのようです。
    広州の動物の卸市場である新源市場Xinyuan animal wholesale marketでは、昨年夏ごろまでに蛇、犬、サル、ハクビシン、猪、こうもりなどサーズの宿主が疑われている動物が、公式には姿を消しており、専門業者のブースは空になっていたようです。
    広州衛生庁の呼吸器専門家ナンシャン教授Zhong Nanshanはこれらの動物よりサーズコロナウィルスを検出しており、かねてより感染源の可能性を指摘しておりました。教授はこれまでに、30種類以上の動物、2500個体を検査しています。
    現在でも感染者とこれら動物が保有するウィルスには1パーセント未満の遺伝子構造の違いはあるようです。したがって確定には至っていませんが、変異の実態が不明ですから、否定もできない状況です。
    華南農業大学の動物疾患の研究者ミン博士Liao Ming はウィルス遺伝子の完全一致ではないのであるから、取引禁止令は行き過ぎだと、生産者、取引業者の立場で発言しています。
    正否の議論があるために、昨年のサーズ終息宣言以来、やや市場取引が持ち直しているという報道もありますが、少なくとも広東省に禁止令があることは変わりありません。