世界の健康ニュース解説
温水寄生虫による恐ろしい脳の溶解
温泉、銭湯、大浴場ではアメーバ寄生虫フォーラーネグレリアにご注意
- 日本の水浴施設は病原性アメーバが蔓延(まんえん)
- 日本でフォーラーネグレリアが発生
- フォーラーネグレリアを防ぐには
- フォーラーネグレリアとは(Naegleria fowleri Carter)
国立感染症研究所と全国14の衛生研究所では、2001年秋ごろより厚生労働省の特別調査(遠藤卓郎班長 感染研原生動物室長)を受託して、全国14地域の温泉やスーパー銭湯など二百数十カ所で、病原性アメーバやレジオネラ菌汚染の調査、報告を継続しています。このたび、今年度の報告書内容が報道されましたが、調査対象の60%以上から病原性のアメーバが検出されたといいます。
昨年も60%を超えており、その状態はほとんど改善されていません。
今回の調査で特に注目されるのは、DNA分析によって、アメーバ類の9%くらいに、危険な寄生虫であるフォーラーネグレリアが昨年に比べて広範囲に発見されたことです。
調査によれば、病原性アメーバ類は内風呂、露天風呂、ジャグジーなど、主として循環器を使用する温浴施設に多いようです。
単細胞生物のアメーバは淡水、海水、土壌などに広く存在し、珍しいものではありませんが、温泉など40度くらいの温度でも生存する好熱性のアメーバ類は、その細胞に重症肺炎を起こすレジオネラ菌を抱え込む(宿主)ことでも知られており、消毒基準や清掃方法を指導されていますが、徹底していない施設が多いようです。
このたび特に注意を喚起されたフォーラーネグレリアは湖沼などでの水浴が危険といわれてきましたが、温泉や銭湯などでの危険度に、より注目する必要があります。
フォーラーネグレリアを原因とするアメーバ性脳髄膜炎は、1996年11月に佐賀県鳥栖市で25才の女性が感染したことが著名です。
発熱や頭痛、おう吐などの症状の後、脳が溶解し、10日後に死亡したそうです。久留米大医学部寄生虫学教室が脳内で増殖していたアメーバのDNAなどを調べた結果、フォーラーネグレリアによる原発性アメーバ性髄膜脳炎と断定しました。
この事件は特異な例として認識されていますが、今回の調査により、今後も再発の可能性がかなり高いことが立証されたといえます。フォーラーネグレリアは温泉の多いニュージーランドでは従来から危険な寄生虫として著名です。ニュージーランドでの原発性アメーバ性髄膜脳炎発生件数は8件が報告されています。
o温泉、スーパー銭湯、大浴場などの温浴施設では顔を水に漬けることを極力 避ける。
o水浴後は清水で体をよく洗う。
o循環水の有無、除菌対策、清掃状態を良く確認する
o厚生労働省の指導に忠実でない施設は避ける。
赤痢アメーバなどと同類の根足虫類の原虫に分類されます。
潜伏期間は3−7日間。
フォーラーネグレリア・アメーバは、水中などの自然界に生息する自由生活アメーバと呼ばれている。
髄膜脳炎を引き起こすものには3属が確認されている。
Naegleria 属、
Acanthamoeba属、
Lepiomyxid 属、
Naegleria 属
アメーバが経鼻感染して、脳に達し、原発性アメーバ性髄膜脳炎 (Primary Amoebic Meningoencephalitis:PAM)と呼ばれる重篤な感染症となる。
日本ではカルバートソンアメーバ(Acanthamoeba culbertsoni)とも呼ばれる
Acanthamoeba 属
アメーバが、経皮、経気管で脳に達するアメーバ性肉芽腫性脳炎
(Granulomatous amebic encephalitis:GAE)の発生例が多いが、PAMより進行は遅く危険性は少ない。
PAMとGAEは1965年に最初の感染報告があり、1999年までで、世界中では、179例の原発性アメーバ性髄膜脳炎(PAM)と、166例のアメーバ性肉芽腫性脳炎(GAE)が報告されているようである。

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