世界の健康ニュース解説
水遊びをする人々に6つのPleaseと題する注意を呼びかける
- 下痢をしている人、オムツの取れない幼児は水施設に入らないこと。水を媒介してばら撒かれた微生物は他人に伝染します。
- 水遊び施設の水は飲みこまないこと。口に含むことも危険です。
- トイレの後やオムツ換えの後は石鹸で手を洗ってください。この行為は他人を感染から予防します。
- 子供たちが「行きたい」といわずとも、頻繁にトイレに連れて行きましょう。水の中での粗相は病原体を撒き散らします。
- オムツ換えはプールサイドでしてはいけません。サイド表面に微生物が付着して蔓延します。
- 子供や幼児のおしりは良く洗ってから水遊びをさせましょう。病原性微生物蔓延は、便に最も危険性があります。
- 幼児、高齢者。
- 夏風邪などで体力が低下している人
- 睡眠不足、過労などで体力低下している人
- 他の感染症を罹病中の人
- 海外旅行中の人
- 妊婦。(治療薬Metronidazoleの服用が出来ません)
- 水道水を飲用しない。特にホテル、マンション、オフィスビル等、高層建築物での水道水飲用を避ける。山、川の自然水の生水も危険です。
- 海水や湖、池などにはクリプトスポリジウム、ジアルジアの他、腸炎ビブリオ菌、人食いバクテリアとも言われるビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、温浴施設にはレジオネラ菌(注3)等に感染する危険性もあります。ジアルジア虫は牧畜など家畜や山野の動物を経由して、湧き水、泉など自然水にも多数存在します。
- 日本では厚生労働省の水質基準をクリヤーしている水施設のみを利用すること。日本では水質について、大腸菌、レジオネラ菌、発癌物質のトリハロメタン濃度(塩素濃度が高すぎると危険性が増します)、水素イオン濃度(水が酸化していると殺菌作用が落ちる危険性がある)、等など、幾つもの基準を設けて、細かな指針が出されています。
- ペットや動物との濃密接触や混浴は避ける。
- 衛生状態が悪いと思われるところでは、生ものは摂食しない。十分な加熱食品が安全です。
注1)クリプトスポリジウム症Cryptosporidium parvum
1980年代になってから問題となった新しい寄生虫症です。原虫クリプトスポリジウム パルバムの感染によって発病しますクリプトスポリジウムは、宿主の牛、犬、猫など哺乳動物の消化管内で増殖します。便等で伝染し、外部ではオーシスト(発育環境,生活環境における虫体の一つの形)の形態となり、比較的長時間生存します。クリプトスポリジウムは胞子虫類のコクシジウム目に属する寄生性原虫で、人に感染するのは腸管に寄生する小型種のパルバム(Cryptosporidium parvum オーシスト形状が小さい)ですが、胃に寄生する大型種(Cryptosporidium muris オーシスト形状が大きい)もあります。 HIVエイズ等、免疫不全患者は大型種に感染する場合があります。
激しい水様下痢のほかに吐き気、むかつき、食欲減退等々の諸症状があります。
注2)ジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)Giardia intestinalis(Giardia lamblia)
クリプトスポリジウム同様、哺乳類動物の腸の中に寄生します。便により感染が拡がります。Giardia intestinalis虫は人や動物の体外でも長期にわたって生き延びることができます。潜伏期間は1-2週間くらい。水様便、吐き気や嘔吐。寄生虫は慢性的に住み着くことがあり、長期にわたって症状が続くことがあります。また感染しても何の症状も見られない人もいます。米国では年間に250万人のジアルジア症の患者が発生しているとも言われます。日本では、平成11年4月の感染症予防法施行以来、平成13年6月15日現在までのジアルジア患者発生報告数は総計209人です(国立感染症センター)。Giardia intestinalisの検出は、先進国では2-5%、発展途上国では20-30%です。クリプトスポリジウム症は特効薬がないそうですが、ジアルジア症はTinidazole (Fasigyn,ファシジン。ファイザー製薬) Metronidazole (Flagyl,フラジール 塩野義製薬)が有効なようです。
注3)レジオネラ症 legionellosis
アメーバ、バクテリア(Legionella pneumophila.)などの原生動物の細胞に寄生して増殖する細胞内寄生性の好熱菌。日本では4類感染症に指定されている。1976年、米国フィラデルフィアのホテルに宿泊した在郷軍人会(Legion)の客ら29人が、この菌による劇症肺炎で死亡したことから、このように名付けられた。米国では毎年8.000-18.000人の発生が報告され、劇症肺炎型Legionnaires' diaseaseの場合5-30%の死者が報告されている。90℃でも生存できるため、空調設備の冷却塔や加湿器、あるいは温泉などの風呂水が主な菌の繁殖の場となる。経気道感染で、菌が混入した加湿器放出、打たせ湯、シャワーなど噴霧(エアロゾル)状になった温水を肺に吸い込んだ後、2−10日間で劇症肺炎型Legionnaires' diaseaseを発症する。死亡率は高く、手当てが遅れれば70%ともいわれる。熱を伴った風邪の症状程度で済む場合は、ポンティアック熱Pontiac feverと呼んでいるが、潜伏期間も、数時間から2日間くらいと短い。日本では1994年頃より数百名のLegionnaires' diasease発症が報告され、10数人の死者がでている。老人福祉ホーム施設、レジャー温浴施設、豪華客船のお風呂など、新しい温浴施設ほど発症の危険が高い傾向が指摘されている。アメ−バの内にいるレジオネラ菌には消毒薬剤が到達しないことも予測されますから、充分な警戒が必要です。抗生物質はペニシリン系やセフェム系は有効でなく、マクロライド系抗生物質, Erythromycin(商品名アイロタイシン 塩野義製薬)、抗結核薬としても使用されてきたRifampinが有効である(米国CDCによる)。日本ではテトラサイクリン系、ニューキノロン系も有効とされている。
アデノウィルス--
上気道炎・咽頭結膜熱(プール熱)他、40種類以上の病状の原因となるウィルス。発熱、のどの腫れ、扁桃炎などを引き起こす。【参考】
2002年7月、宮崎県の「日向サンパーク温泉」で起きた集団感染は300人近くが発病、7人が死亡する国内最悪の事態になった。
国が定めた浴槽水のレジオネラ菌数の基準は100ml中、10個未満だが、その15万倍もの菌が検出された。
---------2003年新聞報道より

米国ではこの夏、海、湖、プール、スパ、ジャグジーなどのホットバスタブ(日本では銭湯、温泉、宿泊施設、ゴルフ場などの大風呂)などで水浴する幼児や老人に、水が媒介する感染症の詳細を示して警戒するよう呼びかけています。
米国中央疾病対策センターCDCはこれら感染症を Water Recreational Ilness(SWI)と名づけていますが、代表的な4種類の疾病は、クリプトスポリジウム症(注1)ジアルジア症(注2)、0−157、細菌性赤痢(Shigella類です。最近になってから、クリプトスポリジウム原虫には塩素(通称カルキ)耐性があることが判明したため、重点的に注意するよう呼びかけています。
0−157や細菌性赤痢はおなじみの細菌ですが、寄生虫(原虫)であるクリプトスポリジウム症、ジアルジア症は最近まで、日本での感染が散発的でした。水系感染例も知られていなかったために,話題となることも少なく、実態調査もわずかでした。クリプトスポリジウム症、ジアルジア症は代表的な人畜(獣)共通症(ズーノーシス参照)でもありますから、ペットや動物との濃密接触や混浴は避けるべきです。水や動物が媒介する病原性微生物は、幼児、老人や他のウィルス、細菌などに感染して免疫力の低下している人々などが感染すると重篤な症状になり、死にいたる場合があります。
クリプトスポリジウム症は1976年に動物の寄生虫症としてアメリカで初めて報告されましたが、人間への感染が話題となったのは1980年代です。1993年4月に米国のミルウォキー州で起きた例では約40万人が感染したといわれ、1995年までの約2年間で100人以上の死者が出ました。
日本では1994年8月から9月にかけて平塚市の雑居ビルで461名、1996年6月初旬には埼玉県越生町において、8705名の感染者が報告されました。越生町のケースが住民の約7割に相当したため、厚生省では、この後、急遽クリプトスポリジウム暫定対策指針を出しています。
またジアルジア症は世界中に分布しており、特に発展途上国への海外旅行中の下痢で、最も多い原因といわれます。
CDCは水遊びをする人々に6つのPleaseと題する注意を呼びかけています。
予防対策
寄生虫に取り付かれても、免疫力が働く人は発病しないことも珍しくありません。免疫力強化が最も効果的ですが、「君子危うきに近寄らず」です。
下記に該当する人は公衆水施設(海水浴場。プール。スパ。銭湯。温泉浴場。宿泊施設、ゴルフ場などの大風呂)を避けるようお勧めします。
対策

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