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世界の健康ニュース解説

ホルマリンを使用するとらふぐ養殖

INDEX
1. ホルマリン使用が常態化するトラフグ養殖
2. ホルマリンは発癌物質
3. 養殖魚の薬品使用に無関心な消費者
4. なぜ養殖に抗生物質
5. ほとんどの養殖業者が薬品を使用する

    1. ホルマリン使用が常態化するトラフグ養殖
    平成15年4月25日の水産庁発表によれば、長崎県では、とらふぐ養殖業者の6割が鰓(えら)につく寄生虫駆除にホルマリンを使用していたとのことです。
    高級魚とらふぐの養殖は昭和60年に飼育法が確立されてから急増しており、最近は4000トン/年前後のコンスタントな出荷量があります。水産庁の発表内容は平成14年のホルマリン使用履歴魚の出荷尾数が約183万尾(同年のホルマリン使用量は約520キロリットル)、平成15年4月現在のトラフグ養殖尾数、約359万尾のうち、ホルマリン使用履歴尾数が約166万尾であったというものです。
    長崎県鷹島(たかしま)町が養殖とらふぐの大生産地です。
    ここで養殖とらふぐ日本一の出荷量といわれる大手水産業者もホルマリン使用の例外ではなかったとのことです。今月になり高知県、香川県、熊本県、大分県の業者もホルマリンを使用していることが判明しています。熊本県では、真珠養殖業が天草を中心に展開されていますが、そのアコヤガイに、ふぐ養殖業者が使用するホルマリンが有害であるとして、双方の争いが絶えなかったため、90年代後半には、協定によりホルマリン使用を中止していたはずでした。
    ホルマリン使用中止による生産歩留まり悪化のため、ふぐ養殖が日本一であった熊本県は、最近では長崎県に生産量首位を逆転されていました。


    2. ホルマリンは発癌物質
    ホルマリン(ホルムアルデヒドの40%水溶液)は劇薬に指定されており、水産庁がうなぎの養殖業者等に対して使用中止を要望する通達を出したのが1977年、それ以来、最近にいたるまでの度重なる通達にもかかわらず、漁業組合等の反応が鈍かったということです。ホルマリンは低濃度でも食物連鎖の起点である植物性プランクトンにダメージを与え、人体には発ガン物質となりうることが米国FDAなどから警告されています。


    3. 養殖魚の薬品使用に無関心な消費者
    食の安全への関心が高くなってきましたが、 日本は水産品の摂取率が高い国情にも関わらず、水産品の安全性には非常に関心が低いといえます。スーパーの店頭における消費者の選択は、味を重要視しての「養殖か、天然か」が中心であり、養殖物への薬品の使用や天然物のダイオキシン汚染については無関心といえます。せめて農薬や遺伝子組み換えが話題の農産品や狂牛病や産地偽装が話題の畜産品並みの関心が欲しいものです。


    4. なぜ養殖に抗生物質
    水産庁発表の事件の背景は、日本の漁業生産高がピークの1989年から、10年間で663万トンにまで半減して、輸入と養殖が急増する必然性があったことと関連があります。日本で食用にされる水産品の20%が、すでに養殖で占められています。また採算性の良い高級魚のとらふぐ養殖に多くの業者が転入して、とらふぐ養殖技術が未熟な業者が急増したことも薬品多用の原因と考えられます。
    現在養殖されている魚はぶり、はまち、いなだ、真鯛、ぎんざけ、平目、ふぐ、あじ、くろまぐろ、かんぱち、車えび、かわはぎ、うなぎ、ます、あゆ、鯉、イサキ、メバル、マハタなど身近な高級魚のほとんどです。抗生物質無しには養殖業が成り立たないのかもしれません。
    いわし、あじなど安い魚ほど天然物が多いのはありがたいのですが、こちらは二枚貝などを含めて発ガンが疑われるダイオキシン汚染が問題視されています。近海物のあわび、サザエ、いか、かにの内臓は美味ですが、この部分はダイオキシン含有量が特に高いといわれますので、摂取を避けられるのが無難です。


    5. ほとんどの養殖業者が薬品を使用する
    水産庁推薦医薬品を含めれば、薬品を使用しない養殖はほとんどありません。陸地近くの海面は赤潮や廃棄物などで汚染されやすく、病害虫の発生が頻繁なことにより、養殖業者は困難な経営を強いられているからです。内陸養殖の技術進歩に期待するしかないのかもしれません。
    消費者は鯛やぶり等の養殖魚が抗生物質を使うということは比較的知っています。薬を使用しているから、というよりは脂身が強いために避けている方も多く、ぶり、鯛の養殖物出荷量は横ばいです。しかしながら、うなぎ、海老、ふぐなどの薬品使用には比較的無頓着のようです。 また、さば寿司の薬害を懸念する人はほとんどいないでしょうが、養殖さばが多くなっていますので要注意です。
    現在は有機野菜のように、有機栽培漁業を目指す生産者も増加していますから、生産者の選択が可能になる日も近いようです。