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青魚の魚油オメガ3(EPA)の効能作用を解明
青魚の魚油オメガ3(EPA)の効能作用を解明
スフィンゴシルホスホリルコリン(sphingosylphosphorylcho)
加齢による高血圧、脳梗塞、心筋梗塞など血管障害の原因としては、コレステロールや中性脂肪による、血管内の滞留汚濁物(アテローム)の増加が良く知られています。しかしながら中高年の高血圧や虚血の原因はアテロームなどによる血管の梗塞だけではありません。
動脈硬化がほとんどない血管が、ある日突然、異常収縮し血行障害がおこる事が知られています(解説参照)。
このメカニズムの解明と現実的な対処に関して、ニ○○三年三月ニ四日〜ニ六日に福岡市で同時開催された日本生理学会・日本薬理学会において山口大学医学部の小林誠教授らが衝撃的な研究発表を行いました(注1)。
血管の異常収縮を起こす酵素群の特定と、そのメカニズムを解明し、青魚などから得られる脂肪酸EPAがこれら酵素の活性を阻害するというものです。この研究はいくつかの財団の特別助成を受けて、くも膜下出血患者を対象に臨床治験を続けた結果、学会発表されたものですが、新薬の開発を可能にする画期的な発見です。
研究内容は米国の学術誌「Circulation Research」にも発表されて、同誌の編集者より特にインパクトのある発見として特別紹介されています。
| ※注1) | 山口大学医学部医学科、器官制御医科学講座・分子細胞生理学 小林 誠教授(47)「血管の異常収縮を特異的に阻害する新規の細胞膜脂質分子の同定とシグナル伝達の解明」 |
| ※編集部注 | 小林教授は「ニトログリセリンによって血管の細胞内のCa2+濃度が低下する」という基本メカニズムを発見し、一九八五年に米国の権威ある学術誌「サイエンス」に報告された方です。 |
SPC(スフィンゴシルホスホリルコリンsphingosylphosphorylcho)解説
血管平滑筋の収縮・弛緩を制御している最も大きな因子は 細胞質のカルシウム濃度ですが、血管病の原因となるカルシウム非依存性の収縮機構もあります。
この機構に関与する物質としては蛋白質リン酸化酵素(Rhoキナーゼ)や、脱リン酸化酵素(ミオシンホスファターゼ)が知られています。RHO-キナーゼが血管平滑筋のカルシウム感受性増加に関与、異常収縮を介して狭心症や高血圧に、また平滑筋細胞やマクロファージの遊走を介して動脈硬化病変形成に深く関与することは、すでに多くの報告があります。小林教授らは、この血管異常収縮の詳細なメカニズムを明らかにし、その原因分子群(SPCという脂質、Srcファミリーチロシンキナーゼ)を同定しました。
したがって、この血管機能不全の機能解明(高血圧、動脈硬化や血管新生などに関与するシグナル分子・伝達の解明)が進み、原因分子を分子標的とした阻害薬などが開発されれば、高血圧・冠動脈攣縮・動脈硬化等に著効を示す可能性が期待できます。
小林教授の発見はこの新薬開発に糸口をつけるものです。
これまでは機能解明が不十分でしたので、血管異常収縮の特効薬は得られていません。これまでの高血圧治療薬、狭心症治療薬は、全て、カルシウム依存性の正常収縮を抑制するもので、その治療効果には限界があり、また、血圧低下や頻脈などの副作用を引き起こす事が多々ありました。
すでに数年前より教授はカルシウム非依存性の血管の異常収縮を引き起こす原因分子としてSPC(スフィンゴシルホスホリルコリンsphingosylphosphorylcho)を見出していました。
SPCがSrcファミリーチロシンキナーゼとRHOキナーゼ等と通じ血管の異常収縮に関与するというものです。小林教授は血管の正常収縮には影響を与えずに、このSPCによる血管異常収縮を特異的に抑制できる物質の存在を追求して、多数の物質をスクリーニングしてきましたが、その物質として、青魚の魚油より抽出できることで著名な不飽和脂肪酸オメガ3のEPAに到達しました。
EPAは血管細胞内においてSrcファミリーチロシンキナーゼが移動し活性化するのを阻害する作用があるとのことです。

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