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世界の健康ニュース解説

小柴昌俊博士とごぼうの種(生薬の牛蒡子)

    古典的な漢方生薬としてのごぼう
    和漢方薬としてのごぼう
    最近の研究報告
    抗腫瘍作用
    野菜としてのごぼうの品種


    小柴博士が牛蒡(ごぼう)は最強の健康食品の一つであるということを再認識させてくれました。
    日本経済新聞の文化欄に私の履歴書というコラムがありますが、
    今月は(2003年2月)ノーベル賞を受賞された小柴昌俊博士が執筆されています。
    同時に授賞された田中耕一さんとともに、ほのぼのしたお人柄も相まって、暗い世相を明るくされた立役者です。
    小柴博士は早くに母親を無くし、幼少時代は大変ご苦労をされたようですが、ある日のコラムに(2月4日)
    預けられた横須賀の伯母さん宅でのエピソードを書かれておられました。出版物が少なかった時代でしたので、
    活字に飢えていた博士は、家にある本を無差別に読破していました。横須賀の家の長女が結婚して子供を産んだあと
    お乳が出ないという話を小耳に挟んだ博士は、「牛蒡(ごぼう)の種を煎じて飲んだら良い」というアドバイスをしたそうです。
    驚いた伯母さんがそのニュースソースを尋ねると、主婦の友の特集で読んだと答えました。
    牛蒡の種はその根菜とともに、漢方薬、和漢薬、ヨーロッパなどのハーブ薬として古くから使用されて来ました。
    ただし女性ホルモン様の働きを伝承してきたのは、日本だけのようで、いつ頃から、その機能に気が付いていたかは不明です。
    ごぼうの根を食材とするのは日本のみといわれていますが、その卓越した生薬機能は世界の研究者から注目されています。


    古典的な漢方生薬としてのごぼう
    起源は古いようですが、書に現れたのは比較的最近です。
    本草綱目(李時珍:1590年)」に、ゴボウの種子、根、葉を薬用とする、具体的な記載がされています。
    中国の生薬名では、ごぼうの種の牛蒡子を悪実(あくじつ)と呼んでいます。
    牛蒡の名は和名抄(932年)に、すでに現れていますが、悪実が本名としています。
    漢方では、はれものの薬として使用され、中風にも良いとされていました。
    現代の中薬図鑑では抗菌作用、解毒作用、血糖値降下作用、利尿作用、呼吸器強化作用を挙げています。
    具体的には扁桃腺炎など風邪の諸症状や糖尿病に有効ということです。
    昔も今も中国漢方には博士が読んだホルモン分泌関連の記述はありません。

    和漢方薬としてのごぼう
    一般には女性ホルモン分泌を正常化させるものとして、やまいも類、大豆など豆類が知られていますが
    本朝食鑑(1697年)には牛蒡の根を男性が強精剤の民間薬として使用していると記述があります。
    効能の是非は解らない、としていますが、強精剤には女性ホルモンも必要で、重要な働きをします。
    牛蒡の種には根と同様な物質も含有されていますから、種にもホルモン様の働きがあるのでしょう。
    いまだに具体的な治験はありませんが、小柴博士が読書したように
    日本では出産後のお乳の出が良くなるという伝承もあるようです。

    最近の研究報告
    比較的最近の研究では子宮を収縮させる作用が報告されています。
    これは出産に必要な作用で、リノール酸から作られるプロスタグランディン(※)のひとつにその作用があります。
    種や根の繊維質に含まれる配糖体の成分、Arctiin Arctigenin.(注1)には
    HIV(エイズビールス)の働きを抑制する作用があるといわれ、がん等悪性腫瘍治療を含めて、研究報告が色々あります。
    また繊維質の主成分イヌリン多糖体(注2)が糖尿病に有効との研究から、その方面の文献も多数あります。
    ただしイヌリンは直接的に血糖値を改善する訳ではなく、腎臓、すい臓を強化して間接的に作用するといわれています。
    (※)プロスタグランディンは1958年にひつじの精嚢から分離され、研究が進展しました。プロスタグランディンには幾つもの種類がありますが、いずれも脂肪酸から作り出されるものです。大別して、善玉といわれるガンマリノレン酸(GLAと略す)からのプロスタグランディン1とオメガ3と呼ばれるEPAエイコサペンタエンから作り出されるプロスタグランディン3。
    悪玉といわれるアラキドン酸からのプロスタグランディン2があります。現在PGにはその化学構造の違いからAからJ迄命名されていますが、最初に見つかったのはEとFです。
    PGE1やPGE2の様に番号が振られていますが、この番号はその化合物の二重結合の数を表しています。
    ごぼう 学名: Arctium lappa 英語俗名 burdockまたは goboキク科(Compositae)



    薬効作用 外国の文献や武田研究所の会報、日本薬学会の講演に下記作用に関して研究発表がいろいろあります。ただし動物実験が大部分です。


    抗腫瘍作用
    PAF拮抗活性作用(血小板活性化物質PAFと血小板の結合をコントロールする作用)
    カルシューム拮抗作用
    血糖値改善作用
    子宮筋収縮作用 

    ※Arctiin Arctigenin
    繊維質、種子のリグニンに含有される配糖体(Arctiin: C27H34O11, Arctigenin C21H24O6)子宮筋収縮作用、抗腫瘍作用、PAF拮抗活性作用、カルシューム拮抗作用があるといわれる。

    ※イヌリン
    繊維質に含有する炭水化物。フラクトオリゴ糖となる成分。血糖値改善作用、整腸作用があるといわれる。キク科の野菜にはイヌリンが豊富に含まれます。ごぼうの他、アーチチョーク、チコリ、ツワブキ、シュンギク、レタス、フキ、キクイモ、エンダイブ、などが代表的なキク科の野菜です。イヌリンはチコリ、キクイモが有名になっていますが、ほとんどのキク科野菜には含有されています。特にごぼうの繊維質には大量のイヌリンが含まれています。ごぼうの表皮に白い粉末状のものが抽出されるのがイヌリンです。イヌリンは腸内でオリゴフルクトースになり、ビフィズス菌の成長を促します。


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